こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
前回の記事でテクノは未だにヴァイナル文化が残っていると云う話を出した後の774Muzikさんの投稿がヴァイナルリリース音源紹介で非常に懐かしい気持ちになりました。
我々HardonizeクルーはDJ始めた時期がそこそこ似通っていて、当時行ってたレコード屋も然程変わらず、しばしば同じ作品の取り合いをしたものです。
先のエントリーで紹介されてたブートレグものなんかは正に争奪戦そのもので、存在自体がイリーガルだもんで買い逃したら再入荷されるかどうかも怪しかったことから
持っているだけで羨望の眼差しを味わえたり、まぁ逆にウキウキで買って帰って聴いてみたらそんなに良くもなかったものを、しかも片面1曲しか入っていなかったりするものを高い値段で買っちゃった事実に気が付いてヘコんだり。
それが今やブートレグはBandcamp、Soundcloudなどで気軽に手に入れられるようになり、改めて振り返るとこの便利さには感激してしまいます。
その辺の紹介は去年のフリーダウンロード回で挙げましたけれども、また曲数溜まってきたら紹介しようと思います。
さて、冒頭の話題に戻ってヴァイナル文化のお話。
前回『テクノはメインストリーム系、ハード系問わずまだまだヴァイナル文化が根強く残っていたりします。』と書いた中のハード系に目を向けると云うのが今回の主旨です。
5年くらい前まではハードグルーヴも頻繁にヴァイナルリリースがあったんですが、今はPrimevilとかMoop Up、KickMaSomaAssなど一部を除いてほぼリリース媒体はデータメインになりました。
しかし未だにヴァイナルリリースに重きを置いたハードテクノがあります。
やや速いハードダンスのテンポで地を這うベース、そしてコアとなるTB303特有のうねりまくるシンセ音。
ご推察、アシッドテクノです。
909londonを筆頭にジャンル単体にスポットを当てたレコード店が今尚存在し、1音1音はテクノ的でありながらロングブレイクやレイヴカルチャーを匂わせるボイスサンプリングの多用などテクノらしからぬシーケンスとフレージングを奏でるこの音楽は現在独特のシーンを形成しております。
今回スポットを当てるのはそんなアシッドテクノの作り手であるこの人です。
https://www.facebook.com/tiktok303
https://soundcloud.com/jamietaylor
イギリス在住のプロデューサー/DJ。
このアーティスト写真のモヒカンからして相当なアナーキーっぷりが見て取れますが、主宰レーベル名もCDJ303、MP303とまた面白い。
2004年から作曲活動を開始しており、当時作っていた音はちょっとテクノっぽいハードダンス・・・と云うか今聴くと完全にハードグルーヴですねコレ。
DJ GRH & TikTok / Heatwave
2005年、デビューから2~3枚目にリリースされた曲です。
ややファンキーなリフとフィルター、シャカシャカ系の金物リズムが今と遜色ない。
とは言え当時はハードグルーヴと云う単語はなく、このNeonateと云うレーベルががUKハードダンス、ハードエナジーの大手Vicious Circleからの派生だったこともあり、ハードダンス、トランスのDJに向けたリリース扱いになってました。
尚、これらと並行してアシッドテクノも作っており、Dave the DrummerやAaron Liberatorなど大手プロデューサーにもプレイされていたんですが、2009年に一旦活動を休止しています。
その後2012年から自身のレーベルを立ち上げて再始動しており、Tik Tok名義を完全にアシッドテクノのクリエイターとして統一、現在配信サイトで買えるのはこれ以降の作品です。
Tik Tok / Blaze Up
Tik Tok / Run!
ヴァイナルリリースとしての活動母体レーベルはアシッドテクノ総本山であるStay Up Foreverや909london、新興のレーベルだとThe Geezerが始めたPlanet TechnoやロシアのInterstate Oneなど、ほぼ自身のレーベルオンリーで流通しているデジタルリリースとは違った側面を見ることができます。
こちらもまた相当突っ走っている音源多数。
Tik Tok / Dodges Dirty Bass
Tik Tok / Barnyard Beats
加えて本名、Jamie Taylor名義での活動も並行して行っており、こちらはアシッドシンセを控えたハードテクノをリリースしてます。
Jamie Taylor / Jalapeno
Jamie Taylor / Awkward
渋かったり派手だったり色々あるものの、一貫してハードテクノからはブレていない。
最初に紹介した2005年の曲からもそれは読み取れると思います。
アナログ、デジタル、双方の良さを活かしながらレイヴ、テクノ、トランスの境界線をアシッドテクノの疾走感を武器に強引に捻じ曲げていく(あの髪型も含め、)反骨精神のカタマリのようなアーティスト、それがTik Tokです。
次週02月14日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。
※
余談ですがPrimevilと云うレーベルは90年代後半からスタートしている由緒正しいテクノレーベルなのでして、2007年の活動休止後2015年に密かに復活してました。
今のところ年1枚のリリースに留まってますが、全盛期のパーカッシヴテクノの再来なるか、今後の動向に注目です。
本来であればこれ1本で記事が書けるくらいの出来事でした。