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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/04/06

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

sakura
暖かくなり、このように桜も咲き始めてようやく春らしくなってまいりました。
先週末なんかは絶好のお花見日和だったようですが、まぁ独身なので相手もいないし?無縁だし?
従いましてワタクシ、気候以外におきましては新譜を掘っていて綺麗目なメロディのリリースが目立つなぁと思う以外に春らしさを感じることができないワケでございます。
なんだその目は。父さんオマエをそんな子に育てた覚えはないぞ。

ちなみに春+テクノと言ったら何を思い浮かべるでしょうか?
自分の周りではテクノ的に親和性の高かったアニメ『交響詩篇エウレカセブン』(もう10年以上前の作品になるんですね。)のオープニングで使われたこちらを思い浮かべる方が多そうです。

NIRGILIS / sakura

ストリングスやコーラスが綺麗でありつつ、後ろでうっすら鳴り続けているシンセやギターが楽曲に爽快感を添えています。
一方で歌詞の内容も相まって哀愁も感じさせるものとなっている辺り、NIRGILISと云うバンドの底の深さを見せつけられている気がします。
テンポ的にも大変使いやすく、自分も幾度となくデッキに突っ込んだ覚えがあるくらい好きですね。

ただ当Hardonizeのレジデントとしてハードテクノ的、或いはその周辺音楽的に取り上げたい曲がこれ1曲に留まらないのも事実でございます。
ユエに今回のテーマは、

曲名に『春』とか『桜』とか入ったトラック

とします。
当パーティー的に定番となっているものからブートレグ、果てはHardonize関係者が作った曲まで。
今回を逃すと次回は1年後になるので、いつもより多めに紹介します。

ryoh mitomi / haru-kaze


まずはHardonize定番トラック。横浜在住の日本人クリエイター、ryoh mitomiによる2005年のデビュー作。
Minimaximaと云うTechnasiaが運営しているレーベルからリリースされており、まさしくTechnasiaやJoris Voornを彷彿とさせるようなメロディのハードミニマル。
我々Hardonizeのレジデントはとあるパーティーが切欠となって出会った縁なのですが、当時からこの曲はこぞってプレイされていたくらい思い出の詰まった曲。

Gaetano Verdi, Thomas Tribal / Arabic Spring


続いてHardonize的に『使える』トラック。クリエイター両者共にオーストラリアの出身で、これ以外にも多数ペアを組んだリリースがあります。
チャルメラのような吹奏楽器の音をメインにトライバルパーカッションが疾走し、ところどころで差し込まれるボイスサンプルも土着感満載のハードグルーヴ。
春の陽気さ(≒能天気さ)が感じられる曲となっております。

Stephanie Sykes / Sakura


お次は渋い方面でセレクト。Stephanie Sykesはイギリス在住の女性若手アーティストで、テクノ以外にもエレクトロニカやアンビエントも手掛けてます。
延々と鳴り響く深いグルーヴを軸にパッド系のシンセが広がっていく構成は、まるで深夜に見る桜のように荘厳な雰囲気を感じさせます。
セットの終盤に差し掛かる辺りで使いたくなるトラック。

Commercial Club Crew, Clubhunter / Sakura Girl (DJ Gollum Remix)


ハードテクノではありませんが、個人的に『桜』と言ったら真っ先に思い浮かべる曲と云うことで。これもリリースは2008年のリリースとやや古め。
ド派手なシンセにボコーダー処理された歌がチャラさ満点のハンズアップ。オリジナルも相当なんですが、このリミックスの3連符になるアホっぽさがとても好みでしたので。
余談ですがこの曲と『ネットアイドルありすのうた』をマッシュアップさせたその名も『みSakura Girl』と云う曲が存在します。犯人についてはお察しください

ここからはブートレグ部門です。

pandaboy / If spring will come tomorrow

PandaBoY氏による『明日、春が来たら』ネタ。
元ネタのエディットが大変心地良く、トラックもエレクトロテイストのアッパーテクノって感じで非常に使いやすい仕上がりとなっております。
今やアイドルやアニメに楽曲提供する程メインストリームに進出した氏の音楽ですが、ネットレーベル現役時代から変わらない遊び心溢れるトラックは最早圧巻。

松任谷由実 / 春よ、来い (Plutian’s Uplifting Remix)


タイトルそのままのこちらも大ネタ。元ネタに引っ張られて日本人かと思いきや、なんと韓国のアーティスト。
現在Astrionと云う名義に変更しており、トランスの名門Abora Recordingsとも契約。つい今週頭にも新譜が出たばっかりです。
将来有望株の超若手、要チェックですよ。

初音ミク / 千本桜 (Frontliner Remix)


知る人が見たら元ネタとリミキサーがありえない組み合わせだと感じたでしょう。僕もその1人です。
ハードスタイルの超名門Scantraxxに所属し、フェスにもバンバン出演しているこのFrontlinerが初来日すると云うことで僕も見に行ったんですが、あろうことか1曲目に流したのがコレだったんです。
『嘘だろ!?』と驚愕した人と最早それすら通り越してブチ上がっていた人の比率は丁度1:1くらいになってたあの瞬間は、間違いなく日本のハードスタイルシーンに刻まれた大事件でした。

さて、あと1曲で今回を締め括りたいのですが、今回のテーマに匹敵する曲を昔、Hardonizeの関係者が作っております。

毎度Hardonizeに於いてVJを行って頂いているKNOCKHEADZはみさきちさん、おつさん、そしてoni-muhさんの3人組チームなのでして、このoni-muhさんはPING Music Labelと云うレーベルに楽曲提供をしていた過去があります。
そこからリリースされた1枚、『ビート栽培』と云う2001年のCDに彼の『夜桜』と云う曲が収録されておりますのでこれを最後の紹介とさせて頂きます。

STCn (a.k.a. oni-muh) / 夜桜

特徴のある動きをするベースにピアノとシンセが絡む美メロテクノ。
茶箱10周年記念パーティーにPING Music Labelの主宰、Nacky氏が出演した際も最後はこの曲で〆るなど、茶箱に縁のあるDJにとってはかなり印象深いトラックです。
CDはまだ手に入るのでしょうか。一応秋葉原eARSでは在庫アリになっているので、ひょっとしたらひょっとするかもしれません。

次週04月11日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。


今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/03/23

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

今でこそ無節操に音楽を掘っているものの、ワタクシがクラブミュージックと云うものにのめり込む切欠になった音楽はサイケデリックトランスでした。
アシッドシンセを筆頭にパラメータの変わりまくるリフが過度なピッチシフトによって生まれたキックの上で鳴らされる独特なトランス。
ありがたいことに今でも年に数回この音楽でのDJオファーを頂いておりまして、丁度今週末行われます。
03/24 23:00- 高円寺CAVE~Spiklenci Slasti~
詳細は割愛しますが、この音楽も相当多くのサブカテゴリーを含んでいるので一口にサイケデリックトランスと言ってもDJによってそのカラーは様々です。
ご興味のある方は是非お越しください。

で、ワタクシはこういう時もやっぱりクロスオーバーしたがりなので『サイケやってください。』⇒『ハイ、分かりました。』と答えても素直になれないお年頃。
ハードテクノ的にも関連するところでお察しの通り、アシッドテクノなんかはしれっと混ぜてプレイしたくなってしまいます。
鳴っている音に共通する部分がある一方でシンセを聴かせるサイケデリックトランスとボトムで躍らせるアシッドテクノとではシーケンスが全く異なるため、どちらか一方だけ掘っていては作れないような起伏を演出できる。
贅沢を言えばハードハウスを突っ込めればより馬鹿っぽさが増しますし、ベースミュージックやレイヴなど土臭い方向にも行くことができてしっちゃかめっちゃかな感じにすることも大いに得意分野ですが、
この話をし出すとまたNOMYさんにバトンを渡す際、『大馬鹿野郎!』と罵られるので止めておきます。
ともかく今回はアシッドテクノ。アシッドテクノです。
過去の自分の連載を振り返ってみるとまだまだ紹介していない人がいっぱいいるので、その中から大御所に当たるこの人にスポットを当てます。

【D.A.V.E. The Drummer】

dave the drummer

http://www.davethedrummer.co.uk/
https://www.facebook.com/DJDaveTheDrummer/
https://soundcloud.com/dave-the-drummer

テクノを聴いている人なら説明不要かもしれません。
と云うか先週のエントリーでさんごさんも新譜載せてましたよ。あの人と連載スタイルを変えててよかったと思った次第。
20年以上のキャリアを持つロンドンアシッドテクノシーンのボス。
彼の運営するHydraulixも90年代から現在に至るまでリリースを続けており、テクノを代表するレーベルと言っても差し支えないでしょう。
ヨーロッパ全域は元よりアメリカ、ブラジルの大小様々なパーティー、フェスでのDJを行っており、日本にもアシッドテクノパーティーMASSの手引きによって数回招聘されてます。

彼がコアとするのはレイヴやアシッドの持つ快楽主義とテクノの持つダークさ、ストイックさの間を埋める音です。
ずっしりと構えたビートにテクノらしからぬ派手な音のシンセがミニマルの要素を保ちつつ、それでもある種の疾走感を伴って鳴らされており、メインストリーム、アンダーグラウンド双方から支持を得ています。
そしてそれはジャンルの垣根すら超えており、Eric Sneo、A Paulと云ったテクノ界隈のリミックスも手掛ける傍らCaptain TinribやNick Sentienceらトランス、ハードダンスのリミックスもこなし、
オリジナル楽曲の提供も両者に跨るような広い範囲で行っている様は正に鬼神。
様々なシーンで『使える』仕上がりでありながら他のクリエイターとは一線を画すようなトラックは是非聴いて頂きたい。

そんなD.A.V.E. The Drummerのオススメはこちら。

Marcello Perri, D.A.V.E The Drummer / Music 4 Life

DJ Geraldine, D.A.V.E The Drummer / Hydraulix 35 B

D.A.V.E The Drummer / Scarecrow

BK, D.A.V.E The Drummer / Major Disturbance

ハードなボトムにインパクトのあるリフと云う点ではハードグルーヴと共通していますが、こちらはもっとストイック。
これも一種のハードミニマルを含む反復ダンスミュージックの到達点と言えるのではないでしょうか。
尚、上で述べたように元はと云えばダークなテクノを主眼に据えていたこともあり、ハードやアシッド要素の無いトラックもリリースしていることもここで紹介しておきます。
例えばこちら。

Marcello Perri, D.A.V.E The Drummer / Disko Dancer

テクノよりはグルーヴィーなんですがテックハウスよりは重いと云う、ここでもジャンル間のスキマを縫うような楽曲になってます。
上でも別途挙げてますが、Marcello Perriはイタリア生まれロンドン在住のテクノクリエイター。
これまでにもD.A.V.E. The Drummerとは何曲かコラボレーションを行っており、ある曲はダーク、ある曲はファンキーとこちらも一筋縄ではいかない人です。

余談ですが、D.A.V.E. The Drummerの曲をProketと云うドラムンベースのクリエイターがリミックスしたと云うものがあります。
原曲はやや渋いハードミニマルと云った感じなんですが、このリミックスはテクノっぽい音とミニマル展開を擁したドラムンベースのスタイル、テクノイドとして実は真っ先に挙げられるトラックだったりします。

D.A.V.E The Drummer / Hydraulix 9 (Proket Remix)

ダークなリフが延々と続き、リズムもドラムンベースにしては強調されていないものの、相当細かいパターンが組まれていると云った辺りが当時新鮮で、テクノイドに特化したレーベルなんかも生まれたりしたのですが、
残念ながらあまり注目されず、ひっそりと幕を下ろした感があります。(このProketと云うアーティストも活動終了してます。)
このようにハードテクノの曲が新しい、しかもドラムンベースに絡んでいると云うのは他に例が無く、個人的には大きな出来事の1つでしたが、
D.A.V.E The Drummer自身は度々フェスでドラムンベースのベテランと共演していたりするので、また何かの拍子にこう云う新しい音楽が生まれてくれないかなと期待しております。

次週03月28日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。