こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
03月に入り、ようやく暖かくなったと思ったらまた気温が下がってきました。
こんな不安定な気候にもなると季節の変わり目とやらを感じざるを得ません。
個人的に飯が美味く、汗をかいてみっともないことにならずに済む冬は好きな季節なので、それが終わってしまうことには一抹の寂しさがあります。
(余談ですがワタクシは冬も半ズボン派であり、挙句その格好でクラブに自転車で乗り付けるので、『何で生きてるの!?』と言われることがあります。褒め言葉と受け取っております。)
そんなワケでしんみりとした気持ちを表すような音楽を今回は紹介したいと思うのであります。
メロディアスで儚い感じ。
となればちょっとトランスに近くて、本連載の(一応)テーマであるハードテクノに絡むアーティスト。
以前紹介したNorman Andrettiもテーマ的にはピッタリですが、もっとベテランがいました。
この方々を今日はご紹介します。
https://www.facebook.com/FilterheadzOfficial
https://soundcloud.com/filterheadz
ベルギー内陸部、ルーヴェン出身の2人組ユニット。
アーティスト写真の通りお互いソックリな風貌をしておりますが、それもその筈で彼らはなんと兄弟。
しかもこのFilterheadz結成前となる1980年代には2人共バンドを結成しており、The PoliceやU2などUKロックに影響された音楽活動をしていたそうです。
しかし90年代に入り、Roger SanchezやMasters at Work、David Moralesなどハウス界のレジェンド達に触れたことでダンスミュージックへ活動をシフト。
ディスコやユーロダンスのサンプリングを駆使したハウストラックをいくつかの変名義でリリースしたのちの1999年にFilterheadzと名前を決め、2人で本格的なユニットを始めるようになります。
最初期の音楽こそハウスであるものの、Carl CoxやMarco Baileyの影響でテクノのエッセンスを、また当時大きな影響力を持っていたイビザのシーンに触れたことでトランスの要素を取り入れた『美しくも鋭い』曲は多くのプロデューサー、DJの目に止まることとなりました。
特にCarl Coxのレーベル、Intec Recordsから2002年にリリースされたSunshine(後述)はトライバルテクノとプログレッシヴが融合した傑作としてスマッシュヒットを記録します。
これによってテクノ、ハウスシーンに於ける信頼を勝ち取った彼らは、その後もGreen Velvet / La La LandやEric Prydz / Call on Meと云った大御所のリミックスも手掛けることとなりました。
2005年にはよりメロディアスなハウス路線を強調するように自身のレーベル、Love Distortionをスタート。
同レーベルから出たBlue Sky HappinessやEndless Summerなどのアンセムトラックを生み、SPINNIN’ RECORDS、ID&T、Armada Musicと云った錚々たるトランスレーベルからコンピレーション収録のオファーが舞い込むようになります。
(この辺配信されていないのが実に勿体ないくらいのお気に入り。)
しかし2007年頃よりほぼ作曲を停止、ライブ本数もゼロと云う年がしばらく続きます。
理由については諸説あるものの、彼らがユニットを結成する切欠となった初期の音楽と、当時のシーンが求めていた音楽に乖離が生じていたことは無関係ではないでしょう。
しかし2012年にFilterheadzは帰ってくるのです。
それもMarco Baileyのレーベル、MB ElektronicsとUmekのレーベル、1605からのリリースと云うお土産を抱えてきたことは広く話題となりました。
休止の間に磨かれたサウンドは洗練さを増しており、シンプルながら深いビートに今まで培ってきた綺麗なシンセが浮遊する、まさしく『美しくも鋭い』曲に仕上がっています。
また、上記のようなベテラン同士の交流も盛んな一方、Raul Mezcolanza、D-Unityと云った若いアーティストとも積極的にコラボレーションを行っており、新しい感性を取り入れることに躊躇しない姿勢が見て取れます。
テクノと云う音楽は時代の潮流に流されないようでいて、実はそれらに影響を受けないと云うわけではありません。
従って長く活動を続けるためには多くの代償を伴います。
Filterheadzの歩んできた道筋もこのように決して平坦なものではなかったワケですが、それユエにドラマチックな存在として世代を超え、多くの支持を受けています。
最先端を走りながらも夢中になった『あの頃』を忘れず、そして『あの頃』に匹敵するものを追い続けている、そんな兄弟です。
そんなFilterheadzのオススメ楽曲はこちら。
ハードテクノ時代の作品そのいち。上記で挙げたメロディアス+トライバルな1曲。
ハードテクノ時代の作品そのに。ラテントライバル系。00年代前半のテクノを象徴するアンセム。
プログレッシヴ時代の作品。数多くのリミックス、ブートレグが作られた大ヒットワークス。
活動復帰後の作品。培ったプログレッシヴの要素を踏襲しつつ深いボトムの響く現代メインストリームテクノ。
珍しいレイヴスタブもの。インパクトもありつつテクノ~ハウス間で使いやすいビート。
これらに加えて最近のFilterheadzの作品をもっと知りたいと思ったら、去年出たアルバムが大変オススメ。
現代メインストリームテクノの流れを追える上、周辺音楽の要素も取り入れたFilterheadzらしい曲もあったり、過去作品のリミックスもあったりとボリューム満点の逸品。
ちなみに今回このアーティストを取り上げた理由はもう1つあります。
今も昔もFilterheadzは海外パーティーに引っ張りだこで、日本にも何度か来日経験があるのですが、そのうちの1つは前回Hardonizeにご出演頂いたTAKAMI氏の所属するREBOOTの15周年アニバーサリーでした。
いよいよ今週末はREBOOT 15th ANNIVERSARY TOUR FINAL!! – DJ Q’HEY blog
Marco Baileyとペアで来たと云うのは凄い。
これが2013年。と云うことはそこから5年経った現在2018年はREBOOT 20周年に当たるわけでして、そのアニバーサリーが行われるのが今週末なのです。
REBOOTが始まったスタートした時は二十歳の青二才でした、まさか人生の約半分をREBOOTと共に過ごすとは考えてもいなかったです。
当時、MANIACLOVEの週末は21時スタートでした、そこでのオープニングでDJやらないかとQ'heyさんからお話頂いたのがきっかけで、21時からの3…→ https://t.co/wMaJLnIPtf pic.twitter.com/xuMMeQETl7— TAKAMI@3/10REBOOT 20TH ANNI. (@djtakami) 2018年3月8日
青山MANIAC LOVE、代官山AIR、渋谷amate-raxiと都内では名高いハコを渡り歩き、現在は渋谷contactに拠点を構えてテクノを牽引し続けているパーティー。
是非足を運んでみてください。
REBOOT – The Best Underground Techno Party in Tokyo
そのTAKAMI氏にHardonize後のコメントで『新しいテクノも聴け!』と言われたのもあって今回の選出になった話もありますが・・・ここまでにしましょう。
次週03月13日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。