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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/10/05

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

Hardonize28_Omote800
次回Hardonizeのゲストが発表となりました。
2017/11/04(Sat) Hardonize#28

Die氏はHONDALADY及びアシッド田宮三四郎として90年代アシッド、レイヴに影響を受けまくったトラックを提供し続けている方です。
DJもまた懐かしくもマニアックでありながらハッピーでアグレッシヴな選曲が強みで、最近のカッチリしたテクノでは味わえない音。
尚、つい最近までベルギー~オランダを巡る『テクノ武者修行』を敢行しており、レコードバッグいっぱいヴァイナルを買ってきたそうで、写真を見るとKLFとかWESTBAMとか往年のジャーマンテクノ、トランスっぽいものがずらり。
テクノの長い歴史の片鱗が窺えそうなプレイに期待が高まります。

片やBee.Bee.氏はハードダンスを軸にギラギラした硬い音を強みとするDJ/クリエイター。
ハードダンスクリエイター集団exbit traxに所属している一方で秋葉原重工のEPにリミキサーとしての参加経験もあり、テクノとハードダンスの融合体のようなトラックが目立ちます。
中心軸としてではなく、エッセンスとしてテクノを取り入れたときにどう出力されるのか、と云ったところでこちらも要注目なゲストとなりました。
あと酔うと面白いことが最近分かりました。

尚、Hardonizeの前週にM3と云う同人音楽即売会があり、両者共何度か出展経験があります。
もしかしたら彼らの最新音源が手に入る機会になるかもしれませんので是非足を運んで作品を手に取ってみてください。

さて、気が付けばもう10月、2017年も残り1/4となりました。
朝は暗く、夜が早く訪れるのを実感するようになってきたこの頃。
こうなるとド派手ファンキーって感じではなく、エモーショナルな音が似合う季節だなぁと思うわけなので、前回のフリーダウンロード回でも取り上げたこの人をご紹介します。

【Norman Andretti a.k.a. Quarill】

Norman Andretti aka Quarill

https://www.facebook.com/quarillakanormanandretti
https://soundcloud.com/quarillakanormanandretti

ハンガリー、ブダペストのDJ/クリエイター。
DJを始めたのは13歳の頃だそうですが、最初はガバ、ハードコアなどの音楽を主にかけていたそうです。
その後テクノに触れ、2011年よりトラック制作を開始。
それまで触れてきたハードコアやシュランツなどのハードビートを糧に新しいテクノのシーンを作りたいと云う目標の元、ファンキーテクノやハードグルーヴをリリースし続けています。
Corrupted Data、Unaffected Recordsなどその界隈では代表的なレーベルからもリリースしており、チェコ、スロベニア、オーストリアなどの周辺東欧からイギリスまでギグをこなすシーンに於ける若手の筆頭みたいな存在です。

また、平行してQuarillと云う名義でも活動しており、こちらはテクノとなぜかドラムンベースをプロデュースする際の名前としている印象です。
テクノについては現行のトレンドを意識するためと云う側面もあるようで、本人曰く最小限の音で構成されたようなテックハウス、ミニマルに寄っているとのことですが、メインストリームの音よりは結構パーカッシヴな要素が強いような気もします。
何だかんだでハードな音楽は好きな様子。

彼が登場した2011年と云うのは丁度ハードグルーヴと云う名称がシーンに定着しつつあった時代でした。
私も当時からハードテクノに触れていたこともあってデビュー作からほぼほぼ通して彼のトラックは聴いてきましたが、メロディアスな曲を作る人が出てきたなと思ったのを覚えています。
トライバルテクノが現行のハードグルーヴの礎となった背景があるので、チャカポコしたリズムに合わせてリフもラテンだったり民族音楽、ディスコっぽいものが当時のトレンドだった分、まるで2000年前後のデトロイティッシュなシンセを想起させるような彼の音使いはかなり新鮮でした。
勿論彼のワークスの中にはディスコサンプリングもあったりしますが、その下に薄くトランシーなシンセが重なっていたりしてどこか哀愁があります。
ざっくばらんに言うとセットの後ろの方で〆に向かう時に凄く向いてます。

こういった曲を作る経緯と云うのは2014年にInjected FusionがNorman Andrettiにインタビューした際に語られています。

Cross Tempos: Artist Interview: Norman Andretti a.k.a Quarill
http://www.crosstempos.com/2014/05/artist-interview-norman-andretti-aka.html

記事の中ではハードグルーヴ、ファンキーテクノを作る時、テックトランスなど他の音楽の要素を加えることに恐れていないと云った発言があり、同時に活動を続けるために新しい世代を意識した上でリスナーの趣味に合わせ、興味を引きつけることも重要であることが語られています。
その表現方法としてハードテクノに要素をプラスする形がNorman Andrettiであり、逆にそこから出来る限り音を削ぎ落としていくのがQuarillとしての活動であるとも語っています。

また、ハンガリーのクラブシーンについても興味深い記述があって、数々の独立したコミュニティが互いに成長を妨げている、みたいな閉塞感を抱えているそうです。
なんでしょうね、本当に90年代のデトロイトテクノそのまんまだなと思ってしまいました。
あの音楽もデトロイトと云う工業地帯に於けるやり場のない鬱憤を発散させるために、ファンクやR&Bの影響を受けたあのようなメロディアスな音楽になったので。
ハンガリーも工業国であり、またユーロに加入できない財政赤字を抱えていると云った事柄も共通しています。

そこに生きるNorman Andrettiが先人たちと同じならば彼もまた反骨精神の塊であり、きっと既存のクラブシーンに風穴を開けてくれる筈です。
上記の通り、テクノ以外にもハウス、トランス、ドラムンベースなど様々な音楽を吸収することに貪欲であるので、きっとまた私たちを驚かせるような曲を聴かせてくれることでしょう。

そんなNorman Andretti a.k.a. Quarillのオススメはこちら。

Norman Andretti aka Quarill / Timewarp

Norman Andretti, Quarill / Heads On Swivel

Mark Rey / Play With Me (Norman Andretti aka Quarill Remix)

Norman Andretti aka Quarill / Rock Tronik

Alejandro Roman / Yeah Baby (Norman Andretti Remix)

先日ご紹介したように彼のSoundcloudアカウントにもフリーダウンロード曲がアップロードされているので、こちらもお見逃しなく。

また、最近彼のYoutubeチャンネルにてDJMIXのスタジオ録画がアップロードされるようになったのでこちらもご紹介。
Quarill名義によるもので、テクノとドラムンベースのMIXがそれぞれ2本ずつあります。

Quarill’s Broadcast Series – Episode 1. (Techno) (02.04.2017)

次週10月10日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。


今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2017/09/21

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

『Mijk Van Dijk JAPAN TOUR 2017 東京公演』行ってきました。
90年代からジャーマンテクノの第一線で活躍するアーティスト。
ゲームミュージックにも造詣が深く、『攻殻機動隊』や『リッジレーサー』などに楽曲提供したこともご存知の通り。
2002年に出たアルバム、『Everyground』はスペーシーなシンセが硬質なテクノのリズムと絶妙に絡み合って、今聴いても色褪せない名盤だと思ってます。
Hardonizeでも度々かかりますね。
で、実際に聴いた感想ですが、良かった。大変良かった。
レイヴの残滓のようなジャーマンテクノが今風のカッチリした出音にアップデートされて流れていたところにノスタルジックな感情を覚えたり、現行のテクノと云う音楽の底力みたいなものも感じました。
世に出てから30年近く経ち、飽和してしまった感じもあるテクノと云う音楽ですが、まだまだ表現の幅があり、学ぶべきところが多い、そう感じざるを得ない時間でした。
上で挙げたような懐かしトラックがちょいちょい流れたりしたのも嬉しかったですね。
ちなみにアンコール1曲目が虹のリミックスで〆はGamer’s Nightでした。大爆死。

さて、そんな熱が冷めやらぬ状態でありますのでジャーマンテクノ、ないしはレイヴに焦点を当てようかとも思ったんですが、先週の774muzikさんのHardonize的推しアーティスト特集、ご覧頂いたでしょうか。
いやぁよく詳細に集計したなと圧巻でございました。
実際あの記事で挙がっているアーティストを押さえれば『あぁこのパーティーは大体彼らの音で成り立っているんだな』と云うのがお分かり頂けると思います。
ひいてはハードテクノの魅力も伝われば嬉しい。そう思って継続しております。
2年目もよろしくお願いします。

しかしそんなに聴くか分からない、或いはDJならば使うか分からない音楽を提示されて実際買うかと言われれば決断に困るところ。
Google Play MusicやSpotifyなど定額制音楽配信サービスと契約していればひとまず聴けるものの、やはり音源として手元に残したい。
そんなときの頼もしい存在と云えば・・・そうです、

フリーダウンロードうーん何度聴いても良い言葉。

折角774muzikさんにあそこまでHardonizeビギナー向けの記事を作って頂いたので、ワタクシもそんな未来のハードテクノヘッズに向けた内容としたい。

そんなわけで今回は

フリーダウンロード&ブートレグ特集

です。
ここ1年くらいで出たものをメインにずずいっと紹介しますのでクリエイターへの敬意を忘れず、ポチっと下向き矢印を押してください。
ちなみに前回この特集をやったのは忘れもしない去年のクリスマス連休でしたが、予定通りだと今年のクリスマスはワタクシ担当ではございませんので!!!

Joris Voorn / Incident (Eric Sand Bootleg)


のっけから大ネタです。スペインのトラックメイカー、Eric Sandによるブートレグ。
現役のクリエイターとあってハードグルーヴマナーに則ったビートにあのメロディーが乗ると云う使いどころに富んだトラックとなっております。
ちなみにいつの間にかフリーダウンロード専用のSoundcloudアカウントを取得しており、過去の作品から20本強の楽曲が上がっております。
いつ聴いてもこのSkrillexネタが酷過ぎると思いますが、たまにこういうフッ切れたことが起こるのもハードグルーヴです。

Joris Voorn / The Secret (Almir Ljusa Bootleg)


同アーティストネタで別のクリエイターによる作品。Almir Ljusaはハードグルーヴはおろかテクノでも珍しいボスニア・ヘルツェゴビナ出身。
こちらはもっとメロウな雰囲気に寄せたリズムですね。序盤で流れを作ったり、〆で次の人に渡す時にフラットな状態にしたい時なんかに使えます。
結構前に公開になってたブートレグでしたが、最近アップロードし直したようです。
こういうものはいつ消されるか分からなかったりするので、見つけたら即手に入れるが吉。

Benny Benassi Ft.Sandy / Illusion (G8 2017 Hardgroove Rework)


歌ものメインストリームハウスがハードグルーヴになった作品。G8も現行のハードグルーヴクリエイターです。
その他にトランスも作ってたりするだけあって、広い空間で映えそうな仕上がりなのがお分かり頂けるかと思います。
ベースとハイハットでグイグイ牽引していくのでネタありきでもなく、普通に使えます。

Midnight Star / Freak-o-zoid (Digital Knecht’s Zomb-i-zoid Bootleg)


少し毛色を変えてディスコネタをご紹介します。
日頃からハードグルーヴとディスコの中間点みたいな曲が多いドイツのDigital Knechtによるもの。
バウンシーなトライバルリズムに元ネタのレトロなシンセが乗っかったファンキーなトラック。
前回書いたように自分はディスコが好きなのでHardonizeでも度々ディスコからハードグルーヴに展開するプレイをしますが、そういう時にこういう曲があると大変ありがたいですね。

Dj Brutec / Bronte


ストイックなDJ向けにブートレグ以外のフリーダウンロード楽曲を紹介します。
ハードグルーヴシーン若手注目株のスペイン出身クリエイター、Dj Brutecのトラック。
疾走感よりはズッシリくる感じのビートに反復シンセがアグレッシヴな雰囲気を醸してます。
彼のSoundcloudは1つしかないのですが、フリーダウンロードの楽曲、MIXしかアップロードしないと云うポリシーがあるようです。
作品もその型破りっぷりに期待がかかります。

Sergy Casttle / BEYONDER RMX


重厚感繋がりでもう1つ重めなトラックを。
テクノ好きには言わずと知れたJoey Beltramが元ネタですが、キックが鈍器で殴られているかのような圧で繰り出されます。
Sergy Casttleもハードグルーヴの拠点スペインのアーティストですが、こういったテクノ然としたストイックな曲を作っている人もおられます。
特にハードミニマル好きの人におススメしたいですね。当Hardonizeのボス、Yudukiさんもお気に入りの1人ですので。

Dragon Hoang / Gatsby (Norman Andretti Aka Quarill Rmx)


ここからはリフとかメロディーに注力した作品をご紹介します。
まずこちらはハンガリーの若手クリエイター、Norman Andrettiの作品。
何の因果か、去年のクリスマスに『メリークリスマス!』ってアップロードされたようです。ありがとう、ありがとう。
こういった少し哀愁漂うハードグルーヴは彼の得意分野となっている気がします。
ファンキー一辺倒に疲れたときの良い清涼剤として使える筈です。

THE WELL PAID SCIENTISTS / THE GANDER (JOHN ASKEW REMIX)


90年代の渋いアシッドテクノが元ネタですが、派手なシンセが反復するトランシーなハードテクノに様変わりしてます。
アシッドシンセも使ってはいるものの、そこから更に発展してサイケデリックトランスっぽい展開まで見せるのが本当に秀逸。
これを作ったロンドンのJohn Askewは前回特集でも挙げましたが、やはり細かい音の作り込みが一線を画している感じがあります。
それはこういうフリーダウンロードに於いても一切の妥協を見せません。大推薦の1曲。

Rex Mundi / Echo (Andy BSK Remix)


本連載でも何回か取り上げているAndy BSK。フロム・スロバキアにしてイン・ドイツのクリエイター。(Andy BSK特集はこちら)
ジャケットインパクトの凄まじいHardgroove Gangstaと云うEPを出したことも記憶に新しい彼ですが、ハードテクノと並行してトランスにも傾注しており、ディープトランスをアレンジしたのがコチラになります。
原曲と比べると相当派手になってますが、ハード系4つ打ちの中では綺麗に終わらせるためのトラックみたいな印象ですね。
ピアノが鳴ってる曲は良い曲理論。

以上9曲フリーダウンロード、ブートレグ楽曲の紹介でございました。
冒頭でも書いたように、すっかり世の中に浸透した感はあるのになんとなく敷居が高いみたいなイメージがテクノには付いて回ります。
勿論ストイックな側面があることも事実ですが、それだけじゃなくて単純にアホっぽいのもあり、周辺ジャンルに歩み寄ったものもあり、もっと肩の力を抜いて楽しめる部分も間違いなくあるので、そういう意味では他の数あるダンスミュージックと何ら変わりない存在であると思ってます。
我々はその『楽しめそうな部分』を切り取って今後も皆様に提示していく所存です。
言って良いのか分かりませんが次回、次々回の企画も水面下で徐々に進行しておりますので、どうぞお楽しみに。
一方ワタクシは今『徐々に』ってキーボード打ったら『ジョジョに』って変換されて早くも気持ちが折れそうです。

次週09月26日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。

それと今週末に次回Hardonizeの発表があります。お見逃しなく!