こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
3週間ぶりにワタクシが担当致します。
若干遅ればせながら明けましておめでとうございます。
本年もハードテクノとHardonizeをよろしくお願い致します。
既に告知の通り、Hardonizeは今年で10年を迎えます。
それに伴い、02月10日に行う次回パーティーはそれに相応しい方々をお招きしてお送りする運びとなりました。
各々にスポットを当てた紹介も追って行う予定ですので当連載も引き続きよろしくお願いします。
しかしまぁ10年って相当な年月だなと我ながら感じております。
パーティーが始まった当初である2008年がどんな年であったかパッと語れる人はどのくらいいらっしゃいますかね?
北京オリンピック開催とか、iPhone 3GSが発売されたとか、Sangoさんと僕にとってはストリートファイターIVが稼働した年として印象深い一方、ウチのボスなんかはとらドラ!について嬉々として語り始めそうです。
挙げれば挙げる程それなりに懐かしく思える単語が並びます。
余談ですが先日774Muzikさんが10年前の我々をTwitterに挙げておりました。
さて、ここで在りし日の #Hardomize レジデントの姿をご覧ください。(2008.5に開催された第2回の映像です。) pic.twitter.com/i9X9tU3xPu
— 774 m(u_,)zik (@774muzik) 2017年12月18日
みんな若ぇ。
ではハードテクノに的を絞るとこの時期に何があったでしょうか、と云うのが今回のお題目であります。
当連載が『今週のオススメハードテクノ』と銘打っている上で非常にアレなのですが、(オマケに年明けてしまった以上、忘年って時期でもないですが、)こういう時しかできないテーマだと思うので、たまには昔を振り返ってみましょう。
最初に当時のハードテクノを取り巻く環境についてざっくりと。
まず、東京渋谷のレコードショップ衰退はこの時期から始まりました。
象徴的だった出来事と云えば何と言ってもCISCOの閉店でしょう。
2007年12月10日、最終日の様子がこんな感じでした。
マジで懐かしいですね。
一時期は50店舗以上あると言われた渋谷のレコード屋もこれを皮切りにどんどん減っていきます。
Spice Records、DMR、warszawa・・・どこも大変お世話になりました。
そんな時期にHardonizeは産声を上げたワケです。初っ端から後ろ暗いな!
一方で音楽配信はと云うと2008年時点ではMyspaceが主流。
BandcampやSoundcloudもローンチされていましたが、まだ知名度は低かったように思います。
Beatport、Juno Download、Trackitdownと云ったデータ販売サイトは存在しており、DJのスタイルがアナログからデジタルに変わる丁度真っ只中と云う感じがしますね。
Hardonizeも当初ラップトップでDJしていたの僕1人でしたからね。
これらに追随するように大なり小なりデータ販売サイトが生まれては消えたりもしてました。
Youtubeもありましたがパーティーレポートが殆どで、今みたいにレーベルがアカウントを持って新曲をアップロードと云うのは珍しかったと思います。
片やニコニコ動画ではVocaloid楽曲が頻繁に投稿されており、現在のトップクリエイターの足がかりとなった時代でもあります。
去年が丁度初音ミク10周年でしたね。
そんな感じで、とにかく色々なものが黎明期と成長期の間くらいで揺らいでいた不安定な時代だった気がします。
少し近付いてクラブミュージックに目を向けてみると、Daft Punk時代が帰ってきたかのようなエレクトロの潮流がありました。
当時脚光を浴びていたJustice、Boys Noize、Crookersなどの生音よりもっと露骨な電子音を軸としたサウンドが今のEDMに繋がっているもんだと思っております。
ドラムンベース・バンドであるPendulumがIn Silicoで全英2位のセールスを成し遂げたのも丁度2008年であることも考えると、やっと一般層にクラブミュージックが浸透してきた年と言えなくもないですね。
さて、テクノはと云うとシーン全体が激渋なミニマルに傾倒しておりました。
ハードテクノはその中に於いて最早前時代的な音であると揶揄されたかなり不遇の時代です。
別の見方をするならばそれまで境界が曖昧だったテクノとハードテクノの方向性が乖離を始めた時期と言っても良いかもしれません。
その間で揺れ動いていたリリースとして取り上げたいのがEric SneoとFelix Krocherと云う2大ハードミニマリストの共作アルバム、Connectedです。
WIRE世代からするとFelix Krocherはシュランツと云う高速ハードテクノを持ち込んだ言わば戦犯のような存在として語り継がれているアーティストであり、本作に於いてもその攻撃性が発揮された曲を書き下ろしているものの、彼らにしては珍しいエレクトロテイストの曲も数曲収録されており、全体を通して聴くとかなり変な(良い意味で)アルバムです。
この手の実験的な音は大好きなこともあって結構印象に残ってますし、ハードテクノとの橋渡しとして使いやすい辺りは流石の一言。
アルバムごとオススメの1枚です。
Connected by Eric Sneo, Felix Krocher on Beatport
もう1つアルバム単位で取り上げたいのがコチラ。こっちはファンキー路線です。
Christian FischerとDJ Murphyによるユニット、Deckmonstersのアルバム。
Christian Fischerについては過去に連載で触れておりますが、とにかく好きなアーティストです。
通して聴くとこれはこれで混沌としてますが、より時代の変化を楽しんでいる感じが伝わってきます。
ちなみにこのアルバムが出たのはハードグルーヴ好きにはご存知、Petterns。
この頃ハードグルーヴと云う単語はまだ世に出ていなかったと思いますが、Soul AccessやNaked Lunchと共にレーベルの特色を生かしたリリースを行ってました。
Patterns Presents – Deckmonsters by Deckmonsters on Beatport
上述の通り、時代遅れと揶揄されながらも評価されるくらいにはまだまだハードテクノのリリースはありました。
とりわけストイック路線に於いて評価が高かったのがコチラ。
当時のチャートやトラックリストを漁ってみると結構な確率で見かけます。
キレッキレの金物に変則的なキックのリズムが印象的な怪しいハードミニマル。
DJ Bossは2000年のデビュー当初からこのような『4つ打ちっぽい別の何か、但し音はハードテクノ』と云うトラックを作り続けている変態です。
終わり方も何の仕掛けもなしにバツッと全部の音が消える潔さ。今では考えられませんね。
現在はBandcampに活動場所を移して積極的に曲を配信中。
ヒネくれたハードテクノをお探しの方に大変オススメです。
https://dolegate.bandcamp.com/
上述のDeckmonstersよろしく他ジャンルとのハイブリッドものも結構ありまして、これもそこに含めることができるでしょう。
太いビートやメインリフ、そして汗臭い声ネタが肉感的なボディミュージックの香り。
Odessa SoundFreaksは初期ハードグルーヴを支えたクリエイターの1人で、この後もファンキーなハードテクノのリリースに尽力します。
とはいえ、こういう黎明期ならではのフォーマットが確立されてない自由なアイディアはとても好きですね。
また、古くからハードテクノをやっていた人がこの時代に何をリリースしていたかと云うのも気になるところですが、ブレずにハードテクノを作った人、テクノやハウスに舵を切った人、両方いました。
Adam BeyerやUmekなんかは結構ハンドル捌きが早かったような覚えがあります。
そしてブレなかったのがこの人。
ほぼイメージ通りのThe Adventサウンドと云うかむしろハードダンスに近付いている感さえあります。
重厚感と疾走感のあるボトムに延々と繰り返されるリフ、ブレイクではオールドスクールライクなシンセが鳴り響くなど荒削りなこれぞハードミニマルと云った仕上がり。
シンプル且つインパクトもあって使いやすい。三重丸です。
そして忘れてはいけない、ハードダンス・ミーツ・ハードテクノと云えばコチラ。
制作者自らテックダンスと呼称したこの音楽、前年に当たる2007年に出たSix Hoursに次ぐシングルとしてリリースされました。
タイトルも相まってテックダンスと云う名前が国内で認知される切欠となった曲であるようにも思えます。
PVも謎のインパクトありましたしね。
ちなみにこの曲を含む昔のYoji氏のトラックは長いことデジタル配信されていなかったのですが、去年末に自身の音楽活動25周年を総括したベストアルバムがリリースされたため、ようやく誰でも買えるようになりました。
合計81曲と云う凄まじいボリュームですが、日本のダンスミュージックを語る上で避けて通れない人なのでこれを機に是非。
A Quarter Century Of Yoji Biomehanika [Legacy : Early works 1992-1999] by Yoji Biomehanika on Beatport
A Quarter Century Of Yoji Biomehanika [The Era of Hard Dance 2000-2005] by Yoji Biomehanika on Beatport
A Quarter Century Of Yoji Biomehanika [The Era Of Tech Dance 2007-2013] by Yoji Biomehanika on Beatport
以上、10年前である2008年を振り返る回でした。
今に通じるものもある一方で変化したものもある、そんな10年だったと思います。
なんやかんやでHardonizeが続けてきていられるのも皆様のおかげだと実感しております。ありがとうございます。
それを次回の10周年でバシッと提示できるように望む所存ではありますが、
さて、ここで在りし日の #Hardomize レジデントの姿をご覧ください。(2008.5に開催された第2回の映像です。) pic.twitter.com/i9X9tU3xPu
— 774 m(u_,)zik (@774muzik) 2017年12月18日
・・・やはり変化と云うか老化には抗えないので各自筋トレなど欠かさぬように。
次週01月16日は774Muzikさんが担当します。今回はこれにて。