こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
近況報告。
目覚めた心は走り出した。 pic.twitter.com/tiz0pVU4IB
— TAK666 (@12345666) May 14, 2020
というか今日のお昼ご飯。
マジで食ぐらいしか娯楽がない日常を送っております。
ただ、色々なお店が持ち帰りメニューを用意するようになり、チマチマ買って帰れる状況は地味に楽しいですね。
今まで入ったことのないお店の味を知れたり、持ち帰ったものを魔改造して更にパンチのある料理を作ったり、ということが娯楽になりつつあります。
自分の場合、主な移動手段が自転車ということもあって他者と距離を保つのが比較的容易なので、引き続き感染予防には気を払いつつ、手を広げていきたいところです。
近況報告終わり。
あと先週もお伝え致しました通り、次回Hardonizeの開催日程が発表になっております。
2020年06月20日。あとだいたい1か月。
開催形態については変わらず、世の中の状況によって変動となりますので続報をお待ちください。
さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
今回取り上げるサブジャンルは
です。
特別連載に於いては8回目に取り上げた、歪んだリズムを最大の特徴とするダークでシリアスなテクノのスタイルです。
ノイズやハードコアとも音が近く、アンダーグラウンドシーンを代表するジャンルとしても挙げることができますが、近年のメインストリームテクノの先鋭化、硬質化に伴い、じわじわとテクノの表舞台を侵食している音楽でもあります。
今年03月に行われ、自分も出演させて頂いたパーティーMantle vol.1なんかは正にテクノとハードコアの架け橋的存在としてこのインダストリアルテクノを大々的にフィーチャーしたものでした。
こういったジャンルの壁を越えた相互流入のある音楽というのはとても重要だと思っており、まぁ期待通り速いのから遅いのまで色々と聴けて楽しかったです。
ちなみに自分がその時プレイしたのはこんな感じ。
主宰からUKレイヴ感というお題を頂いたのとトリだったので、あまり派手にならない感じにテクノとかベースミュージックとか。
この時のプレイは自分でも結構気に入ってます。
そういえばこのパーティーが行われた中野heavysick ZEROに於いてもこのご時世ですので存続支援を募っております。
我らが茶箱の支援についても引き続き継続中ですので合わせて貼っておきます。
コロナウィルス感染症によるお店の運営ご支援のお願い | 音楽喫茶 茶箱 sabaco music&cafe
賑やかで陽気なテクノも当然好きですが、やはり現代テクノの要といえば緊張感のあるストイックさだと思うので、その中でも特に攻撃的なトラックをピックアップしていきます。
上記で最近のメインストリームテクノから注目されていることについて触れましたが、ここはHardonizeらしくハードテクノ、ハードミニマルに近い速度域のもので統一します。
アングラ音楽由来の精神性や表現手法の一端を感じ取って頂ければ幸い。
では、今年入ってからリリースされた新作インダストリアル紹介いってみましょう。
Cochim (Original Mix) by Zaphy on Beatport
チリのプロデューサーZaphyによるインダストリアルテクノ。
インダストリアルテクノの発信源として信頼の置けるレーベルOxytech Recordsの作品です。
ローファイなリズムにアシッドシンセの組み合わせが如何にもアンダーグラウンド。
金物ドラムのパターンを複数種類差し替えることで展開を作っていたり、テクニカルな面も感じるトラック。
ちなみにこのZaphyも女性アーティストでして、テクノは女性の方が男勝りな曲を作る説の重要サンプルがまた1つ増えました。
同EPに収録されているこちらの曲もオススメなので合わせて掲載。
リフの鳴り方がちょっとハードダンスっぽいですけどリズムは変わらず低音域ベタ攻め。
Sollicitans (Original Mix) by Zaphy on Beatport
Juggernaut (Original Mix) by Scalameriya on Beatport
イタリアのプロデューサーScalameriyaによるインダストリアルテクノ。
これまたインダストリアルテクノの重要レーベルPerc Traxからのリリース。
紹介2作品目にしていきなり難易度の高い曲ですが、インダストリアルのこういうところが好きでもあるので。
一聴して分かるテンポの倍の速度を基軸にした変則的で密度の高いビートパターン。
耳を劈くようなノイジーなリフも強烈です。
4つ打ちと非4つ打ちの橋渡しに使えそうですが、曲調が引き際を一切弁えていない感じなので、インダストリアル限定でしょうか。
でもそこが良い。
4つ打ちの方が好みでしたら同EPにはこんな曲も収録されています。
ほぼメインリフとドラムのみという、オールドスクールらしさを感じさせるシンプル過ぎる構成のトラック。
2020年の曲とは思えないテイストです。
Plothole (Original Mix) by Scalameriya on Beatport
Syd, The Liar (Snitch Mix) by Mickey Nox on Beatport
オーストラリアのプロデューサーMickey Noxによるインダストリアルテクノ。
自身が主宰を務めるGreen Fetish Recordsからのリリースです。
Mickey Noxも現代インダストリアルテクノを牽引している重要なアーティスト。
シンプルなリフにシンプルなビートパターンなのですが、とにかくキック単音の圧が強い。
ものによっては一般的なテクノ、ハードテクノにも繋がりそうなので、細かいジャンル遷移などに使えそうなトラック。
Seekersofjustice (Original Mix) by Rendered on Beatport
ArchitectやHaujobb、Liebknechtなど数々のプロジェクトの中枢として活動しているドイツのプロデューサーDaniel Myerと、
これまたソロでも精力的にリリースを行っているフランスのプロデューサー14angerのユニットRenderedによるインダストリアルテクノ。
インダストリアルテクノに於いては珍しくアーメンブレイク入り。
キックの質感とかはオランダ産ハードコアとして有名なガバを彷彿とさせます。
基礎は4つ打ちですが、これも少しヒネったパターンのビートなのでアーメンと合わせて飛び道具的な側面が強い気がします。
Acid People (Original Mix) by Begez, Dj Balu on Beatport
共にイタリアのプロデューサーであるBegezとDj Baluによるインダストリアルテクノ。
ちなみにこの曲の出典はKobayashi Recordingsとなっており、露骨な日本感が漂っておりますが、彼らと同じくイタリア人のAl Feroxを発起人とし、1997年からテクノのリリースを継続している由緒正しいレーベルだったりします。
タイトル通り、アシッドシンセを前面に押し出したレイヴ感の強いもの。
これもガバキックっぽいですね。
そこまで歪み度も高くないので、アシッドテクノのセットに於ける変化球として使えます。
SUCKLING GROWN (Original Mix) by Swan Meat on Beatport
アメリカのプロデューサーSWAN MEATによるインダストリアルテクノ。
上記Soundcloudアカウントをご覧頂ければ分かるかと思いますが、この人は別段テクノを専門とする活動を展開しているわけではなく、EDM、ブレイクス、ベースミュージック、ハードコアからドローンまで物凄い幅広く楽曲制作を手掛けております。
そして女性。文句なし強キャラ。
その多彩なバックグラウンドに裏打ちされたかのように、インダストリアルテクノの中ではかなり風変わりなトラックがコチラ。
なんと驚くことにメロディーがある。
かなり明確に展開も作られており、途中で4つ打ちからブレイクビートにスイッチしたりするのもかなり異質です。
それでもボトムは一貫して無機質なのが面白い点。
やはりジャンルの相互流入があるとこういうアイディア系のトラックが出てくるので、益々目が離せなくなります。
3 ([KRTM] Remix) by And on Beatport
ベルギーのプロデューサー[KRTM]によるインダストリアルテクノ。
リリース元はPRSPCT Recordings。
これを読んでいる方の中でこのレーベルの認知度が如何程なのか分かりませんが、ドラムンベース、ダークステップ、特にハードコアとドラムンベースの混合点であるクロスブリードと呼ばれる音楽の中では間違いなく最大手のレーベルです。
年に数回、アリーナ規模のレーベルフェスなんかも開催しているくらいファンを獲得しているところなのですが、本筋のハードコア、ドラムンベースとは別に昨年からPRSPCT SPCRというテクノのサブレーベルを発足(これもなかなかの事件でした。)、その最新作がこちらになります。
Andの手掛けた原曲はかなりシンプルな4つ打ちテクノでしたが、[KRTM]お得意のヘヴィーウェイトなチューニングが施された結果、仄かにレイヴ感漂うアグレッシヴなリミックスとなっております。
ハードミニマルとしてもバッチリ使えそうな丁度良い歪み度。
そしてやはりこれがハードコア、ドラムンベースのレーベルから出ていることが驚きなので、特異点として是非お見知りおきの程。
Archangel Program (Original Mix) by Havocknoize on Beatport
スロベニアのプロデューサーHavocknoizeによるインダストリアルテクノ。
最後の方になってきたので、よりハードなインダストリアルテクノをリリースしているベルギーのレーベルTraumaticよりチョイス。
これまで紹介してきた曲より過度なディストーション処理がリズムに施されております。
序盤のホラー系パッドもそうですが、何よりブレイクから入ってくるシンフォニックなコーラスがリズムに対して相反的であり、これが一層不穏感を際立たせているパーツになっています。
総合的にインパクト重視のトラック。
What Are You? (Original Mix) by The Relic on Beatport
オランダのプロデューサーThe Relicによるインダストリアルテクノ。
変名義としてCubic NomadやHidden Roomsといった顔も持ち合わせており、最早どれがメイン名義か分からないくらい、それぞれの名前で精力的にリリースを展開しているお化けアーティスト。
この曲のリリース元であるDark. Descent.のボスとしても君臨しており、ハードコアとテクノを繋げる存在としては欠かせないものとなっております。
従ってというべきか、聴いて頂ければ分かる通り、出音がハードコアなんですよね。
明らかに過剰な程歪められたキック、ベース、アシッドシンセ、その他諸々。
テンポこそハードテクノのスタンダードですが、リズムパターンも一筋縄ではいかない打ち方をしており、一言で表すならば極悪。
音が出せる環境で聴くとよりその極悪っぷりにヤラれること間違いなし。
以上、インダストリアルにスポットを当ててお送りしました。
この手のエグい音楽も大好きなので、そっちに寄った紹介になったかと思います。
玄人向け音楽の印象がどうしても強い系統ではありますが、上で述べた通り今やメインストリームテクノに肩入れする形や、ハードコアとの親和性という観点から徐々に勢力を拡大しているジャンルだと思うので、(音は怖いですが)怖がらず、色々聴いてみてください。
それこそテクノ方面からのアプローチなら序盤で紹介したOxytech RecordsやPerc Trax、ハードコア方面からなら終盤で紹介したTraumaticやDark. Descent.といったレーベルたちはリリースや所属アーティストの数も多く、かなり参考になる筈です。
是非より良い歪みライフをお送りください。
と云った辺りで今回のサブジャンル特集はここまで。
次週05月19日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。