新作ディープ系ベースミュージック特集 (2020年05月版):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2020/05/28

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

近況報告。


今日も今日とて。
人生の半分以上に渡ってこの麺を啜っているもので。

近況報告終わり。

予てよりお伝えしております通り、次回Hardonizeを06月20日に執り行います。
緊急事態宣言は05月25日に解除されたものの、開催形態については引き続き検討中ですので、正式発表をお待ちください。

さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 第1回:黎明期編


ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

ですが、今回はあえてテクノ、ハードテクノから離れたところにスポットを当ててお送りします。

今回取り上げるサブジャンルは

ディープ系ベースミュージック

です。

読んで字の如く、深いベースラインを最大の肝とした音楽のカテゴリー。
ウワモノも派手な音が使われることは滅多にないため、一貫して暗く、重い雰囲気を纏ったトラックが最もイメージしやすいものになります。
リズムも4つ打ちでないものが殆どですね。

一見するとテクノとの繋がりが無いように思えるこの音楽ですが、リズムパートに於ける反復が主体の構成とシリアスな曲調はテクノと共通しており、両者を行き来するようなプレイをここ何年か実験的に行っております。
前回担当回で取り上げたMantle vol.1でのプレイや、前回のHardonizeでのプレイでもちょっと踏み込みました。
この手の音楽は知る人ぞ知る的な様相が強いと思うので今回はディープ系という括りで紹介致しますが、派手なベースミュージックもそれはそれで昔から好きですよ。
(いずれこっちにもスポットを当てたい。)

自分のようなクロスオーバー型のプレイに於いてテンションを沈むところまで沈ませてから浮上させていくみたいなパートを演出したい時にうってつけの音楽。
上記の通り複雑なリズムパターンが組まれている曲も多く、テクノと異なるグルーヴも魅力です。
あとこの手の音楽の良さは低音がちゃんと出せるデカいスピーカーのあるところで聴いてナンボってところがあり、早いとこパーティーに行きたいという願望もあります。

尚、これまでのサブジャンル特集に於いては今年入った曲という括りでやっておりましたが、05月末ともなるとそろそろ今年初頭のリリースは新作と呼べないような気もするため、ここ1~2ヵ月の間にリリースされたものから主に取り上げることにします。
では、新作ディープ系ベースミュージック紹介いってみましょう。

Bukkha / Sekkle Tune (RDG Remix)

Sekkle Tune (RDG Remix) by Bukkha on Beatport

デンマークのプロデューサーRDGによるディープダブステップ。
1拍目キック、3拍目スネアのリズムに3連符混じりのベースという、ダブステップの基礎ともいえる取り合わせ。
中盤で入ってくる裏打ちの金物が良い感じのアクセントになってますね。
シンプルながらも力強いベースに芯が宿るトラック。

Von D / Obstacles

Obstacles (Original Mix) by Von D on Beatport

イギリスのプロデューサーVon Dによるディープダブステップ。
こちらも3拍目スネアのマナーは踏襲しつつも、ちょっとキックの配置が複雑気味。
こういう要素は結構好みです。
ベースのリフがグライムっぽくもあり、ダブステップ以外のベースミュージックとの間でも応用が利くタイプのトラック。

Aztek, Tik&Borrow / Timelapse

Timelapse (Original Mix) by Aztek, Tik&Borrow on Beatport

共にイギリスのプロデューサーであるAztekTik&Borrowによるディープダブステップ。
儚げなシンセの音が哀愁を誘うチルな側面も併せ持つトラック。
とはいえベースの深度は上記の曲同様なので実用性は抜群。
エコーのかかったドライパーカッションのフィルがインパクトあります。

ちなみにこれのリリース元であるIn:flux Audioはよりアグレッシブなダブステップ、4つ打ちベースラインなども輩出しており、それぞれの分野でコアなファンを獲得しているレーベルという印象があります。
以前特集を組んだKanji Kineticも、度々ここからリリースしております。

Nomine / Templatez

Templatez (Original Mix) by Nomine on Beatport

イギリスのプロデューサーNomineによるディープダブステップ。
よりキックの数が増すと同時にアタックも強いものになっているのがお分かり頂けると思います。
パーカッションの手数も多く、弦楽器のリフと相まってオリエンタルな雰囲気を纏ったトラック。
こういったものをトリガーとしてリズムを4つ打ちに近付けていく、みたいなのは自分でプレイするときによく考えるので、リズムの手数は多ければ多いほど重宝する傾向があります。

Skream / Konga

Konga (Original Mix) by Skream on Beatport

イギリスのプロデューサーSkreamによるグライム。
SkreamといえばCaspaRuskoらと並ぶベースミュージック、ダブステップシーンに於ける古豪の1人であり、現在はRUKUSWe Are The Braveといったテクノのレーベルからテクノをリリースしているという経歴の持ち主。
そんな彼が今月、Unreleased Classics.というタイトルで当時の未発表楽曲を放出。
そこに含まれている曲になります。

タイトル通り、パーカッションを前面にフィーチャーしたリズムマシマシのトラック。
ほぼドラムとベースというシンプルな構成なので、これも使いどころ多し。

まだダブステップ、ベースミュージックの定義が曖昧だった頃に、後にその道の第一人者となるアーティストが手掛けたこれらの音楽の進化の系譜が辿れるリリースとなっております。
是非EPごと聴いてみてください。
Unreleased Classics. Vol.1 2002-2003 from Skreamizm on Beatport
Unreleased Classics. Vol.2 2004-2006 from Skreamizm on Beatport

Project Paradis / Cut 11

Cut 11 (Original Mix) by Mr. Carmack, Promnite, Project Paradis on Beatport

共にアメリカの人気プロデューサーであるMr. CarmackPromniteのユニットProject Paradisによるベースミュージック。
不定形電子音楽の総本山と言えるレーベルMad Decentからのリリース。
もしご存じない方がいらっしゃいましたらWikipedia内に日本語のページがあるのでそちらを参照して頂きたいのですが、この所属アーティストの幅広さから一言では語れないということが伝わると幸いです。

この曲もそんなレーベルカラーに見劣りしない、ジャンル不定形。
テクノ、ハウス、ダブステップが混然一体となった明るくもないし、暗くもない、派手でもないけど地味でもないという奇妙な曲。
犬の鳴き声を使う必要が一体どこに・・・?

ちなみにPVもあります。

曲の奇怪さに対してストレートにカッコいい。

Oolacile / Otto (Mr. Bill Remix)

Otto (Mr. Bill Remix) by Oolacile on Beatport

最後にご紹介するのはオーストラリアのプロデューサーMr. Billによるディープダブステップ。
リミックスEPの中の1曲でして、原曲はこの通り、そして同EP内のその他のリミックスもEDMライクな派手系ダブステップが並ぶ中、この曲だけこういうテイストでした。
原曲ではブレイクのパートにのみ存在したメロディーを楽曲全体に渡って引っ張り、その音もメランコリックなアレンジが加えられたこれまたチルいもの。
リフ、メインのドラム共に単音のリリースが短く、かなりエレクトロニカに近い印象を受けます。
〆に使うと綺麗に終わらせられそうな曲。

以上、ディープ系ベースミュージックにスポットを当ててお送りしました。
多分当連載に於いては自分くらいしか紹介することはないであろう楽曲群でしたが、個人的には精神的にテクノと近いものがあると思っているため、1度スポットを当ててお送りしたいカテゴリーでした。
最近は非4つ打ちのテクノも珍しくないので、この辺りの垣根も徐々に無くなっていくのかなと期待込みで注目しております。

と云った辺りで今回のサブジャンル特集はここまで。

次週06月02日は774Muzikさんが担当します。
おっととっと夏だぜ!
今回はこれにて。

【過去掲載記事一覧】
【2020年】

05月 / 新作インダストリアルテクノ (2020年05月版)
04月 / 新作テックダンス / テックトランス (2020年04月版) / 新作レイヴスタイルテクノ (2020年04月版) / 新作ハードハウス (2020年04月版)
03月 / 【特集】Hardonize#35 プレイリストピックアップ / 【特集】『M3-2020春』同人テクノ
02月 / 新作ハードアシッド (2020年02月版) / 新作ハードグルーヴ (2020年02月版)
01月 / 【特集】フリーダウンロード2019 (前編) / 【特集】フリーダウンロード2019 (後編)

【2019年】

12月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】番外第3回:ディスコ編
11月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】番外第2回:ハードダンス編 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第9回:テックダンス編
10月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】番外第1回:メロディアスハードテクノ編 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第8回:インダストリアル編 / 【特集】『M3-2019秋』同人テクノ
09月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第7回:ハードグルーヴ編 / 【特集】Hardonize#34 プレイリストピックアップ
08月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第5回:ハードハウス編 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第6回:シュランツ編
07月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第3回:ハードアシッド編 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第4回:ハードトライバル編
06月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第1回:黎明期編 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第2回:ハードミニマル編
05月 / 【特集】『M3-2019春』同人テクノ / 【特集】直近のパーティーピックアップ / 【特集】Hardonize#33 プレイリストピックアップ
04月 / Almir Ljusa / PHNTM
03月 / Keith Flint (The Prodigy) / Audeka
02月 / Benji303 / 【特集】Hardonize#32 プレイリストピックアップ
01月 / 【特集】フリーダウンロード / Knuckleheadz

【2018年】

12月 / 【特集】DIG自慢:ジャニス閉店セール
11月 / 【特集】Hardonize#31 プレイリストピックアップ / 【特集】『M3-2018秋』同人テクノ / Special Request
10月 / Atix / Eric Sneo
09月 / Len Faki / 【特集】新譜紹介
08月 / Paul Cronin / ASC
07月 / Goncalo M / Alan Fitzpatrick
06月 / 【特集】ブートレグ、フリーダウンロード / 【特集】Incident
05月 / Riotbot / 【特集】『M3-2018春』同人テクノ / 【特集】四文屋難民メンバー紹介
04月 / Rebeld Records / Rob J.
03月 / Filterheadz / 【特集】Bandcamp限定リリース
02月 / 【Hardonize10周年特集】10年前の同人テクノ / 【特集】Hardonize#29 プレイリストピックアップ
01月 / 【Hardonize10周年特集】10年前のハードテクノ / 【Hardonize10周年特集】10年前の日本のハードテクノ

【2017年】

12月 / 【特集】Hardonize#26、Hardonize#27、Hardonize#28 プレイリストピックアップ
11月 / 【特集】『M3-2017秋』同人テクノ / 【特集】Hardonize#28 ゲストDJプレイバック / Sterling Moss
10月 / Norman Andretti a.k.a. Quarill / 【特集】グレイエリア
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08月 / CAVE / OmanticRecords
07月 / Digital Mafia / Steel Grooves
06月 / X-Dream / Dismantle / Christian Fischer
05月 / 【特集】『M3-2017春』同人テクノ / Chester Beatty
04月 / 【特集】曲名に『春』とか『桜』とか入ったトラック / Andy BSK
03月 / Myler / D.A.V.E. The Drummer
02月 / Jamie Taylor aka Tik Tok / Pasquale Maassen
01月 / 【特集】同人音楽+テクノ / Butch

【2016年】

12月 / Kwadratt / 【クリスマス2016特集】ブートレグ、フリーダウンロード
11月 / Reset! / Dark By Design
10月 / 【特集】Hardonize#25 プレイリストピックアップ / Bryan Cox
09月 / Kanji Kinetic / Technikal / Vinylgroover aka Scott Atrill
08月 / Ganez The Terrible / DJ Reversive
07月 / Raul Mezcolanza / David Moleon