「 TAK666 」一覧

新作4つ打ちドラムンベース特集 (2021年07月版):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2021/07/08

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

諸般の事情で更新が遅れまして大変申し訳ございません。

【告知】

先週に引き続きの内容となりますが、前回のHardonizeにゲストとしてご出演頂きましたBishamonさんのパーティー、MANTLE Vol.3へ出演させて頂くことになりました。


このパーティーでしか実現しえない面子によるテクノハードコアベースミュージック入り乱れ。
深くて暗いところで胎動するグルーヴ同士、どんな化学反応を見せるのかとても楽しみです。

お時間と体調に余裕のある方は何卒よろしくお願いします。

【今回のお題】

さて、昨年から自分の回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっておりました。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

ですが、今回取り上げるテーマはハードテクノの分類外となる

4つ打ちドラムンベース

とします。

なぜ今回ドラムンベースに目を向けるのかと言えば、前回担当したHardonize#38 プレイリストピックアップにも記したように実際にHardonizeでも使用した音楽であり、個人的にもそれなりに長く接してきたジャンルでもあるというところが1つ。
加えて上述の来週に開催されるパーティーMANTLEの出演オファーの際、『HardでSolidなドラムンを軸に、ダークなグルーヴの音楽を…』とのオーダーを承ったので、ご来場頂ける方に対する予習の意味も込めたいというのがもう1つです。

その上で4つ打ちに限定する意味についてですが、まぁテクノが4つ打ちだから等と建前を述べるより前に、単純に

僕が好きだからです。

そもそもブレイクビートが主体の音楽で4つ打ちのドラムンベースなんてあるのかと思われる方も中にはいると思いますが、全体的なリリースから比べると少数とはいえ、毎年一定数リリースされております。
しかも近年は多様なジャンルの流入や過去の作風のリバイバルが起こった結果、かなり豊作の傾向にあります。
とはいえこういったテーマの元でトラックをまとめて紹介することもそうそう多くないので、今回やってみようと思った次第です。

勿論、今回も本編で取り上げるのは今年、それも比較的最近にリリースされた楽曲です。
それと今回諸般の事情で執筆が遅れてしまったこともあり、オマケとして最下部に過去のリリースについても短くまとめました。
頻繁に使った曲とかもあったりするので、変ミュージックの足しになれば幸いです。

早速ですが新作4つ打ちドラムンベース紹介いってみましょう。

【曲紹介】

Camo & Krooked, Mefjus / Sidewinder

Sidewinder (Original Mix) by Camo & Krooked, Mefjus on Beatport

昨年Red Bullとのコラボレーションによって行われたオーケストラ編成によるドラムンベースライブも記憶に新しいオーストラリアの名プロデューサーCamo & Krookedと、同郷のヒットメーカーMefjusとの共作。
これも先日のHardonize #38にて使用した曲でしたが、トラックリスト振り返りではピックアップしそびれたのでここで改めてご紹介します。
イントロ後は暫く4つ打ちのパートが続き、ある瞬間にスタンダードなドラムンベースのリズムにシフトする展開の曲。
Camo & Krookedが得意とする清涼感のあるウワモノとMefjusの手掛けたであろうエグいベースの落差にもビックリします。
メインストリームのシーンから生まれた珍妙なドラムンベース

Former feat. Sleepnet / Void Song

Void Song feat. Sleepnet (Original Mix) by Former, Sleepnet on Beatport

オランダのプロデューサーFormerが泣く子も黙るオランダドラムンベーストリオ、NoisiaのメンバーSleepnetを起用したもの。
無機質で不穏なイントロから始まり、ビートが入っても尚不穏というアングラ色光るドラムンベース
4つ打ちのリズムもそうですが、ブレイクと呼べるパートが無い展開も異彩を放っております。

Coffintexts / PURO LOCURA

PURO LOCURA (Original Mix) by INVT, Coffintexts on Beatport

アメリカのプロデューサーCoffintextsによるドラムンベース
リズムそのものは比較的軽めではあるものの、深いベースと永続的に鳴っているノイズのようなリフがやっぱり変。
リフの質感も相まってかなりミニマルな印象を受けますが、構成がシンプルな分ドラムンベース以外にも活用方法を模索できそうな曲。

Samurai Breaks / All Night Party People

All Night Party People (Original Mix) by Samurai Breaks on Beatport

イギリスのプロデューサーSamurai Breaksによるドラムンベース
近年ベースラインドラムンベースを繋ぐ重要な存在として注目を集めているアーティストですが、この度新レーベルSuper Sonic Booty Bangersを設立。
その記念すべき第1発目のリリースがこちらです。

4つ打ちのリズム、ジャングルのベースライン、オールドスクールレイヴのオルガンリフと古めかしくもパワフルなバイブス満点の1曲。
周辺各ジャンルを渡り歩く際の潤滑油としても抜群の機能性を発揮してくれます。

Neve / Swheat

Swheat (Original Mix) by Neve on Beatport

イタリアのプロデューサーNeveによるドラムンベース
前出のSamurai Breaksとのコラボレーションも盛んに行っているアーティストであり、こちらも様々なバックグラウンドが入り混じったスタイルの曲を手掛けるのに長けている印象を受けます。
潔い等間隔リズムと裏打ちのベースによる推進力が最大の肝。
ハードコアとしても勿論使えますが、ループ系のリフを取り入れているところに特異さが見られます。

ついでにSoundcloudのアカウントにこんなものがアップロードされていたので合わせてご紹介します。

Neve / Magic Flute VIP

Stream Neve – Magic Flute VIP (140 – 172) FREE DOWNLOAD !! by Neve | Listen online for free on SoundCloud

キャプションにある通り、BPM140のベースラインからドラムンベースにシフトする曲。
変化直後はバッチリ4つ打ち。
クロスオーバーにもってこいな逸品。
そしてフリーダウンロード!

Theo Varda / A Culture a Vibe

A Culture a Vibe (Original Mix) by Theo Varda on Beatport

謎のプロデューサーTheo Vardaによるドラムンベース
やや手数の多いリズムが組まれておりますが、キックはやっぱり4つ打ち。
R&Bからサンプリングしたようなソウルフルなボーカルとアーバンなエディットリフが感情を揺さぶってきます。
終盤で使いたくなるタイプの曲。

Quentin Hiatus / Interstellar Feline

Interstellar Feline (Original Mix) by Quentin Hiatus on Beatport

イギリスのプロデューサーQuentin Hiatusによるドラムンベース
4つ打ちとブレイクビートが交互に差し込まれる風変わりなリズムの曲。
エコーの効いたボイスサンプルにパッドとピアノという取り合わせはエモ一直線。
意外と序盤に使うのも面白そうな感じも受けますね。
あとはブレイクのリフが消える部分でテンポを変えたりとか、色々考えると面白い使い方ができそうです。

まとめ

以上、4つ打ちドラムンベースにスポットを当ててお送りしました。
主にHardonizeで取り扱っているハードテクノと異なり、リズムの自由度が高いというのはそれだけで魅力に感じるものがありますが、それは4つ打ちであっても成立しうるというのがこの音楽の恐ろしさでもあり、楽しさだと思っております。
なかなかピンポイントで探り当てるのは難しい曲たちではありますが、変ミュージック好きとしては欠かせない存在ですので引き続き着目し、機会があればまた紹介していきます。

そんなわけで今回はここまで。

次週07月13日は774Muzikさんが担当します。
では。

おまけ (2020年以前リリースの楽曲)

Lynx, Newsome / Take Back The Night

Take Back The Night (Original Mix) by Lynx, Newsome on Beatport

アーバンなウワモノに似つかわしくないヘヴィーなリズム。異形のドラムンベース。

Netsky feat. Darren Styles / Look At Me Go

Look At Me Go feat. Darren Styles (Original Mix) by Darren Styles, Netsky on Beatport

ドラムンベース界のベテランとハードコア界のベテランが初めて手を組んだ双方の音楽が交互に展開される美味しいやつ。

Abstract Elements / Tenderness

Abstract Elements – Tenderness – YouTube

リリースされた2019年時点に於いてはミニマルドラムンベースの到達点という印象がある。
いつぞやのHardonizeでも使用済み。
本記事執筆時点では何故かレーベルごと配信停止中。

Frankee / Skuttle

Skuttle (Original Mix) by Frankee on Beatport

前半と後半でリズムパターンが異なるが、どちらも変態的な音使いをしている。

Icicle, IMANU / Preamble

Preamble (Original Mix) by Icicle, IMANU on Beatport

アシッドシンセっぽい音も鳴っており、かなりテクノ的な質感を伴った暗いミニマルドラムンベース。

Mefjus, June Miller / Saus

Saus (Original Mix) by Mefjus, June Miller on Beatport

スネア4つ打ち。ガラ極悪。

Forbidden Society / Swamp Rave

Swamp Rave (Original) by Forbidden Society on Beatport

ほぼドラムとベースしか鳴ってないマインドミュージック。

続きを読む


【特集】Hardonize#38 プレイリストピックアップ:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2021/06/24

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【告知】

先週行われたHardonizeにゲストとしてご出演頂きましたBishamonさんのパーティー、MANTLE Vol.3へ出演させて頂くことになりました。


以前Hardonizeへご出演頂いたDieさんや、秋葉原重工Techno Allianceを通して親交のあるハードウェアでテクノを演奏するYebisu303さんなどが出演します。
テクノハードコアの架け橋となる数少ないパーティーですので是非お越しください。

【Hardonize #38 無事終了】

というわけでお越し頂いた方々、お聴き頂いた方々、本当にありがとうございました。

ハーフナンバリングを経て何とか開催できてたのは嬉しかったです。
楽しみにしていた方には本当にお待たせしましたという思いです。
その分ゲスト両名のインパクトもあり、出足からハードミニマル全開でそこから一向にテンションが下がることなく最後までいったことで濃密な回をお届けできたのではないでしょうか。

そのゲスト2名のプレイを軽く振り返ると、Bishamonさんはここ数年彼が通っている山奥のレイヴ感を現場に落とし込んだ感じを受けました。
序盤はエレクトロニカダウンテンポから入って無機質なハーフステップドラムンベースからグレイエリアを経てリズム硬めのインダストリアルに推移していく玄人好みの内容。
元来ハードコア出身とあってレイヴサウンド多めだったのも個人的には楽しいポイントでした。

それを引き継いでブースに立ったASINさんはやはり徹頭徹尾シュランツ。期待通り。
時間経過と共にどんどんテンポも上がっていき、最終的にBPM190まで到達したのは過去最速だったのではないでしょうか。
延々と暴風雨のようなリズムが鳴り響く中にも多様なサウンドコラージュだったり、他ジャンルのサンプリングが用いられたりするので独特な高揚感のようなものを味わいました。

同じハードサウンドを持ち味とするプレイヤーであり、且つ出自も似ている者同士でありながらここまで別種のプレイを披露して貰えたのは眼福でした。
彼らのプレイに興味を持った方は是非彼らの出演するパーティーに足を運んでみてください。

また、期間限定ではありますが茶箱のTwitchアカウントでもこの日のプレイを再視聴することができます。
こちらも合わせて是非。
Twitch

【Hardonize #38 トラックリスト】

さて、自分はそんなゲスト2名を経てトリを任される流れでした。
前述の通り自分がブースに立った瞬間のBPMは190でして、ここからどう美しく、しかもハードテクノに寄せた上で〆るかという試練を課せられていたように感じます。

全容はこちら。
ハードコア~ドラムンベース~速いテクノ~ハードグルーヴ~メロディアスハードテクノ

No Artist Trackname Link
01 Art Of Fighters The scream of Eva (Neon Genesis Evangelion tribute) Beatport
02 THE MAD CAPSULE MARKETS GAGA LIFE. Spotify
03 LAURYN HELL ASUKA ATTACK YouTube
04 Kokushimusou Boss SoundCloud
05 Rave Our Souls Ravers Revenge (DJ K Remix) Beatport
06 Rockwell INeedU Beatport
07 Mefjus & Camo & Krooked Sidewinder Beatport
08 Danny Byrd (feat. Ownglow) Just a Step Away Beatport
09 Fracture Big up the Ladies Beatport
10 OSHIRIJIMA Booty Razor Bandcamp
11 Hyroglifics Turbo Island Beatport
12 Orbital Chime (Amps Juke-Out Remix) 試聴なし
13 HyperJuice Crashed in Icy 試聴なし
14 Tomaz vs. Filterheadz Sunshine (Lucas Deyong Rework) SoundCloud
15 Metrakit Berlin Beatport
16 Csokolom Amari Szi Amari (Andy BSK Remix) SoundCloud
17 Monika Kruse Latin Lovers (Eric Sneo Forward Mix) Beatport
18 DJ Brutec Funky Hipster (Homma Honganji Remix) Beatport
19 B D Y 08 (B02) YouTube
20 Yousuke Kaga Nova Spotify
21 Salbany Behavior Beatport
22 SHIN NISHIMURA RAID YouTube
23 FILTERHEADZ ENDLESS SUMMER YouTube

例によって数曲かいつまんでご紹介します。

【曲紹介】

01 / Art Of Fighters / The scream of Eva (Neon Genesis Evangelion tribute)

The scream of Eva (Neon Genesis Evangelion tribute) by Art Of Fighters on Beatport

イタリアのレジェンドプロデューサーArt Of Fightersによるハードコア
これがリリースされたのは2016年とちょっと前に当たるのですが、いやプロがこれやっちゃ駄目だろシリーズのトップクラスに位置する作品。
タイトル通りエヴァンゲリオンシリーズの劇中曲、Decisive Battleが元ネタ。
元曲のオーケストラパートとArt Of Fightersが20年間ハードコアシーンで磨き上げてきたスクリーチシンセの絡みが見事としか形容できない1曲。

ほんの2~3ヶ月前に大いに話題になったこととしてエヴァンゲリオン完結というトピックがあり、且つBPM190で拾うにはこれしかないと思って投入。
言うまでもないですが、Hardonizeで生粋のハードコアかけたのはこれが最初です。
10年以上パーティーを続けていると予期しないことが起こるもんですね。

06 / Rockwell / INeedU

INeedU (Original Mix) by Rockwell on Beatport

イギリスのプロデューサーRockwellによるドラムンベース
2014年リリースになりますが、この頃のRockwell自由奔放且つ無敵さを象徴する曲の1つ。
ファンク、R&B直系のブラスと肌理の細かいシンセ群が4つ打ちのリズムの上で跳ねる異形のドラムンベース

他に同時期にリリースされたものとしてDetroit1_2_3_4などが挙げられますが、中でもこのINeedUも収録されているアルバム、Obsolete Medium既存のドラムンベースの固定概念を大きく覆す独自性が強く、それでいて楽しい曲のオンパレードなので強烈にオススメです。

09 / Fracture / Big up the Ladies

Big up the Ladies (Original Mix) by Fracture on Beatport

イギリスのプロデューサーFractureによるベースライン
シンプルな4つ打ちにバウンシーなベースラインとレトロなシンセが印象的。
決して煌びやかではないものの、オールドスクールレイヴの土臭い格好良さが現れている曲。

14 / Tomaz vs. Filterheadz / Sunshine (Lucas Deyong Rework)

Stream Tomaz vs. Filterheadz – Sunshine (Lucas Deyong Rework) [FREE DOWNLOAD] by Lucas Deyong Official | Listen online for free on SoundCloud

ポーランドのプロデューサーLucas Deyongによるテックトランス
今年入ってから使うの3回目のような気がします。
往年のテクノアンセムのフレーズを大胆に用いつつ、アレンジの結果重厚さを得たリズムは一般的なテックトランスとは大幅に異なります。
インパクト強いわ、使いやすいわでついつい手が伸びてしまう曲。

18 / DJ Brutec / Funky Hipster (Homma Honganji Remix)

Funky Hipster (Homma Honganji Remix) by DJ Brutec on Beatport

ご存知、日本から世界に誇るハードグルーヴプロデューサー、Homma Honganjiさんの最新作。
前回の新作ハードグルーヴ紹介でも取り上げた、最近の大推薦曲。
肉厚なリズム、生音感強めのメインリフの陽気さ、時折差し込まれるブラスの存在感など、ハードグルーヴ的に100点の内容。

21 / Salbany / Behavior

Behavior (Original mix) by Salbany on Beatport

ポルトガルのプロデューサーSalbanyによるハードミニマル
全体的に丸みを帯びた出音の中で残響の効いたメインリフが仄かに哀愁漂う、どこか懐かしい印象を覚える曲。
これも今年のリリースの中ではかなり記憶に残るものなので、使う機会が回ってきて良かったと思った次第。

23 / FILTERHEADZ / ENDLESS SUMMER

Filterheadz – Endless Summer (Original Mix) – YouTube

ベルギーのプロデューサーFilterheadzによるテクノ
〆に夏っぽい曲をと思って辿り着いたのがこれでした。
今ではメインストリームテクノの第一線で活躍しているFilterheadzですが、一時期プログレッシヴ寄りのサウンドに傾倒した時期があり、その中の1作。
パッドの上にエモーショナルなフレーズが解放感たっぷり。
ヴァイナルでしかリリースされていないのが勿体ないですね。

まとめ

以上、Hardonize #38プレイリストをお送りしました。
アフタートークでも言った通り、かなり手探り感の強い選曲になっておりますが、そこそこスムーズにハードテクノに戻れた時は現場にいたTakayuki Kamiyaさんに『やった!僕やったよ!』と報告してしまうぐらいの達成感がありました。
それこそ普段の回だったら絶対かけないような曲も使えたのは良い経験になりましたし、やっぱりこういう無理難題シチュエーション好きなんだなと改めて実感しました。
今後も風変わりな選曲を披露していきたい所存です。

そんなわけで今回はここまで。

次週06月29日は774Muzikさんが担当します。
では。

続きを読む