新作ハードグルーヴ特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2023/08/17

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【告知】

次回Hardonizeの情報がゲストを含めて公開となりました。


2023/10/14(sat) Hardonize #45 at waseda sabaco | Hardonize web

15周年イヤーの3回目となる今回お招きしたのはDJ KITAさんDJ YO-Cさんの2名。
プロフィールによるとDJ YO-Cさんは93年から活動を開始とあるので、なんとHardonizeの倍。
そしてその弟子となるDJ KITAさんですが、こちらも20年はゆうに超えるDJキャリアの持ち主、というわけでどちらも大先輩に当たる方々です。

我々Hardonizeレジデントは全員、人によってはDJを始める前から彼らのプレイを現場や円盤で聴き、当時あったクラブカルチャー雑誌に掲載されていたレコードレビューを見ながら新譜DIGをしていたわけで、今回の節目にこうしてお呼びできたことは本当に光栄だと思うばかりです。

日にちは10月14日(土曜日)、スタート時間が若干変わりまして15時からとなります。
場所はいつもの早稲田茶箱
ハッピーでファンキー、そしてバンギンなサウンドを取り揃えて臨みますので是非ご来場ください。

【近況】

明日はSONICMANIAですね。
Flying LotusThundercatが出ることは当初から発表されてましたが、更にAutechreが加わるとは。
この3者の並びはビートミュージック好きにとって奇跡の並びだと思いますし、ギリギリまで悩みましたが今のところ行く心持ちです。
上で『ハッピーでファンキー~・・・』と書いたものの、当日ズブズブのブレイクビートやビキビキなノイズばっかり流していたら『そういうことだったんだな。』とお察しください。

【今回のお題】

さて、当連載に於ける自分の回ではハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

今回取り上げるサブジャンルは

ハードグルーヴ

です。

特別連載に於いては7回目に取り上げたパーカッションリズムと前のめりなグルーヴを擁したファンキーなハードテクノです。
自分が前回取り上げたのは2022年の10月とほぼ1年前、ちなみにその前は2021年の11月となっておりますが、当連載に於いては各々頻繁に取り上げているスタイルの音楽でもあります。

暦の上ではそろそろ夏も終盤というのにまだまだ暑い日が続いておりますので、季節とハマる陽気なテンションのものを紹介していきたいと思った次第です。
直近で取り上げたディスコといい、ハードハウスレイヴも個人的には夏の音楽と捉えておりますので合わせて是非。

早速ですがここ1~2ヵ月の間にリリースされた新作ハードグルーヴ紹介いってみましょう。

【曲紹介】

Jonasclean / Habibi

Habibi (Original Mix) by Jonasclean :: Beatport

トルコのプロデューサーJonascleanによるディスコ
ビートは最後まで鳴りっ放しで、上に乗るループネタが変わっていくことで展開するブートレグ色の強いトラック。
そのループに含まれるカッティングギターやボーカル、シンセがグルーヴ感満点のベースが搭載されたリズムと合わさってファンクネス指数高めです。
ディスコにしてはちょい速いテンポということもあってハードグルーヴとの相性も良いものになっています。

Studio 1ne / Circussco

Circussco (Extended Mix) by Studio 1ne :: Beatport

Total Control1ne Of A KindTuff Cookieなど、様々な名義を持つイギリスのベテランプロデューサーStudio 1neによるファンキーハードハウス
陽気なブラスサウンドとコーラス、早口ラップが跳ね系アナログベースの上に乗ったレトロなパーティーチューンといった仕上がり。
ディスコハウスハードハウスは勿論のこと、ハードグルーヴベースラインにも転用できそうな利便性は本当にありがたい限り。

Mark Broom / Love Train

Love Train (Original Mix) by Mark Broom :: Beatport

イギリスの重鎮プロデューサーMark Broomによるハードグルーヴ
トラック全体を通してトライバルパーカッションに軸足を置いた黎明期のハードグルーヴの匂いがめちゃめちゃ漂ってきます。
ブラスやストリングス、ソウルフルなボーカルといったインパクトの高いサウンドも随所に散りばめてあるものの、メインディッシュはパーカッションと言わんばかりに全面に押し出されており、この手のトラックは2000年代初頭によくリリースされていたことを思い返し、テクノの時代は1周回ったなということを感じさせてくれるトラック。
(収録EP名がHardgroove 4 Life EPというのもまた・・・ねぇ?)

旧来のトライバルテクノヘッズは見逃し厳禁のリリース。
774Muzikさん、あなたのことです。

The Miller / Old Story (Uncertain Remix)

Old Story (Uncertain Remix) by The Miller :: Beatport

オーストリアのベテランプロデューサーBoriqua Tribezの変名義、Uncertainによるテクノ
こちらもパーカッションリズムがメインとなっているトラック。
で、ここにエディットされたブラスやトライバルちっくなボーカルが規則的に差し込まれており、それらがなんとも不穏な空気を纏っているのが最大の特徴ではないでしょうか。
この2つの組み合わせでこんなに不穏になることがあるのかと意外な発見があります。
ハードグルーヴとして使うより、リズム主体のテクノの中に放り込むとかなり映えるトラック。

Sandro Mure / Reunion

Reunion (Original Mix) by Sandro Mure :: Beatport

ドイツのプロデューサーSandro Mureによるハードグルーヴ
フィルターを纏った規則的なシンセループとうねりのあるベースがアーバンな雰囲気を演出しているトラック。
ブレイク後はパッドも乗っかって更にエモーショナルな曲調に展開します。
夏、夕暮れ、ビーチを連想させる曲。

Marco Herzing / Sardegna

Sardegna (Original Mix) by Marco Herzing :: Beatport

ドイツのプロデューサーMarco Herzingによるハードグルーヴ
太めのリズムに規則的且つシンプルなシンセループ、前のめりなハイハットリズムというオーソドックスなハードグルーヴを体現している曲。
とりあえず持っておくと安心というタイプのグルーヴキープものという印象ですね。

ちなみにこれがリリースされたレーベル824 Groovesは今月(2023年08月)から作品展開を始めたばかりでまだ2作品しかリリースされておりませんが、
一昨日のyudukiボスのエントリーにて片方のRONDALE / Dramaから1曲取り上げられており、もう片方のV.A. / Vol.1に収録されているのがこの曲になります。
結構Hardonize内で注目されている新興レーベルですので一緒に今後の活躍を見守っていきましょう。

DJ Koh Bon / Are You Ready

Are You Ready (Extended Version) by DJ Koh Bon :: Beatport

オランダのプロデューサーDJ Koh Bonによるハードグルーヴ
エレクトリカルなシンセサウンドやレイヴオルガン、ワンショットのボイスサンプルが多用されていたりと、一般的なハードグルーヴと異なる音使いが印象的なトラック。
リズムが消えてウワネタだけになる箇所が複数ある点も含め、テックトランスに通ずるところがあるような気もします。
これも使い方次第で様々なジャンルとの架け橋になってくれそうですね。

Raden / Baila

Baila (Original mix) by Raden (UK) :: Beatport

イギリスのプロデューサーRadenによるハードグルーヴ
今回のインパクト大賞作品。
ジャズ感溢れる手数の多いピアノに加えてブラスの音も盛大に用いられており、とにかくライブっぽさが前面に出ているのが最大の特徴です。

ハードグルーヴは他のテクノに比べると生音サンプリングが比較的用いられる傾向にはあるものの、正直ここまでの作品はなかなかお目にかかることができないと思っており、個人的には今年の印象に残るリリースになってます。
このローファイ寄りなリズムもその空気感を出すのに一役買っているのでしょう。
めちゃめちゃ良い。

Homma Honganji / Inahachikonten

Inahachikonten (Original Mix) by Homma Honganji :: Beatport

我らが日本のプロデューサーHomma Honganjiによるハードグルーヴ
本間本願寺イズム全開の太いベースラインは本作も健在。
デケデケベースシンセとメインリフとなっているオーセンティックなテクノのシンセのツープラトンによって重厚感と開放感の両方を持ち合わせていると言っても過言ではありません。
あの人、単曲でこれだけ芯のあるトラックを自身のDJで平然と4枚使いの中に放り込んだりするからマジでどうなってんだと思いますね。

尚、タイトルの稲八金天をWikipediaで引くとこんな感じらしいです。
ネーミングセンスの謎さも変わらず健在。

最後はめちゃくちゃな曲を紹介して終わります。

Andy Bsk / Athlete’s March

Athlete’s March (Original Mix) by Andy Bsk :: Beatport

ドイツのプロデューサーユニットAndy Bskによるハードテクノ
普段はハードグルーヴメロディアスハードテクノなどをリリースしており、これらの中では顔役とも言えるAndy Bskが突如リリースしたシュランツに近いBPM150超えの高速作品。
リズムの硬さとか推進力とかも取り上げるべきなのは分かっているのですが、とにかくウワモノがとても変。
なんなのこの・・・なんなの!?
タイトルにあるマーチかどうかも怪しい、脱力感のある合唱曲が全編に渡ってサンプリングされており、どんな感情で聞けばいいのか今年最大の謎。

ちなみに終わり方もバツッといきなり終わります。
久々に潔いまでの雑さに出会えた気がします。

【次回】

そんなワケで今回はここまで。(バツッと終わります。)

次週08月22日は774Muzikさんが担当します。
では。

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7月後半~8月前半のハードテクノ新譜特集:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2023/8/15

はいどうも、今週もHardonizeレジデントDJがおすすめのハードテクノを紹介する連載、火曜日担当yuduki(@akuwa)がお送りいたします!今週も何卒よろしくお願いいたします!!

お知らせ

おまたせしました。
次回Hardonize45回目の告知がようやく出せました!

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ということで次回Hardonizeは(おそらく)15年アニバーサリーイヤーを締めくくるにふさわしいDJ KITAとYO-Cのお二人をお呼びして、ハッピーなDJで幸せな15周年を締めくくりたいと思っております。

今回も入場確約の事前予約枠ございますので、下記URLからどうぞ。
予約分の受付上限人数に達し次第、予約分の受付終了となります。
お早めのご登録をお願いいたします!

👇入場事前予約はこちらから
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScXLLqY3yMjwSYg5eOGEnwhv2owFkL8fUY1FB21J9yIQDs-Lg/viewform

お知らせ2

これは個人的なやつですが、今週末8/19に渋谷Another Dimensionで「TYMM」の4回目が開催されます。ハードテクノ的にはMaltine Recordからリリースした「Semitechno」でもおなじみGassyohさんと「Negative Cloud」主宰の一人、都内を中心に精力的に活動を続けるPicoさんをゲストにお迎えしております。当日ご予定が合えば何卒。

なお、Semitechno2のリリースが告知されております。
令和のセミテクノがきになる方もお待ちしております。

今週の新譜ピックアップ

…の前に、つい先日Beatportの値上げがあったのですが、見事にカートに入れておきながら買い忘れました。ますますクーポンが来ないと買わなくなってしまう体質に・・ですが、新譜はいつも通り掘っていきます。8月前半分の新譜チェックしただけでも良作盛りだくさんでしたので、今回はハードテクノ全般的に新譜を紹介していきたいと思います。

それではどうぞー。

Carpainter / SUPER DANCE TOOLS Vol.3

これだけはリリース全体でのピックアップ。Carpainterさんが自身のDJでプレイするために制作したエクスクルーシヴ楽曲を集めた「SUPER DANCE TOOLS」シリーズの最新作・続編がリリース!今作も全てフロア直球仕様、どこか2000年代のテクノが持つ独雰囲気を感じさせつつも絶妙なバランス感で今のフロアでバッチリハマる事なしの全10曲。まさに今回も「SUPER DANCE」TOOL!みんなで買おう!!!!!!!!

ATT & DOUBLE PEACE / Purple Flamingo

DJ ATT Crazy MashupシリーズでおなじみATTさんによる主宰レーベルBOYS LIKE GROOVEはやくも第三弾、オールドスクールな雰囲気を感じさせつつも最近の音作りと融合させたディスコチューン。ハードグルーヴとの相性◎で今後のリリースも要注目。

RONDALE / Skate Andy Bsk Remix

みんな大好きAndy BSKリミックス!!過去作はRhythm RecordやJoey’s loopからもリリースのあるRONDALEによる新レーベル824 grooveの第2弾「Drama」より、女性ヴォーカルの歌声が流麗なトラックをAndy BSKによるモア・ハードグルーヴリミックス!!ハードグルーヴらしい派手さはないですがDavid Moleronあたりのストイック目なラインが好きな方にもおすすめ。

Filterheadz / Apokalypse

2023年乗りに乗ってるFilterheadz新作、今作も絶好調にピークタイム前後のタイミングで使っていきたい一発。重厚なボトムにブレイクで右肩上がりで展開するレイヴ感溢れる多幸感あるサウンドが今作もフロアで活躍してくれそうな予感。

ちなみに、Thomaz vs Filterheadz / Los Hijos del Sol Coyu Remix なんていうリミックスも最近Suaraからリリースされてたりします。最近Suaraマジでやってますね。

Raftek / Cosmic Alignment

イタリアのプロデューサーRaftek新譜は、うねるグルーヴにソウルフルに歌う女性ヴォーカルが特徴的な(なんの歌物だ)ハードグルーヴチューン。めちゃめちゃに歌うヴォーカルとシンプルな展開かつヒプノティックな音作りが癖になりそうなナイスチューン。

Robert Armani / Circus Bells Ken Ishii Remix

ハードフロアがリミックスしたことでもおなじみのRobert Armaniのシカゴハウスクラシック「Circus Bells」のKen Ishii Remix!!オリジナルの浮遊感溢れるサウンドはそのままにヘヴィーなサウンドにリミックスとして仕立てた一枚。他にはCristian Varela Remixなども収録されておりますがこれ以外にもナイスリリースがもりだくさんのRobert Armani「30+ Years Remixes Series」自体も要チェック!!

Nuke / Hyperdrummer

ストイックに淡々と展開しつつも、チャカポコとしたトライバルなパーカッションとエスノ感のあるシンセが響き渡るナイスDJツールでgood!

Hertz / Cis

Filterheadzに続いて最近またリリースペースが絶好調なHertzの新譜は、レーベルとしても今年は良作リリースの多いTronicより!往年のテイストを感じさせたトライバルチューンでありつつも、近年のサウンドを取り入れたセンスは流石のベテランの手腕と言ったところ。緊張感のある「Neu」など同EPに収録されている他4曲もナイスチューン揃いでEPまるっとマストバイ!!!

Thomas Schumacher, Mark Porter / Hustle

トマシューNew!今作は疾走感溢れる地を這うようなベースとしゃべくりヴォーカルで徐々にビルドアップしてブレイクでレイヴィーなシンセとともに一気にテンションをピークタイムに持ち上げていく盛り上がり必至の一発。

以上、今週のオススメハードテクノでした。
次回更新は木曜日、担当はTAKくんです。