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特別連載:ハードテクノとは何か? – 第1回:黎明期編


特別連載:ハードテクノとは何か?
第1回:黎明期編
特別連載:ハードテクノとは何か? – 目次

第1回:黎明期編 (今回)
第2回:ハードミニマル編
第3回:ハードアシッド編
第4回:ハードトライバル編
第5回:ハードハウス編
第6回:シュランツ編
第7回:ハードグルーヴ編
第8回:インダストリアル編
第9回:テックダンス編

番外
第1回:メロディアス・ハードテクノ編
第2回:ハードダンス編
第3回:ディスコ編

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

ここ数回の記事は各レジデントがHardonize#33でプレイしたトラックについて触れる回でした。
手前味噌ながらワタクシのトラックリストはコチラ
で、次回パーティーにつきましても早速準備が進んでおります。
いずれ告知が出ると思いますので、その時はお付き合い頂けますと幸いです。

ところで、我々はよく連載記事で曲を紹介する際、ある特定のジャンルを指して『〇〇っぽい。』と云うような記述をするのですが、ハードテクノのサブジャンルについてパッとイメージできる方はどのくらいいらっしゃるのでしょう?とふと考えてしまいました。

テクノの歴史が長いように、ハードテクノが誕生してからもそこそこ長い年月が経っております。
その中で他ジャンルからの流入を経てそれなりに色々なタイプのハードテクノ楽曲が輩出されているので、一口にハードテクノと称してもそこそこハードテクノに触れている人からすると、『どのハードテクノ?』となってしまいがちです。

その一方でハードテクノが流行していた時代と云うのは今となってはかなり昔の出来事で、アーティストが頻繁に来日したりフェスが開催されたりと云うメインストリームのテクノに比べるとすっかりアンダーグラウンドの存在になってしまいました。
従って2019年現在、ハードテクノと云う音楽を踏み込んだ分類の元、語られる機会と云うのはそうそう無いような気がします。
尚、リリースに関しては当連載で触れている通り今でもコンスタントに行われているフシが見受けられるので、ハードテクノがジャンルとして死んだわけではないと云う点については声高に主張させて頂きたいところです。

早い話が、ハードテクノをある程度体系化して紹介する時が来たのではないかと思い立ったわけなので、今回から次回パーティーの開催前後まで、ワタクシTAK666の担当回は

ハードテクノとは何か?

と云うテーマにスポットを当ててご紹介していきます。
主にハードテクノが内包するサブジャンルの概要とその代表曲、あと自分が好きな曲とかを取り上げていきます。
極めて最近の傾向で言うとメインストリームテクノがハードテクノのエッセンスを取り入れていたりするのもあり、今1度ジャンルそのものを振り返ることは意味があるのかなと思ったり。
何らの参考になれれば嬉しいです。

さて、と云うわけでハードテクノとは何か?の第1回目に入っていきたいと思います。
ここではテクノがどのような変遷を経て現在ハードテクノと呼ばれる音楽に至ったかまでを述べていきます。
言わば黎明期編です。

まず前提としてテクノと云う音楽があります。ありますね?
テクノ誕生の話はKraftwerkが結成される1970年とかまで遡る必要が出てくるので、面倒ここでは触れません。

神は言われた、「テクノあれ」。
こうして、テクノがあった。
第1の日である。

とにかくテクノがあったんです。

そのテクノに含まれるジャンルの1つとしてハードテクノがあります。
ここまでは概ねご認識の通りだと思います。

ちなみに、以前Kouki Izumiさんが作成されたテクノのカテゴライズに関する図がコチラです。


冗談半分で作ったネタ画像だとは思いますが、この中でもハードテクノがテクノの1種であることは示されています。

但し、ハードテクノ誕生に於いては最初から『これはハードテクノだ』と認識された状態で作られたわけではありません。
そもそも1990年当時はテクノのフォーマットすら曖昧な時代、上の図で言うところのハウスもテクノだしジャングルもテクノ、シンセサイザーを使ってたらとにかく全部テクノみたいな認識は少なからず持たれていた時代です。
なので、今回触れる曲の大半は厳密にはハードテクノではなく、後年ハードテクノに通じる『リズムの圧が強いテクノ』と云う扱いが正しいと思われます。

さてこの頃、イギリスを始めとするヨーロッパでは野外で行われるレイヴが巨大ムーブメントを形成しており、ハウス、テクノ、ジャングル、そしてハードコアと云った音楽を成長させる要因になっていました。
当時を代表するレーベルの1つとして今も活動を継続しているベルギーのR&S Recordsがあるのですが、そこから1990年にリリースされた曲がテクノに大きく影響を与えたと言われています。

Joey Beltram / Energy Flash

Energy Flash (Original Mix) by Joey Beltram on Beatport

ニューヨークのDJ/クリエイターJoey Beltramのデビュー作にして出世作。
所謂アシッドテクノのパターンではない鳴らし方でTB-303を使っている点や、ベースループの深く怪しげな感じが斬新で、テクノDJの誰もがこぞってプレイしたとか(※)。
ボーカルはおろかメロディーと呼べるものも少ないこのスタイルは同じBPM帯に存在するハウスと明確に一線を引いたものとして捉えられ、これ以降、BPM130前後で反復するリフとリズムマシンを使った機械的なリズムがテクノのキーワードになっていくことになりました。
(※参考:90年代にテクノシーンを変えた大傑作「Energy Flash」の偉大さをKEN ISHIIとQ’HEYが語る | block.fm)

よくよく聴くとこの曲には4分打ちのハイハットや深いキックなど、後のハードテクノに通じる要素も入っていることが分かります。
前出の通り、R&S Recordsがベルギーのレーベルと云うことで、隣国ドイツへの影響もまた大きかったのか、ドイツではレイヴの持つアグレッシヴなシンセサイザーサウンドをテクノに落とし込んだテクノ(所謂ジャーマンテクノ)が頭角を表していきます。
レイヴパーティーLove Paradeの存在も相まって大規模なシーンを作り上げていくのですが、そのオーガナイザーDr. Motteが1992年にリリースした曲はEnergy Flashが提唱したテクノの要素を更に精鋭化させたものでした。

3 PHASE feat. Dr MOTTE / DER KLANG DER FAMILIE

3 PHASE feat Dr MOTTE – Der Klang der Familie (original mix) ( NOVAMUTE ) – YouTube

大分BPMが速くなり、今で言うハードテクノ感が強くなってます。
これもメロディーを排した単調リフもので、音数や構成はシンプルながら疾走感がありつつ重いリズムが特徴です。
ジャーマンテクノのスタイルがこういったものばかりと云うわけではないですが(逆にもっとテンポの速いものもあった)、90年以降はこういったスタイルの曲もしばしばリリースされてました。

さて一方Joey Beltramの出身地であるアメリカにはもう1つ触れておかねばならない存在がいます。
数々の変名義の元にデトロイトからテクノを発信していたDJ/クリエイターJeff Millsです。
かつてはディスコ~ニュー・ウェイブのDJを務めたり、Underground Resistanceの一員としてウァームアップ系のテクノ、デトロイトテクノの発展に寄与したりと、どちらかと云えば温厚な音の担い手と云うイメージがありましたが、Underground Resistanceを脱退した1992年以降の彼が着手したものは凄まじくハードなものでした。

MILLSART / STEP TO ENCHANTMENT

Jeff Mills – Step to enchantment – YouTube

当時のテクノにしては超重厚なリズムと歪んだシンセリフ、且つ速い。
そして何よりシンセのパラメーターと金物以外変化のない展開は革新的なスタイルとして強く印象付けられました。
尚、これは上記のレイヴやジャーマンテクノの影響と云うよりは、当時すっかり商業化していたこれらのサウンドに対するカウンターと云う側面が強いと云う見方があります。
ドイツではアグレッシヴさを求めて速く、硬くなっていったのに対し、アメリカではよりシリアスに、ストイックに特化した結果、速く、硬くなっていったと云う。
全く違う思考プロセスの割に到達点が同じと云うのはなかなか面白い出来事だったように感じます。

ちなみにJeff Millsは1991年時点でこんな感じでした。

X-101 / Sonic Destroyer

Sonic Destroyer (Original Mix) by X-101 on Beatport

当時から現在まで継続している由緒正しいドイツのレーベル及びクラブであるTresorからのリリース。
この時点でも大分硬い音が出ているように見受けられますが、レイヴっぽさもある曲。

余談ですが、上述のようにJeff Millsがレイヴから離れようとした一方でレイヴから派生した音楽であるところのトランスにこのSonic Destroyerをサンプリングした曲があります。
しかも初期トランスに於けるアンセム的扱いです。世の中って不思議ですよね。

一方、最初に挙げたJoey Beltramはと云うと、Energy Flashの後もレイヴクラシックに数えられるヒットを飛ばし、1994年以降は主にアシッドテクノに注力するようになるのですが、1994年に出たこれは当時の電子音楽の分類では括れないものでした。

Joey Beltram / The Start It Up

The Start It Up (Original Mix) by Joey Beltram on Beatport

強烈の一言です。
手数の多いパーカッションリズムと云うだけで大分変ですが、ほぼリズムパートだけで構成されていると云うのも奇妙なトラック。
キックの質感はシカゴハウスのそれに近かったりするのですが、あっちはメロディーだったりボーカルだったり、もっと色々なパートが入ってくるし、と云うかそもそもこんなにテンポも速くないし。

今ではハードテクノの原型として語られることも多いトラックです。
これまた余談ですが、2008年に行われたHardonize第1回目の際、僕以外のレジデントが3人とも1回ずつこれをかけたと云う曰く付きの曲でもあります。

これらテクノの影響はやがてレイヴの震源地、イギリスにも到達します。
TB-303を駆使し、より快楽的なサウンドをテクノに適用させたアーティストの1人がLuke Slaterでしょう。
彼が1993年にPlanetary Assault Systemsと云う名義で繰り出したのがコチラ。

Planetary Assault Systems / In From The Night

In From The Night (Original Mix) by Planetary Assault Systems on Beatport

速いビートと音の抜き差しだけで行われる展開作り、但しTB-303は鳴りっぱなし。
このように延々とTB-303の音が流れるテクノと云うのも2019年現在進行形で存在していますし、そう云った曲の先駆けとなった存在であることは間違いないと思います。

ちなみにこのLuke Slater、今年に入って本名義の方のリミックスアルバムが出たのとほぼ時を同じくしてPlanetary Assault Systemsのミニアルバムが出ていて未だ健在です。
今年は本当に予想外のことが立て続けに起こっている気がします。

もう1つ、イギリス繋がりで紹介すると、Dave Clarkeが1994年にリリースしたこの曲も、のちのテクノに大きく影響を与えたものとして名高いです。

Dave Clarke / Wisdom to the Wise

Dave Clark RED. 2 Wisdom to the Wise – YouTube

メインのリフはシンプルにループしているだけなのですが、後ろで薄く鳴っている音だったりリズムの金物だったりは細かく変化している実はテクニカルなトラック。
上で挙げたSTEP TO ENCHANTMENTと同じ部類に入ります。

これらのループものトラックが何故革新的だったかと言うと、それを他の曲と同時再生させることでプレイするDJ自身がリアルタイムに曲の展開を産み出せる点が大きかったようです。
所謂2枚使い、3枚使いですね。
トラックを単体として使うのではなく、素材として使うと云う発想はクラブに於けるテクノの勢力図を変質させたと言っても過言ではありません。

とりわけこの曲は後年の影響も凄まじく、2013年には20年越しにリミックス盤が出たりしました。
これまた凄い陣営。

以上が後年ハードテクノと呼ばれる音楽の礎になった曲の一部です。
特徴としては

・メインストリームテクノよりは速いテンポ
・4分打ちのハイハットによる疾走感のあるグルーヴ
・キックの強度やベースの厚み

この辺りが主に挙げられるのではないかと思われます。

ハードテクノと云う単語自体は1995年前後には存在(※)していたようなので、誕生と言うのならこの辺りが誕生なのかなと推測してその辺りでリリースされていたものを黎明期編と云うテーマで選出しました。

※参考:それぞれ1994年~1996年リリース。
Hard Techno Classics From Deepest Germany Volume One (CD, Compilation) | Discogs
Hard Techno Classics From Deepest Germany Vol. 2 (CD, Compilation) | Discogs
DJ Olive – Hard Techno (CD, Mixed) | Discogs

ちなみに、ここまで紹介したハードテクノが割とメロディーを排除しているものが多かったものの、後年はメロディーのある曲もある程度増えていきます。
最後ダメ押し的に紹介するとこれでしょうか。
1997年リリースなのでハードテクノ黎明期かと言われるとかなり微妙ですけれど。

technasia / descent

Technasia – Descent – YouTube

こういった音についても今後の連載でご紹介できたらなと思います。

次回からはハードテクノの中、ハードテクノが内包する各サブジャンルについて踏み込んでいきたいと思います。
現在のハードテクノが内包するサブジャンルで、当連載でも度々名前が挙がるものについてざっくりとベン図をこさえてみました。

異論は全面的に受け止めますが、ひとまずこんな感じではないでしょうか。
今後はこの図に沿って各サブジャンルにスポット当てていく形で進めたいと思います。

と云うわけで次回の『特別連載:ハードテクノとは何か?』につきましては06月27日に公開。
小テーマはハードテクノの花形、ハードミニマル編となります。

そして次週06月18日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 目次

第1回:黎明期編 (今回)
第2回:ハードミニマル編
第3回:ハードアシッド編
第4回:ハードトライバル編
第5回:ハードハウス編
第6回:シュランツ編
第7回:ハードグルーヴ編
第8回:インダストリアル編
第9回:テックダンス編

番外
第1回:メロディアス・ハードテクノ編
第2回:ハードダンス編
第3回:ディスコ編

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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2019/05/30

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

Hardonize 33回目、無事に終了致しました。
お越し頂いた方々、この記事をご覧頂いている方々、本当にありがとうございます。

当日は別パーティーとダブルブッキングだったため、レジデントのプレイを聴くことができませんでしたが、話を聞いたところによると相当変わったことをやっていたようで。
ハードテクノを軸に他ジャンルまで伝播させると云うのはこれまで自分が推進してきたこともあって聴けなかったのが残念ではありますが、おそらくこの辺りは各々の担当回に於いて語られることでしょう。
と云うかそういうこともっとやっていいのよ?

それも今回のゲスト2組のポテンシャルに引っ張られての形だったことは想像に難くありません。
レイヴィーな最新トラックを連発しながらテックダンスのクラシックまで押さえたDon2Kの2人、反対に90年代レイヴクラシックをこれでもかと濃縮させたプレイをヴァイナルオンリーで展開させたbirdheadさん、共に良いものを披露して頂きました。

ワタクシはこの日トリを担当致しました。
出番前のbirdheadさんがオールドスクールレイヴであることは目に見えていたので、そこから最近のトラックに推移させることを念頭に置きました。
既に何回か連載の中で触れておりますが、最近のメインストリームテクノにレイヴ回帰が起こっていて、スタブやドミネイターと云った『あの頃』の音が乗ったトラックがガンガン新譜としてリリースされているのです。
4つ打ちだけでなくアーメンモロ使いのダークなブレイクス界隈もかなり活発なので、その辺りひっくるめてスポットを当てた内容になりました。

全容はこちら。
ブレイクス~レイヴ回帰系テクノ。

No Artist Trackame Link
01 THE PRODIGY OUT OF SPACE beatport
02 THE PRODIGY FIRE (SUNRISE VERSION) beatport
03 SL2 On A Ragga Tip (Original Remastered) beatport
04 THE PRODIGY FIRESTARTER beatport
05 BONG-RA vs THE DJ PRODUCER GLOWSTYX BANGFACE VIP beatport
06 T99 Anasthasia (Pulsar Remix) beatport
07 Echo Knight Xscape beatport
08 Top Cat Request the Style (Special Request Remix) beatport
09 Joy Orbison Off Season bandcamp
10 Raito Hardcore Rave beatport
11 Quentin Ravn Planet B beatport
12 The-Prophecy Jam Master (T78 & ROBPM Remix) beatport
13 Outlander Vamp beatport
14 Atix Circles beatport
15 PALI, Lorenzo Raganzini No Escape (Regal Remix) beatport
16 Blicz Modern Revolt beatport
17 T99 Anasthasia (Falhaber Remix) beatport
18 Da Hool Meet Her At The Loveparade (Shadym & Alain Delay Rework2018) SoundCloud
19 SPLNTR The Battle Of The Thunders (Rave Edit) beatport
20 Earwax (IT) Hardship beatport
21 Jensen Interceptor Aqua Lung beatport
22 fuse vs lfo loop beatport
23 808 State Pacific 212 YouTube

冒頭The Prodigyの曲を3つ立て続けに使ったり、Anasthasiaリミキシーズから2曲使ったり、好きが高じて大分無茶をやりました。
例によって数曲かいつまんでご紹介します。

THE PRODIGY / FIRESTARTER

The Prodigy – Firestarter (Official Video) – YouTube

序盤3曲The Prodigyで固め打ちした中の1つ。分かりやすくKeith Flint追悼。
1996年にリリースされた彼らの代表曲とも言える作品で、当時生まれたビッグビートと云うジャンルの金字塔でもあります。
ファットなリズムにサンプリングされたギターリフが繰り返されるシンプル且つインパクトのある曲。
Keith Flint追悼回でも触れましたが、彼がProdigyに於いてボーカルに転身した最初に作られた曲でもあるので、どうしても使いたかった。

Top Cat / Request the Style (Special Request Remix)

Request the Style (Special Request Remix) by Top Cat on Beatport

1994年リリースのレゲエをこの曲が由来となっているPaul Woolfordのプロジェクト、Special Requestがアレンジしたもの。
Special Requestについては過去の記事で特集している通り、現代テクノとオールドスクールレイヴの架け橋を担い、多くのヒットチューンを輩出している存在です。
この曲に関してはとにかくベースが深い。
延々と反復されるアーメンといい、早回ししたらそのままジャングルとしても使えそうな仕上がりです。
元のBPMが140と云うこともあり、各ベースミュージック、ブレイクビーツとしても機能する大変使い勝手の良いトラック。

Quentin Ravn / Planet B

Planet B (Original Mix) by Quentin Ravn on Beatport

やや歪んだリズムと浮遊感のあるパッドと云う相反する要素が絡んだテクノ。
こういう曲は飛び道具として使いやすいので割と重宝する傾向にあります。
ドライな金物からショートブレイクを経て4つ打ちリズムに流れ込む展開をするため、ブレイクビーツからテクノに推移する過程で使用しました。

T99 / Anasthasia (Falhaber Remix)

Anasthasia (Falhaber Remix) by T99 on Beatport

前回の担当回でも触れた今年の重大出来事、Anasthasiaリミキシーズ3部作の中から1つ。
リズムの硬さもそれとして、リフのエディットに於いてかなり攻めていると思われるこのアレンジ。
Falhaberはここ数年でシーンに現れた急先鋒ながらメインストリームテクノ~ハードテクノどちらでも使えるような丁度良い塩梅のトラックを得意としているフシがあるので、要注目のアーティストだと思います。

SPLNTR / The Battle Of The Thunders (Rave Edit)

The Battle Of The Thunders (Rave Edit) (Original Mix) by SPLNTR on Beatport

ダークテクノの新星アーティスト、SPLNTRによる最新EPより。
オリジナルのホラー且つインダストリアルなテイストにスタブ、アシッドと云ったレイヴパーツを上乗せした破壊力倍増のトラック。
ちなみにEPのリリースは本作でまだ2作目と云う超若手でありながら、収録曲や彼のSoundCloudアカウントにはオールドスクール感溢れるトラックが目立ちます。
こちらも今後要注目(特に歪んだ音が好きな人向け)の存在と言えるでしょう。

fuse vs lfo / loop

Loop (Original Mix) by Richie Hawtin, F.U.S.E., LFO on Beatport

割合レイヴの派手な音を立て続けにかけたので、最後はデトックス気味に、それでもオールドスクールに敬意を払いつつこちらで〆。
1993年にLFOとF.U.S.E a.k.a. Richie Hawtinと云うテクノレジェンド同士の合作と云う形でリリースされたアシッドハウス。
展開も構成もシンプルながら延々と繰り返されるTB-303TR-808、そしてTR-909と云った名機たちの音は中毒性のカタマリで、まさしくクラシックと呼ぶに相応しい曲。
今年に入ってRichie HawtinがF.U.S.Eの活動25周年記念盤を出したこともあり、最後に持ってきました。

ちなみに、厳密には808 State / Pacific 212をウワモノとしてかけつつ、ボトムをこちらメインで流すと云う人力マッシュアップをやりました。
こちらもテクノクラシックとして有名な曲。
割と両曲の展開がピッタリハマるので是非真似してみてください。

他の曲も取り上げたいところではございますが、今回はここまで。
上記トラックリストの各楽曲に於けるリリース日を見ると、今年のものがかなり多いことが分かります。
オールドスクールレイヴの発祥から30年、現在進行形で現行のシーンにリバイバルが起こっているのです。

東京ではテクノのパーティーが毎週どこかで行われておりますが、とりわけ最新のアグレッシヴな音に焦点を当てたパーティーではこういった音が流れることも珍しくありません。
だもんでワタクシのように当時クラブミュージック自体触れていなかった世代にとって、今のこのシーンからは得られるものが多いように感じます。
これを見て興味を持たれた方がいらっしゃいましたら是非様々なパーティーに足を運んで頂きたいと願っております。

余談ですが、前回の担当回にて触れた秋葉原重工の渋谷Contact回、Hardonize前日深夜に行われたFatima HajjiとPig&Dan来日、Hardonize当日深夜に行われたWehbba来日
全部行きました。
ホントこの週テクノづくしで楽しかったです。
得たものは積極的にアウトプットできるよう心がけます。

ちなみにHardonizeを含む全行程でTakayuki Kamiyaさんと一緒でした。
あの人のテクノに対するタフネス本当に凄い。
あと3日前にも一緒にカレー食べました。
ボスも彼を見習って早く僕にラーメン奢るべき。

次週06月04日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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