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特別連載:ハードテクノとは何か? – 番外第1回:メロディアスハードテクノ編


特別連載:ハードテクノとは何か?
番外第1回:メロディアスハードテクノ編
特別連載:ハードテクノとは何か? – 目次

第1回:黎明期編
第2回:ハードミニマル編
第3回:ハードアシッド編
第4回:ハードトライバル編
第5回:ハードハウス編
第6回:シュランツ編
第7回:ハードグルーヴ編
第8回:インダストリアル編
第9回:テックダンス編

番外
第1回:メロディアス・ハードテクノ編 (今回)
第2回:ハードダンス編
第3回:ディスコ編

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

近況報告。


近況報告終わり。

先週のさんごさんのエントリーで書かれていた通り、次回パーティー開催に向けて粛々と準備を進めております。
また決まり次第、こちらでご報告をすることになろうかと思いますので引き続きご愛好の程、よろしくお願い致します。

さて、ワタクシの担当回では直近7回に渡り、特別連載と題しましてハードテクノが内包する音楽のスタイルについて解説していくハードテクノとは何か?をお送りしてきました。
一応予定では前回パーティー直前までと云うことで一区切りついたところではあるのですが、個人的にまだ取り上げたいカテゴリーがいくつか残っておりますので、このまま延長戦にいきたいと思います。
こういった切り口でハードテクノを紹介できる機会もそんなにないと思いますし、継続できるうちは継続していきます。
勿論、早くボスにラーメンを奢ってもらいたいと云う意味も籠ってます。
(ていうか、スケジュール的にまたM3直後の連載担当になるじゃないですかワタクシ。早いとこお願いしますよホント。)
と云うわけでこちらの方も引き続きお付き合い頂けますと幸いです。

まずはこれまでの復習。
初回ではハードテクノのサブジャンルについて

上のような図を用いて表した上でハードテクノの特徴を

・メインストリームテクノよりは速いテンポ
・4分打ちのハイハットによる疾走感のあるグルーヴ
・キックの強度やベースの厚み

としました。

今回は番外編と称しまして、この中には載っていないメロディーのあるハードテクノについて紹介していきたいと思います。

これまでの特別連載をご覧頂いていた方はお分かり頂けますように、ハードテクノと云う音楽は基本的に反復する音の集合によって構築されています。
従ってリフと云う概念こそあれど、メロディーの要素はハードテクノに於いてあまり一般的ではありません。
ちなみにこれは2019年現在のメインストリームテクノに対しても同様のことが言えますし、逆にメロディーに依存しないことこそ、テクノが他のダンスミュージックと異なっている大きな特徴であるとも言えます。

しかし、一般的ではないと云うだけで中にはちらほらメロディアスなスタイルを持つトラックもありました。
特に2000年~2007年頃にかけて様々なアーティストによって多くリリースされていたように感じます。
但し、これらのトラックの共通点はメロディーを構成しているシンセが強調されて使われていることのみであり、シンセ単体やリズムの質感については完全に別物。
また、こういったハードテクノを専業とするアーティストの存在も特にいないため、サブジャンルとして確立するまでには至っていない印象があります。

なので、今回の副題であるメロディアスハードテクノもまたジャンル名ではありません。
ワタクシが便宜上勝手にそう呼んでいるだけのものです。
何卒ご容赦の程。

ちなみに、ダンスミュージックとしてのテクノを基調としながらメロディーが用いられている曲と云うのは80年代からありました。
当時を代表するものとしてはやはりこれ。

808 State / Pacific State

808 State – Pacific State – YouTube

1989年リリース。
メランコリックな管楽器のフレーズが最大の特徴で、808 Stateの代表作としても名高い名作。

彼らはイギリスのアーティストですが、アメリカでは同時期にデトロイトテクノと云う、やはりメロディー主体のジャンルが生まれていたこともあり、テクノが成長していく過程に於いて脈々と受け継がれていた、と云う事実はあったように思います。
それがハードテクノの顕在化後にも自然に流用されるようになったと考えられるので、今回のテーマに於ける発祥はどこ、と云うことについては言及を避けてひたすら自分の好きな曲を挙げていく感じで進めます。

Mijk van Dijk / Burnout

Burnout (Original Mix) by Mijk van Dijk on Beatport

2000年リリース。
ジャーマンテクノの大ベテランにして日本大好きなMijk van DijkがPlayStation 2用レースゲームリッジレーサーVのために書き下ろした曲。
同ゲームのサウンドトラックにも収録されている他、GameTrax EP, Vol. 1と云うEPサイズでのリリースもされており、後者は各配信サイトから購入が可能です。
スペーシーなシンセと16分刻みのベースラインがまさしくドライブ感満載の逸品。
厳密にはハードテクノではないのですが、テンポや音の厚みはハードテクノのそれと非常に近く、DJに於いても違和感なく使えるトラックです。

ちなみにこの後2002年に出たアルバムEverygroundにもこの手のトラックがぎっしり入っていて大変オススメです。
ストリングスを盛大にフィーチャーしたDiscoqueenには何度もお世話になりました。

Technasia / Evergreen IV

Technasia – Evergreen IV – YouTube

2001年リリース。
Technasiaは現在、フランス出身のCharles Sieglingのソロプロジェクトとなっておりますが、これを手掛けた当時は香港出身のAmil Khanとユニット体制で活動しておりました。
でもって当時の彼らの持ち味と云えばこういった浮遊感のあるシンセを前面に据えた曲と云う印象が強かったです。
中でもこの曲は主張の強いリズムに加え、それとは対照的な綺麗系パッドと男性ボーカルが乗ったかなり異色作。

ちなみにこのEvergreenは複数種類のバージョンが制作されており、Evergreen Iではもう少しメインストリームに近いものが聴けます。

Tomaz, Filterheadz / Sunshine

Sunshine (Original Mix) by Tomaz, Filterheadz on Beatport

2002年リリース。
ハードトライバル編でも触れたFilterheadzTomazによるプログレッシヴ・ミーツ・トライバルテクノと云った塩梅のトラック。
アーバンなメロディーに対してアグレッシヴなリズムはこれまたあまり類を見ないスタイルとして印象付けられ、数多くのコンピレーションやMIXに収録されました。
同年のテクノリリースに於いてはかなり上位のセールスを記録していたように感じます。

Filterheadzはこのリリースの後、プログレッシヴ系統の作風が強くなっていくため、ハードテクノを手掛けた(現状)最後の作品に当たります。

Mauro Picotto, Riccardo Ferri / New Time New Place

New Time New Place (Original Mix) by Mauro Picotto, Riccardo Ferri on Beatport

2003年リリース。
Mauro PicottoRiccardo Ferriと云う共にイタリア出身の2人による共作で、これ以外にも当時は頻繁にコラボレーションを行っていた名コンビ。
そして両名ともテクノとトランスを跨ぐ形で活動を行っていたため、双方のシーンから厚く支持を得ていたアーティスト同士でもあります。
そんな2人の作品の中でも特に強烈だなと思うのがこれです。
序盤から過度にパラメーター変化が行われるギラついたベースシンセに加え、中盤の大ブレイク以降から差し込まれるシンプル且つインパクトのあるシンセはそもそも大ブレイクを含む展開と合わせてテクノに於いてかなり異質な要素。
一方でリズムはハードテクノの手法に則った構成になっているため、ジャンルの定義が非常に難しい曲。

これに関しては未だにある種の最先端だと思っております。
最先端過ぎて誰もついていけなかった部類ではないでしょうか。

Joris Voorn / Incident

Incident (Original Mix) by Joris Voorn on Beatport

2004年リリース。
オランダ出身のJoris Voornによって作られた00年代テクノに於いて誰もが認めるスマッシュヒットアンセム。
パーカッシヴなリズムにノスタルジックなリフ、ロングブレイク以降はM1ピアノがこれでもかと言わんばかりに鳴り響く、感情に訴えてくる要素がてんこ盛り。
この曲についてはとある事情により以前単曲での特集を組んでおりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

ちなみに、今嫌な予感がして今年もまたこの曲のネタモノが生まれていたりしていないか探してみたところ、秒で見つけてしまいました。

Joris Voorn – Incident (Skymate Ambivertal remix) – YouTube

しかもこれ、TiestoのPodcastで流れたらしいです。

CLUBLIFE by Tiesto Podcast Episode 605 Two Hours – YouTube

調べたら本当に1:48:25辺り、最後から2番目に大変聞き覚えのあるフレーズが。
いつまで続くんでしょうこの波・・・もう15年前の曲ですよ・・・?

Kobbe, Trish Van Eynde / Exploration

Exploration (Original Mix) by Kobbe, Trish Van Eynde on Beatport

2006年リリース。
アメリカ出身のKobbeとベルギー出身のTrish Van Eyndeによる共作。
上記のBurnout同様、スペーシーなシンセと硬いリズムが絡み合うハードテクノ。
メインリフのパートが2回あり、それぞれメインで使われているシンセが異なる点もさながら、イントロが3分30秒程と長い上にその間ブレイクビーツが鳴り続けると云う点がかなりテクニカルな印象です。

Kobbeはあまり知られたアーティストではないものの、この手のメロディアスなテクノに関してはかなり信頼の置ける作品が多くあります。
残念ながら配信が行われていないものの、Carl Coxの名門レーベル、Intec Recordsから出たHyperionなんかはYudukiさんとワタクシの大好物だったりします。

Cristian Varela / Metropolis

Metropolis (Original Mix) by Cristian Varela on Beatport

2006年リリース。
ハードグルーヴ編に於いてチラッと名前を出した同ジャンルの基礎を担っていたと思われる大御所アーティストの1人Cristian Varelaによるレトロ感のあるシンセがドラマティックに進行するトランスっぽくもあるテクノ。
レトロと云うワードに関して実はこの曲には元ネタがあり、1983年に出たAnne Clark / Sleeper In Metropolisと云うシンセポップがそれです。
いくらなんでもチョイスが渋過ぎる。

Cristian VarelaのMIX CD、Intecnique .02に於いてラストを飾ったトラックでもあり、どんなDJをしても〆にこれを持ってくれば立ちどころに綺麗に終われると云うあざとさ満点の曲ですね。

Rennie Foster / HotLZ-13

HotLZ-13 (Original Mix) by Rennie Foster on Beatport

2007年リリース。
カナダ出身のRennie Fosterはデビュー時よりヒトクセあるテクノを作るのを得意とするアーティストで、この曲にもそれが遺憾なく発揮されております。
力強いビートや速いテンポにハードテクノとの親和性を見出せるものの、なんとこの曲は非4つ打ち。
なのに浮遊感のあるシンセが不思議とマッチしていると云うこれまたレアなスタイルのトラック。
これも〆にバッチリ向いている気がします。

さて、ここまで海外産のトラックを紹介してきましたが、実はこの手のメロディアストラックは日本人クリエイターによるものが比較的多かったりします。
どのジャンルに於いても昔から『日本人はメロディーが好き。』なんて揶揄されてきていますけれど、それがテクノにも当て嵌まっていると云うことになります。
ここからはそんな国産トラックを紹介していきます。

Wall Five / Gypsy Woman (Meu Str Mix)

Gypsy Woman (Pop String Mix) by Wall Five on Beatport

2005年リリース。
上記リンクだとA面とB面のタイトルが逆転しており、ミックスタイトルがPop String Mixとなっておりますが、Meu Str Mixが正しいです。
これに関してはヴァイナル持っているので間違いない筈です。

ジャパニーズテクノを代表するアーティストCo-Fusionの片割れ、Heigo Taniによるド直球ハードテクノ。
タイトルから察せられるように、元ネタは勿論コレ。
単純なオルガンサウンドから入っていき、ストリングスの絡むブレイクまでグイグイ引っ張られる感じが堪らないブートレグ。

ryoh mitomi / haru-kaze

ryoh mitomi / haru-kaze – YouTube

2005年リリース。
現在はFourtwosixxと名義を変えて活動しているRyoh Mitomiによる作品。
なんとこの曲がデビュー作であり、リリース元は上で挙げたTechnasiaがレーベルオーナーを務めていたMinimaximaと云うレーベルです。
内容は成程Technasiaに見出された通りと云うべきか、フィルターとディレイを噛ませたオルガンライクなシンセの連打がインパクト大。

どうでも良い話ですが、タイトル関連で春先にHardonizeが行われるとレジデントの間で奪い合いが発生しがちな曲です。
そして1番良い反応するのがVJ、KNOCKHEADZのSTCnさんと云う。

Q’hey, Shin / Melissa

Melissa (Original Mix) by Q’hey, Shin on Beatport

2006年リリース。
REBOOTを始め、黎明期から日本のハードテクノシーンを牽引している存在であり、今尚block.fmでのradio REBOOTで毎週パーソナリティーを務めている大御所DJであるQ’heyと、日本と上海の両方を拠点として活動していたShin Nishimuraによる共作。
元はと云えばQ’heyが色々な国内アーティストとコラボレーションした楽曲を一挙にコンパイルしたElectric Eye On Meと云うアルバムに書き下ろされたトラックでしたが、この曲は後にシングルカットされ、それが現在配信されています。
この当時の国内テクノ総決算と言っても過言ではない内容なので、見かけたら是非アルバムで入手して欲しいところです。

で、当時Shin Nishimuraの作るテクノと云うのはかなりメロディアス色が強かったんです。
自身の行っていたパーティーの名前を冠したPlus Tokyoなんかも正に好例で、そこにQ’heyの持ち味とする重厚なハードテクノのエッセンスが加わった結果、1+1を2で割らないタイプの仕上がりになったと言うべきでしょう。
同時代の海外トラックと比べても決して引けを取らない太いリズムは今聴いても痺れます。

Kei Kohara / Bloom After Broken Life (Midsummer Mix)

Bloom After Broken Life (Midsummer Mix) by Kei Kohara on Beatport

2007年リリース。
00年代を代表するハードテクノレーベルAsianDynasty RecordsからリリースされたKei KoharaのアルバムHeavenly Sunshine収録曲。
どちらかと云うとラテン系ハウスを得意とする氏ですが、この曲に関しては疾走感と重厚感のあるリズムを従えたテクノ寄りのチューニング。
ピアノとホーンの音がとにかく派手でファンキー。
ハードグルーヴとも異なる独特の曲調はまさしく日本ならではと云う感じがします。

Yousuke Kaga / Setsuna

Yousuke Kaga / Setsuna – YouTube

2008年リリース。
最後にご紹介するのはHardonizeが行われている茶箱とも長年の縁があるアーティスト、Yousuke Kagaさんの作品。
木琴のような単音シンセによるメランコリックなメロディーをメインに置きつつ、それをバウンシーなベースが支えるテクノ。
上記試聴は配信されているBPM128の完成版ですが、Yousuke Kagaさんは当時ハードテクノとブレイクスと云う2足の草鞋で活動しており、この時に貰ったプロモーションCDにはこの曲のBPM140のバージョンが収録されていました。
だもんで僕の中ではテンポを上げてハードテクノとして使う曲と云う印象が強いです。

この曲については以前10年前の日本のハードテクノと云う特集を行った時にも触れました。
お気に入りだもんで。
元はアルバムに収録されていた曲ですが現在配信中止のため、他に収録されたHIROSHI WATANABE氏のMIXから購入が可能です。
recochoku – Developing Vol.3 HIROSHI WATANABE SELECTION

以上、メロディアスハードテクノ編をお送り致しました。
この音楽の特徴についてまとめると、各種ハードテクノ+シンセサイザーによるメロディーです。
何せジャンルとして確立されているわけではないので、ざっくばらんな説明となってしまいますね。
ブレイクが存在するという点も合わせて特徴と言えるかもしれません。

やはりメロディーがあると云うだけで相当なインパクト要素となるため、セットリストの肝と言える部分での使用が主となる印象です。
ピークタイムだったり、〆だったり、或いはトランスやハウスと云った橋渡しとして機能します。
あとは単曲で聴かせる際、テクノ初心者にお勧めしやすいと云った辺りも利点として挙げられるのではないかと思います。

とはいえ、現行のテクノとはやはり少々趣が異なっているので、この時代ならではのスタイルと言えなくもないのが悔しい点でしょうか。
リバイバルが盛んに行われている最近ですので、こういったところにもそれが波及してくると面白くなるんじゃないかなと勝手に思っております。

と云うわけで次回の『特別連載:ハードテクノとは何か?』につきましては10月17日に公開。
小テーマは完全無機質な実験音楽、インダストリアル編をお送りします。

次週10月08日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 目次

第1回:黎明期編
第2回:ハードミニマル編
第3回:ハードアシッド編
第4回:ハードトライバル編
第5回:ハードハウス編
第6回:シュランツ編
第7回:ハードグルーヴ編
第8回:インダストリアル編
第9回:テックダンス編

番外
第1回:メロディアス・ハードテクノ編 (今回)
第2回:ハードダンス編
第3回:ディスコ編

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今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2019/09/19

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

若干間が開いてしまいましたが、Hardonize 34回目が無事に終了致しました。
お越し頂いた方々、本当にありがとうございました。

予てよりお伝えの通り、今回はATTさんとni-21さんと云うド直球のハードテクノをプレイできるお二人をお招きしたことで本当に6時間みっちりこの音楽にスポットが当たった回でした。
ni-21さんはハードダンス寄りのギラギラした音も混ぜつつって感じになるのかなと勝手に思っておりましたが、かなりストイックなハードミニマル一辺倒で意外でしたね。
曰く、やりたいと思っていつつも普段のパーティーではできないスタイルなのだそうで、それをHardonizeで披露して頂いたと云うのはかなり光栄の一言。
良い意味で予想を裏切られました。

一方ATTさんは良い意味で予想通りと言うか、自前のハードグルーヴマッシュアップをバッチバチ投下する煌びやかなプレイ。
つい1週間前にも別のパーティーで共演させて頂いていたのですが、その時に輪をかけて派手なトラックが多く、完全にハードグルーヴに焦点を合わせて頂けたのが嬉しかったです。
当日着てきたTシャツが例のcopyrightの色違いと云う辺りも面白ポイントでした。
重ね重ね両名には感謝をお伝えしたいところです。

手前味噌ではございますが、我々レジデントもそれぞれ思い思いのハードテクノをプレイしておりました。
ハードミニマルからじわじわとパーティーの胎動を感じさせるプレイをしたYudukiさん、ハードグルーヴの新旧を独自のセレクトで繰り出したSangoさん、オールドスクールなトラックも交えつつ最後はシュランツまで駆け抜けた774Muzikさんと三者三様な感じで良かったです。
(個人的には774Muzikさんのシュランツはもっと聴きたいんですよね。最近のトラックとかも使ったらどうなるのか気になりますし。)
改めてハードテクノとは何か?と云うテーマを表現できた回だったと自負しております。
またこういうのやりたいですね。

さて自分のプレイも今回ばかりは面白要素も変わり種要素も抜きで完全にハードテクノに絞りました。
パーティー直前までハードテクノとは何か?と云う特別連載を行っていたこともあり、その総決算と云う面持ちで臨みました。
持ち時間の都合上、カバーしきれない分野も出てきてしまったのが心残りではありますが、久しぶりにストレートなハードテクノオンリーでプレイできた気がします。
これもこれでまたやりたいです。

そんなワケで今回はHardonize #34にてプレイした楽曲の中からピックアップしてお送り致します。
全容はこちら。
ハードトライバルハードミニマルハードアシッドハードハウス

No Artist Trackname Link
01 Luky R.D.U. Tribal Rumba Beatport
02 Carl Falk Plast Beatport
03 Groovetune the attitude track #1 Juno Download
04 GIVE IT UP (Re-Edit) YouTube
05 A.Paul Spontaneous Beatport
06 TAKKYU ISHINO GHOST IN THE SHELL YouTube
07 Tassid & Eski The Dogger SoundCloud
08 T99 Anasthasia (Danilo Incorvaia Remix) Beatport
09 Maxx Rossi Get the Funk Beatport
10 Fil Devious Purple Hazed Beatport
11 Benji303 Jah Jah Is Coming (OB1 Remix) Beatport
12 Tik Tok Lincoln Acid City Beatport
13 Nitronoise Get’em Up The Fuck Beatport
14 JJ, Dj Pey Play The Game Beatport
15 Digital Mafia, Vandalize Rumours Beatport
16 Boy Raver Dubplate 4 (Digital Mafia & General Bounce Remix) Beatport

例によって数曲かいつまんでご紹介します。

Carl Falk / Plast

Plast (Original Mix) by Carl Falk on Beatport

ハードトライバルの雄、Carl Falkによる2007年の作品。
ちなみにこの曲に関してはヴァイナル持ってます。
Cave / Street Carnivalと同様、ブレイクのパーカッション連打がインパクト絶大。
この曲のリリース元であるAdult Recordsは当時派手系ハードテクノに於ける登竜門として機能していた感があるので、脂の乗った作品が多いです。

A.Paul / Spontaneous

Spontaneous (Original Mix) by A.Paul on Beatport

Goncalo Mと同様、ポルトガルテクノシーンの重鎮にして重要人物であるA. Paulによる2008年の作品。
リフのシンプルさに対してやけに疾走感のあるリズム帯は新しいタイプのハードミニマルが到来したことを告げるかのようでかなり印象に残っています。
彼のレーベル、Naked Lunchもまた現在に至るまで活動を継続しており、現行テクノシーンに於いても欠かすことの出来ないモンスターレーベルの1つ。

T99 / Anasthasia (Danilo Incorvaia Remix)

Anasthasia (Danilo Incorvaia Remix) by T99 on Beatport

1991年にリリースされたT99 / Anasthasiaと云えばオールドスクールレイヴに於ける大ヒットアンセムであり、ジャンルの垣根を越えて多くのDJにプレイされ、また多くのブートレグやサンプリング楽曲を輩出したことは最早言うまでもありませんが、今年に入り、このAnasthasiaのリミックスEPが正規ライセンスの元、立て続けにリリースしていることについては間違いなく重大事件と言える筈です。
驚くことに今月に入ってからも第4作目がリリースされました。
どこまでいくんだ!?

その中にはメインストリームテクノのみならず、こういったハードミニマル的なアプローチの作品もあって更に驚きました。
Danilo Incorvaiaはイタリアでヘヴィーウェイトなテクノを手掛けている若きプロデューサー。
Anasthasiaのリミキサーに抜擢されただけあってちょいちょいレイヴっぽい要素も作品内にあったりするので、以降注目していきたいアーティストの1人です。

Fil Devious / Purple Hazed

Purple Hazed (Original Mix) by Fil Devious on Beatport

アシッドテクノ新世代Fil Deviousによる今年2019年のトラック。
ハードアシッド編でも触れた最近の(局地的)流行であるレゲエダブ・ミーツ・アシッドテクノスタイルの曲。
ローファイなグルーヴがアンダーグラウンド感あって特徴的です。

Boy Raver / Dubplate 4 (Digital Mafia & General Bounce Remix)

Dubplate 4 (Digital Mafia & General Bounce Remix) by Boy Raver on Beatport

今回のラスト2曲が思いがけずDigital Mafia2連続になってしまいました。
それくらい好きなアーティストであることは否めない。

2015年にリリースされたファンキーハードハウス。
このピアノフレーズはハウスクラシックに元ネタがあったような気がするのですが・・・すみません、忘れてしまいました。
ハードテクノとは別の音楽ではあるものの、通じる要素はあると云うことで特別連載に於いて取り上げたジャンルの1つです。
是非今後ともご贔屓の程。

他の曲も取り上げたいところではございますが、今回はここまで。
特別連載もそうでしたが、ハードテクノとは一括りにできる音楽ではなく、実は中に色々なスタイルがあるのだと云うことが伝えたかったのです。

わざわざレコードショップへ足を運び、陳列されているヴァイナルを手に取って試聴し、気に入ったら購入する、と云う時代に比べれば音楽を聴くことのボーダーはかなり下がりました。
一方で膨大な情報の中から如何に自分の好きな音楽を見つけられるかと云う取捨選択のスキルが求められる時代にもなってきていると実感しております。
そういった中である程度ざっくばらんにでもジャンルの指標となるものは必要だなと思ったので、それがあの特別連載だったり、今回のプレイ内容に通じました。

それに関連して現在配布中のコンピレーション、Techno Alliance vol.6もまた、テクノにも色々なスタイルがあると云うことを示しているものとなっておりますので、是非直近のパーティーに足を運んで頂き、入手して頂きたいと思っております。
http://www.technoalliance.net/
こっちもまたパーティーやって欲しいですね。
前回の4人態勢セッションが大変面白かったので。

次週09月24日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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