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新作シュランツ特集 (2020年11月版):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2020/11/12

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

明後日11月14日はHardonize #37です。

ゲストに秋葉原重工よりTakayuki Kamiyaさん、
そしてMIX公募予選を見事勝ち抜いたDubYukaさん & tRAIN deLAYさんから成るSILENT TALKERの2組をお招きしてお送りします。

軽く今回のゲストについてご紹介しますと、Takayuki Kamiyaさんについては過去にもHardonizeにお招きしたことのあるまぁテクノ全般に造詣の深い人です。
ミニマルからハードまで、古きも新しきも彼の手の中。
その一方でテクノではお馴染みのキーワードであるストイックなプレイかというと必ずしもそうではなく、過去にご出演頂いた際、延々とJoris Voorn / Incidentネタが投下されるなんて回もありました。
おかげで後にIncidentネタをまとめた記事を書くことになるなど、大変な思いをしました。

とはいえ、これも言ってみれば如何にテクノで面白いことができるかを煮詰めた彼なりのアンサーだったのでしょう。
数か月前に自宅からほぼ無告知で10時間テクノでDJする模様を配信したり、真面目にやってもフザけていても総じて面白い人です。
何気にパーティーでの共演は久し振りということもあってとても楽しみです。

余談ですが、昨年のTOKYO HARD GROOVE SESSION ’19 -Spring-でご一緒した際に出演順が自分⇒Takayuki Kamiyaさんで連続しており、
その時の互いのトラックリストが


このザマという回がありました。
当初彼はこんなプレイをするつもりではなかったらしく、ワタクシのプレイを受けてこうなったとのことで、『君と共演するとロクな事が起きない。』とよく言われております。
今回はそうならないと良いですね。(鼻をほじりながら。)

そしてもう1人、というか1組が今回の目玉でありB2Bユニット、SILENT TALKERです。
なんと今回のHardonizeが初お披露目ということで、新しい旅路に立ち会えることはとても光栄に思います。
かといってキャリア真っ新な新人というワケではなく、DubYukaさんもtRAIN deLAYさんもお互い数々のパーティーを経験している言わば戦友。
自分も何度かその場にいたこともあり、『なかなかやりよる。』という感想を抱いたこともしばしばありました。

そんな2人が手を組んで挑んできた今回の公募用音源は前回述べた通り、かなりやられました。
改めて載せますとこちらです。

SILENT TALKER (DubYuka & tRAIN deLAY) / Harmageddon Heavy Tekno Strikeback Mix

Harmageddon Heavy Tekno Strikeback Mix by SILENT TALKER (DubYuka & tRAIN deLAY) by DubYuka | Mixcloud

変則テクノでスタートし、ブレイクビーツ、レイヴ、ベースライン、アシッドなどテクノ外の要素も積極的に取り入れながらシュランツまでカバーするクロスオーバースタイル。
個人的な趣向として、パーティーでは次に何がかかるか分からなくさせて欲しいという思いと、繋いだ前後の曲に何らかの共通点があって欲しいという思いが同時にあるので、これはそれを両方とも見事に体現していたという点に於いてかなりツボでした。
自分と同じ匂いを感じつつも細かい箇所で自分と異なるアプローチを見せているので、当日はこれを経てどんな音を聴かせてくれるのか、これまた楽しみです。

ちなみにtRAIN deLAYさん、


週末に両方やってもらって構いません。

尚、ご来場頂く場合には以下のサイトから予約が必須となっております。
残り枚数も少なくなってきたようなので、お越しをお考えの方は是非ご登録をお願いします。
尚、オンラインでのお支払いではなく、通常通り入場料はエントランスでお支払い頂く形となりますのでお間違えなきよう。

Hardonize #37 in東京 – パスマーケット


静岡行ってきたのでお土産持って行きます。

さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 第1回:黎明期編


ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

今回取り上げるサブジャンルは

シュランツ

です。

特別連載に於いては6回目に取り上げた、ヘヴィーウェイトなリズムと高速テンポが特徴的なハードテクノの狂暴性をフィーチャーした音楽です。
古くはブートレグが大量生産されていたこともあり、日本でも爆発的に注目を集めた経緯がありました。
現行のシュランツはそこまでブートレグ主体のシーンは築いておらず、より高速なテンポや重厚感のあるビートを追求したり、様々なジャンルの要素を取り込んだりとサウンド面に於ける発展が顕著に見られます。

これまでのワタクシの担当回に於いてハードテクノの内外問わずサブジャンルの音源紹介をしてきましたが、ここに至るまでシュランツを取り上げてなかったということに思い至ったのと、上記SILENT TALKERのMIXに於いてシュランツが使われていたことでチャンスだなと思ったので。
やはりインパクトのある音は好きでちょくちょく掘っていることもあり、今もまだ脂の乗ったリリースが多いと感じております。
おかげで今回も紹介曲数は多めです。
よろしくお願いします。

早速ですが新作シュランツ紹介いってみましょう。

Tassid, Eski / Chemistry

Chemistry (Original Mix) by Tassid, Eski on Beatport

イギリスのプロデューサーTassidとアメリカのプロデューサーEskiによるハードテクノ。
キャリア初期からペアで手掛けている曲が多い2人です。
リリース元のSKUXXも彼ら2人が運営を務めるレーベルで、ハードアシッド~ハードミニマルまで硬め速め派手めなトラックが揃っているため、Hardonizeクルー全員が信頼を置いております。

そんな中から直近のリリースがこちら。
圧の強いリズムにアラームのようなシンセが鳴りっ放しのアグレッシヴなハードテクノ。
生粋のシュランツというわけではありませんが、各種ハードテクノ~シュランツとの橋渡しとして機能性抜群なトラック。

KlangKuenstler / Himmelreich

Himmelreich (Original Mix) by KlangKuenstler on Beatport

ドイツのプロデューサーKlangKuenstlerによるハードテクノ。
少し前まではメインストリーム系の渋いテクノ~テックハウスを手掛けていたアーティストでしたが、ここ最近のリリースはかなりハードテクノに寄せており、遂にシュランツに近い領域に踏み込んでしまったと言えるのがこちらになります。
突き刺すようなハイハットリズム、歪んだボトムライン、幾層にも重ねられたシンセ群が三位一体となって迫り来るマッチョなトラック。
これもシュランツとの橋渡しに使えそうですが、逆にシュランツから一般的なハードテクノに戻す際にも役立ちそうな気がします。

Mental Crush / Maximum Overload

Maximum Overload (Original Mix) by Mental Crush on Beatport

ポーランドのプロデューサーMental Crushによるシュランツ。
現行のシュランツシーンに於ける代表格的存在と言っても過言ではないアーティストであり、この曲のリリース元であるRebirth Societyも10年に渡ってシュランツシーンに君臨している名門レーベルです。

Mental Crushの作風の特徴として、変化球的サウンドを組み合わせたトラックをコンスタントに輩出している点が挙げられます。
この曲もそのカテゴリーと捉えており、ハードハウスっぽいシンセリフをメインに据えたファンキーなテイスト。
とはいえ結局リズムがシュランツそのものなので、総じて面白さが上。
先の特別連載で取り上げたPacmanなんかと毛色が近いですね。

ついでにもう1つ、少し前に出たMental Crushと同じポーランドのプロデューサーDouble Drumsとのコラボレーション楽曲もまた変化球ウワモノなのでご紹介。

Mental Crush, Double Drums / Get Rock Baby!!

Get Rock Baby !! (Original Mix) by Mental Crush, Double Drums on Beatport

聴いての通り、ギターリフ全開のガン攻めシュランツ。
Afrika Bambaataa / Just Get Up And Danceのラップをモロ使いしている辺りもオールドスクール感あってニヤリとさせられます。

更に加えてこのDouble DrumsというアーティストもMental Crush直系のサウンドアプローチをしていて面白い曲多いです。
最近のリリースだとこんな感じ。

Double Drums / Serial Killer

Serial Killer (Original Mix) by Double Drums on Beatport

レイヴィーなシンセ乱れ打ち。
上のGet Rock Baby!!もそうですが、尺が4分ちょいというテクノ系の音楽にしてはタイトに纏められているのも特徴の1つ。

Boris S. / Psychedelic Drug

Psychedelic Drug (Original Mix) by Boris S. on Beatport

ドイツのプロデューサーBoris S.によるシュランツ。
これだけ半年ほど前のリリースになるのですが、あまりにも好きなのでご紹介。
Boris S.といえばシュランツ黎明期からシーンを先導していた超ベテランアーティストでして、2016年にはキャリア15年を祝した111曲入りのベストアルバムなんかもリリースされております。
物量が多過ぎて逆にツッコめない。

そんな彼が今年の初頭に出したI Am Differentという反骨精神丸出しのタイトルを冠したアルバムに収録されたのがこちらのトラック。
タイトル通り、中盤でサイケデリックトランスにシフトするシュランツ。
かつて無かったクロスオーバーが現れたと初めて聴いた瞬間はかなり興奮しました。
先のMental CrushやDouble Drumsのトラックといい、トランス、ハードダンスとの融合ものが個人的に結構アツいと感じております。

I Am Differentは他にもアシッドシンセをフィーチャーしたトラックトラップのエッセンスを取り入れたトラックなどベテランの技が光る箇所満載で聴き応えがあります。
2020年のシュランツを代表するアルバムとして是非手に取って頂きたいところ。

Insect / No way out

No way out (Original Mix) by Insect on Beatport

ここから更に速めのBPM160台の曲を取り上げていきます。
こちらはハンガリーのプロデューサーInsectによるシュランツ。
今年設立された新興レーベルBlackworksからのリリースであり、Insectも活動歴1年ちょいの若手アーティスト。
でありながらこの強烈に歪められたリズムにこれまた打撃音のような攻撃的なシンセが跋扈する、ベテラン顔負けの重厚さを持ったトラックがリリースされました。
インダストリアルとシュランツの中間を行くタイプの曲といえます。

ちなみにInsectは自身のSoundcloudアカウントでフリーダウンロード楽曲もしばしば公開しているのですが、押し並べて強烈なインダストリアルリズムを奏でていてビックリします。
参考までに、現在の最新作がこちら。

Insect / Uprising

Uprising [freedl] by INSECT | Free Listening on SoundCloud

非4つ打ちだしバッキバキに歪んでるし、何食ったらこんな音が出せるのか。
ずっと非4つ打ちなのですが、ブレイク後に裏打ちのシンバルが入ると4つ打ちに聴こえるとか、実は相当実用性もあったりします。

あと先程のNo way outと同じEPに収録されている曲も面白いのでついでに。

Neagles / Poppers Bass

Poppers Bass (Original Mix) by Neagles on Beatport

フランスのプロデューサーNeaglesによるシュランツ。
シュランツ的泣きメロ解釈とも言うべき、ちょっと哀愁漂うシンセが印象的なトラック。
全体的に出音が低音寄りなのもアングラ感漂ってて好みです。

Boiling Energy / Back to Schranz

Back to Schranz (Original Mix) by Boiling Energy on Beatport

オランダのプロデューサーBoiling Energyによるシュランツ。
決意表明のようなタイトル通り、今回紹介する曲の中では1番正統派なシュランツ。
高速バリ硬リズムに声ネタとシンセがループするまさにお手本のような曲なので、基礎をしっかり押さえておく意味でも優秀なトラックとなっております。
ブレイクの非4つ打ち部分を上手いこと活かせると異ジャンルからのクロスオーバーとかにも使えそうですね。

ANONIMOSDJS / Da Underground

Da Underground (Original mix) by ANONIMOSDJS on Beatport

アメリカのプロデューサーANONIMOSDJSによるシュランツ。
シュランツにしては使用しているサウンドの手数が多いトラック。
ダブステップのようなパートがあったり、インダストリアルっぽいリズムになったかと思えばサイケデリックなリフが並走し出したりと、かなりしっちゃかめっちゃか。
単曲で面白い展開を演出できるのは強みであり、古くはブートレグを大量生産するなど異ジャンルの要素を取り入れることに抵抗のないシュランツイズムに則った曲とも言えます。

Pawlowski / Demonic Dimensions

Demonic Dimensions (Original Mix) by Pawlowski on Beatport

フランスのプロデューサーPawlowskiによるハードテクノ。
これまで紹介した曲とは少し毛色が違うものの、面白かったのでここに載せます。
レイヴ、アシッド、ハードコアなど1990年代の要素と現代のハードテクノを融合させたような曲を多く手掛けているアーティストで、個人的にはモロ好み。
ユーロポップ丸出しのレトロなリフにヘヴィーウェイトなキックという異種交配っぷりは粗削りなオールドスクールレイヴの空気感そのもの。
そしてめっちゃ速いテンポ。
本当に2020年リリースなのか疑わしくなるレベルですが、とにかく好き。

Srezcat (feat. Persian Groovies)/ Liquid Protocol

Liquid Protocol | Srezcat | HiTNEX TRAX

最後に国産トラックを取り上げます。
覆面プロデューサーSrezcatと、同じくとあるアーティストの変名義Persian Grooviesによるシュランツ。
イントロのエモなピアノフレーズから一気に荒々しいリズムへシフト。
それもハードスタイルの中でも一層歪んだリズムを特徴とするサブジャンル、ロースタイルのパーツを組み合わせつつ展開していくテクニカルな仕上がりです。
ブレイクのハードダンスに寄せたフレーズも意外性があり、総じて遊び心満点なので聴いてて楽しい。
タフで煌びやかな曲。

以上、シュランツにスポットを当ててお送りしました。
ハードミニマルの派生形として誕生したシュランツではありますが、こうして直近の曲を聴くとその枠を超えた独自のフォームを形成しているのが分かります。
新しいアーティストの流入も盛んであり、既存の概念を崩すような曲と出会うこともしばしば。
アグレッシヴなダンスミュージックが好きであれば是非お見知り置き頂きたい音楽の1つです。

といった辺りで今回のサブジャンル特集はここまで。
明後日のHardonize #37でお会いしましょう。

次週11月17日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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【特集】『M3-2020秋』同人テクノ:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2020/10/29

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

若干更新が遅れまして申し訳ございません。

先々週は早稲田音泉 二湯目でした。
ご来場頂いた方々、並びにお聴き頂いた方々、ありがとうございました。
終始『そんなのどこで見つけてくるの?』のオンパレードで大変楽しかったです。
各々音楽に対するアンテナの張り方が独特過ぎて紹介者の知らなかった一面を見ることができたのも良かったですし、今後とも続けていきたいイベントです。
何せもう次回用の曲が手元に集まり始めているので。

ちなみに今回の個人的ヒットは小泉今日子 / Koizumi In The Houseです。

小泉今日子 / 集中できない

Koizumi Kyoko – shūchū dekinai (集中できない) I can not concentrate – YouTube

アシッドハウス直系のハウスミュージックを邦楽のフィールドに独自解釈で落とし込んだ1989年のアルバムという、存在すら知らなかったシロモノ。
曲もめちゃんこ良かったですし、何よりジャケット含めたアートワークがブッ刺さりまくり。
シティポップやフューチャーファンクにスポットが当たっている今、原点に立ち返る意味で聴く価値のある作品だなと思いました。

さて、再来週11月14日はHardonize #37です。

ゲストに先日行われた同人音楽即売会M3でリリースされたLENS REMIX ALBUMをプロデュースしたレーベル秋葉原重工よりTakayuki Kamiyaさん、
そしてMIX公募予選を見事勝ち抜いたDubYukaさん & tRAIN deLAYさんから成るSILENT TALKERの2組をお招きしてお送りします。

先の公募選考の際に送った選評がパーティーのインフォメーションページにしれっと追記されておりまして、ワタクシからのコメントがこれ。

圧倒的選曲力。
レジデントメンバーがあまりスポットを当ててこなかったウォンキースタイルのテクノを序盤に配置したり、ブレイクビーツ、レイヴ、ベースライン、アシッドなどテクノ外の要素も積極的に取り入れながらシュランツまで持っていく構成はひたすらツボでした。
自分に近い匂いを感じるので話をしてみたいんですけど、dubyukaさんとかじゃないの?

この時は誰がどのMIXを送ってきたか分からない状態で選考に臨んでいたのですが、最後の一文は見事的中だったワケで。
これにはYudukiさんもビックリしてました。

それはそうと、今回の選考はジャンル不問としている以上、ハードテクノ縛りである必要は最初から無かったのです。
勿論、漢気感じる単一ジャンルで送ってくださった方もいて、そちらも厳正に採点させて頂きましたが、多ジャンルをハードテクノの文脈で使いこなすというのは自分がこのパーティーを通してやっていることでもあり、かなり印象に残りました。
どのミックスポイントもスムーズでしたし、強かったです。

そんな彼らが応募したMIXがこちらで公開されております。
当日どんな音楽を聞かせてくれるのか、とても楽しみです。

SILENT TALKER (DubYuka & tRAIN deLAY) / Harmageddon Heavy Tekno Strikeback Mix

Harmageddon Heavy Tekno Strikeback Mix by SILENT TALKER (DubYuka & tRAIN deLAY) by DubYuka | Mixcloud

尚、ご来場頂く場合には以下のサイトからチケットの購入が必須となっております。
数に限りがございますので、何卒ご容赦ください。
Hardonize #37 in東京 – パスマーケット

さて上でサラリと触れましたが、先週末は同人音楽即売会M3でした。
今回の釣果はこんな感じ。

前回よりは多めの収穫でまあまあ満足。
ダンスミュージック以外にもテクノポップに手を出してみたり。

というわけで今回もやります。
当連載に於いて8回目となるM3特集です。

前回M3-2020春特集はこちら。

【特集】『M3-2020春』同人テクノ:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2020/03/19

それより以前の特集はこちらになります。
2019秋 / 2019春 / 2018秋 / 2018春 / 2017秋 / 2017春

これまでと同様、表記順は『【アーティスト名】 / 【リリース名】 [【サークル(レーベル)名】]』でテクノ的オススメを挙げていきます。

それでは

『M3-2020秋』で買った同人テクノ

いってみましょう。

V.A. / AD:TECHNO 5 [Diverse System]

[DVSP-0243] AD:TECHNO 5 Crossfade by DiverseSystem | Diverse System | Free Listening on SoundCloud

此度のHardonizeゲストTakayuki Kamiyaさん率いる秋葉原重工と老舗同人音楽サークルDiverse Systemの共同プロデュースによって製作されたコンピレーション。
KEN ISHIIHIROSHI WATANABEQ’HEYとジャパニーズテクノシーンの最前線で活動しているアーティストが名を連ねる一方、ゲームミュージックコンポーザーであるShinji Hosoeや、Hardonize御用達ハードグルーヴ筆頭Homma Honganjiまで参加している幅の振り方がなんとも両サークルらしい内容。
サウンド面もモダンテクノからメインストリーム、インダストリアルからハード系まで様々なアプローチからテクノの魅力を紹介する内容となっているため、ビギナーからベテランまで十二分に楽しめます。

個人的な好みはアシッドシンセをコアとしながら往年のテクノを彷彿とさせるシンセが並走する浮遊感と疾走感が8曲目、KEN ISHII / Ruthless

公式サイト:http://diverse.jp/
特集ページ:http://adtechno5.diverse.jp/

尚、先に述べた通り秋葉原重工としては単体のプロデュース作品としてこちらもリリースされました。

AHIAL03 – LENS Remix Album

AHIAL03 – LENS Remix Album by Akihabara Heavy Industry Inc. | Free Listening on SoundCloud

昨年リリースされたHiroyuki Arakawaのソロアルバムの収録曲の中から1曲/2人の配分でリミックスを行ったもの。
オリジナル版が10曲収録だったので、必然的にこちらは20曲収録。
だもんで、これまた相当数のスタイルのテクノを摂取できます。

こっちの個人的な好みはトライバルリズムと低音寄りのボトムが呪術的なアンサンブルとなっているDISC1の4曲目、Hiroyuki Arakawa feat. Ryohei Kubota / Handbeats (Q’HEY Remix)

公式サイト:https://www.ahiweb.info/
特集ページ:https://www.ahiweb.info/post/632399122831458304/ahial03

本間本願寺 / 本願寺の野望・戦国群雄伝 [ビッグファイア]

Honganji’s Ambition 2(本願寺の野望・戦国群雄伝)【Preview】 by Homma Honganji | Free Listening on SoundCloud

毎度お馴染み日本から世界のハードグルーヴを牽引する御方Homma Honganjiさんの新作。
タイトルからジャケットから見ての通り、あの有名ゲームのオマージュとなっている本作ですが、内容はまさかの全曲ゲーム内BGMアレンジ。
しかもほぼ全てハードグルーヴ。
愛が・・・愛が重い・・・。
しかしその愛こそが同人音楽の原点という見方をした上で本間本願寺さんの趣向に落とし込んだら、そりゃー出るべくして出た作品と言えなくもない。
あとはその愛にどこまでついていけるのか、リスナーのガッツが試される1枚。

言うまでもないですが、ハードグルーヴフルアルバムとしては大きい花丸。
個人的な好みはうねる肉厚なベースラインとパーカッションにPC-98のサンプリングサウンドが映える11曲目、本間本願寺 / 婚姻

公式サイト:https://bigfire.info/
特集ページ:https://bigfire.info/HA2.html

Kouki Izumi / Strictly Focus EP [technoA]

[PREVIEW]Strictly Focus EP snippet (in 133bpm) by Kouki Izumi (Aramitama / technoA) | Free Listening on SoundCloud

上記AD:TECHNO 5にも参加し、過去のHardonizeにもゲストとしてお招きしたことのあるKouki IzumiさんのソロEP。
オリジナル楽曲に於いては無機質且つスモーキーなサウンドを総動員したストイックなテクノを持ち味としている人で、今回の作品もそれを体現した内容となっております。
彼の作品の特徴として、4つ打ち以外にもブレイクビートを取り入れたテクノがEPの中にも必ず含まれている点が挙げられます。
これは自分みたいに両者間を行き来するプレイを好む者にとって大変ありがたく、その片方がテクノであった場合にバッチリ機能する曲に仕上げてくれる辺り、かなりの信頼を置いております。

個人的な好みは4分打ちハイハットに対してキックがテンポの半数で進行するシンセサウンドも含めて不穏な5曲目、Kouki Izumi / Removed

公式サイト:http://technoa.info/

インターネットサムライ / FUTURE MIX [伏見極東電音有限公司]

【試聴なし】

会場内をうろついていて偶然見つけた作品。
こういう出会いも即売会の醍醐味の1つだと思っております。
何といってもブースがサークル名から漂うアジア的怪しさを裏切らない装飾がされておりまして。
どんな感じかというと、こんな感じ。

で、帰ってからその作品を再生してみてたまげました。
なにかと言えば日本、中国、韓国辺りのCM、ドラマをサンプリングしたテクノのオンパレード、平たく言えばナードコアでした。
正確にはこの作品は2017年のリリースらしいですが、まだこの手の音楽を手掛けている人がいることに驚きです。

そして更に驚くことに何とYouTubeで映像を合わせたものが公開されておりました。
収録曲の1つがこちら。

インターネットサムライ / 有錢男2003

有錢男2003 / 因特网武士 インターネットサムライ – YouTube

ラフなビートにレイヴスタブ、そして中国語サンプリング。
下世話てんこ盛りテクノ。心底大好きです。

惜しむべくはこのYouTubeアカウントTwitterアカウント以外、目ぼしい情報源が見つからなかったことです。
思い立って自宅に保管しているここ数回のM3カタログを参照したところ、昨年辺りからサークル参加していたということが判明したので、次回も参加することを祈りつつ、是非手に取ってみてください。

高野政所 / 最新音源入りBEST 2020 [やばさ RECORDINGS]

【試聴なし】

ナードコアの話を出してしまったので、親方的存在にも触れておこうと思いまして。
1990年代からLeopaldonとしてナードコアの文化を作り上げ、20数年が経った現在も楽曲を作り続けている高野政所さんの最新楽曲詰め合わせ。
その数なんと全28曲。ありがたい話です。

ナードコアと言えば高速ビートがつきものと思われがちですが、本作に於いてテンポの速い曲は少量で、比率的にはテクノに近い方が多めです。
結構意外だったのはヴォーグハウス的ビートを取り入れたちょい偏屈リズムの曲が多かったこと。
確かにこの音楽特有の肉感的な感じとサンプリングの下世話な感じは妙にマッチしており、個人的には結構新鮮に映りました。
といった辺りでベテランながらナードコアの新機軸にも触れた1作。

個人的な好みは大ネタ、The Next Episodeをサンプリングしつつ太いキックとド派手なホーンが炸裂する高野政所 / SMOKE WEED EVERYDAY
作品の詳細ページが無く、この曲も試聴できるものは現在見当たらないため、昨年出たアルバムより近い傾向のものを以下に貼っておきます。

高野政所 / Break Raver

Break Raver | 高野政所 TAKANO MANDOKORO | やばさ RECORDINGS

公式サイト:https://mandokoro.bandcamp.com/

marble≠marble / The Shape of Techno to Come [marble≠marble]

ダイジェスト ▼ marble≠marble 3rd album「The Shape of Techno to Come」 – YouTube

これも今年ではなく昨年のリリースですが、今回初めて知ったので。
レトロフューチャーアイドルとして活動しているTnakaさんをコアメンバーとするテクノポッププロジェクト。
テクノがまだ新鮮に聴こえていた時代のワクワク感を歌詞やサウンドに散りばめており、懐かしくも新しい気持ちを味わえます。
自分の世代で挙げるとOVERROCKETとかNIRGILISBREMEN辺りが好きな方にオススメ。

個人的な好みはサウンドスケープパートの序盤と浮遊感たっぷりなテクノパートの静動が分かれている7分超えの大作、7曲目のmarble≠marble / テ.レ.パ.シ.ー

公式サイト:https://www.marble2info.com/
特集ページ:https://www.marble2info.com/3rdalbum/

otomoni / 続・ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔsuる [旅音]

続・ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔsuるSAMPLE by otomoni | Free Listening on SoundCloud

最後にご紹介するのは前回のM3レビューでも触れたエレクトロニカ、フィールドレコーディング、ボーカロイド、ジューク/フットワークとあっちこっちの要素を集約したサークル、旅音よりotomoniさんの新譜。
タイトル読めねぇ。
ちなみに本作はシリーズ2作目に当たり、前作は前回購入しておりました。

ジューク/フットワークの複雑なリズムは全曲に散りばめられておりますが、エレクトロニカや自然録音の穏やかな空気感を邪魔しない絶妙な塩梅となっており、家でもフロアでも聴ける仕上がり。
ちなみにボーカロイドは歌わせるというより、完全にシンセとして使っている感じです。
書いていて思いましたが、踊れるエレクトロニカという表現が最も適している気がします。

個人的な好みはシンセとパッドが幾重にも絡まり合い、終始エモーショナルな雰囲気を漂わせる1曲目、otomoni / 行かないで Don’t Go

公式サイト:https://www.tabion.net/

今回はここまで。
前回の収穫がアレだったからかもしれませんが、現地ならではの楽しさがあったと感じた日でした。
この状況下でも良い音楽を生み出してくれるクリエイターの方々には頭が下がる一方です。
そしてこういった催しを継続している運営にも。
気付けば15年以上足を運んでおりますが、まだまだ発見があるイベントです。
是非1度足を運んでみてください。

さて、ボスに恒例のラーメン奢ってもらお。

次週11月03日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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