こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
早速ですが、今週末の土曜日17日はHardonizeプレゼンツ早稲田音泉 二湯目を開催致します。
ジャンルの縛り一切なし、なんならDJ云々も関係なし、ただ各々の好きな曲を紹介し合うというところをメインに置いたパーティー。
我々が各々曲を持ち寄るというのは勿論のこと、音源をご持参頂ければお越し頂いた方も推し曲を紹介できるという他人任せ参加型企画となっております。
主催側としては自分の想定外の音楽を知りたいという気持ちが強いため、是非推し曲を携えてお越し頂けますと嬉しいです。
参加予約はこちらから。
早稲田音泉 二湯目(にとうめ) in東京 – パスマーケット
そして次回Hardonizeについては11月14日に執り行います。
現在の状況を踏まえ、来場者可能数に上限がありますので、チケットページからご予約頂けますと幸いです。
ゲストは公私ともにお世話になっている秋葉原重工よりTakayuki Kamiyaさん。
そして先日行いました公募から通過者1人を選出致します。
発表は先に書いた今週末の早稲田音泉にて行いますのでもう少しお待ちください。
さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
ですが、今回は早稲田音泉 二湯目開催直前ということで、
を改めておさらいしていきます。
前回ご来場頂いた方やお聴き頂いた方につきましては本当に文脈関係なく、各自『俺はこれが好きなんだ!』の応酬だったことがお分かり頂けたかと思いますが、それをご存知ない方のためにどんな曲を紹介したのかという一例を提示しようかと思いまして。
自分が紹介したのは7曲とここで取り上げる数的にも丁度良かったというところもありました。
まあ悉く余談を追記したのでめっちゃ長くなってしまいましたが。
普段この連載ではテクノしか取り上げないので、ここぞとばかりに述べてしまった感があります。
ありがたくも推し曲のご持参をお考えの方に於かれましてはだいたいこういう基準で選べば良いのだなということが伝われば幸いです。
伝わるのか・・・?
とにかくジャンルは自由なんです。
それでは前回の早稲田音泉で自分から紹介した曲紹介いってみましょう。
日本の4人組バンドMOP of HEADによるテクノ。
MOP of HEADの特色としてインストゥルメンタル、つまりボーカル不在のメンバー構成によってエレクトリックダンスミュージックを演奏している点が挙げられます。
その範疇もエレクトロ、ドラムンベース、テクノと幅広く、既存のロックバンドが踏み込んでこなかったジャンルまで手中に取り込んでいるところは聴いていて面白いと感じております。
で、こちらは2019年にリリースされたアルバムmaverickに収録されているもの。
跳ね系のシンセに声ネタのループ、グルーヴィーなベースラインの合わせ技。
まるで故KAGAMIの曲を彷彿とさせるファンキーテクノで、とてもバンドサウンドとは思えない逸品。良い時代です。
折しも早稲田音泉が開催された少し前にSangoさんがこのような記事を書いていたことから『ネットを捨ててタワレコに行きましょう!』と推した1曲でした。
MOP of HEAD「Gabber Juice」MV – YouTube
ちなみに同アルバムにはこんな曲も収録されております。
タイトルに偽りなしのガバ。
それも所謂今時のフェス映えするユーフォリックなガバではなく、1990年代黎明期の土臭いガバ。
少なくとも2019年に出てくる曲ではない辺りに心臓鷲掴まれた気持ちです。
THE GOVT. KNOWS – KNOWER – YouTube
アメリカの2人組ユニットKNOWERによる電子音楽。
ジャズ、ファンク、R&B、電子音楽とあらゆる音楽の要素が凝縮したユニット。
メンバーはボーカルのGenevieve Artadiとその他楽器全てを担当するLouis Cole。
Louis Coleの多才っぷりはこれとか見て頂けると分かると思いますが、1人でボーカル、コーラス、ギター、ベース、ドラム、シンセを多重録音して作られております。
天はたまに二物三物与えた存在を作りよる。
この曲は2016年にリリースされたアルバムLIFEに収録されております。
シンセとコーラスをバックにラップ気味のボーカルが捲し立て、サビでエレクトロサウンドが炸裂するコントラストの効いた構成。
特にサビは幾重にも重ねられたバックトラックの上をインパクトのあるシンセがあらゆる場所で差し込まれるというかなり愉快なパートになっております。
ですが、それ以上に特筆すべきはその歌詞で、要約すると『政府はお前がシコっているのを知っている。』です。
意訳を作成した方がいらっしゃったのですが、この曲のテンションで力強く歌い上げるにしては明らかにおかしい内容。
サウンド、メッセージ性、アイディア、何もかも予測不能な2人組、それがKNOWERです。
KNOWER living room power set 2020 – YouTube
余談ですが早稲田音泉の後、05月にKNOWERはPorter Robinsonが主宰したオンラインフェスプログラム、Secret Skyに出演しておりました。
その際の彼らのパフォーマンスがこちらになります。
The Government Knowsもプレイされました。
僅か20分のライブですが、これだけでも彼らの音楽の引き出しが如何に広く、そして深いか知ることができる映像です。
日本のヒップホップグループRhymesterによるヒップホップ。
格好良さ以外にもユーモアや皮肉や風刺、ナード的知識まで豊富に携えたワードセンスが昔から好きで聴いています。
早稲田音泉が行われたのはご存知、茶箱であるワケなのですが、その対面にはこれまたご存知早稲田大学がありまして、ここには古くからソウルミュージック研究会GALAXYというブラックミュージックにスポットを当てて活動しているサークルがあります。
Rhymesterのメンバーはこのサークルの部長経験者3人によって結成されたグループ。
というわけでこういった催しで改めて紹介したかったところがあります。
この曲は2004年にリリースされたアルバムグレイゾーンの収録曲。
自分の世代はヒップホップが音楽的に、そしてファッション的に流行した瞬間を見てきており、聴き始めた当初も『ヒップホップは常に華やかであるべき、ワルであるべき』みたいな先入観がありました。
しかしこの曲はあくまで等身大に自分の住む部屋はこんなところだというのを歌っているのです。
それはそれまでヒップホップに勝手に抱いていた華やかさや高級感とは真逆の、機材やらレコードやらビデオ、本、酒、ゴミ、ガラクタが散乱する自分と大差ない環境であり、人間味を帯びに帯びたフレーズの数々はこの音楽が持つ別の魅力を提示してくれた気がします。
特に冒頭の『神奈川から多摩川渡って世田谷~仲間が住む幡ヶ谷の一角』という、単に地理を説明しただけで韻を踏んでいるバースは目から鱗でした。
スチャダラパーからのライムスター – Forever Young (Music Video Version) – YouTube
ちなみにそんな彼らが今年リリースした曲がこちら。
今年でデビュー30周年という日本語ヒップホップの大ベテランスチャダラパーとの初コラボレーション。
ヒップホップをエンターテイメントとして魅せることに長けた2組とあって、映像も含めて肩の力を抜いて楽しめる作品。
Ren Ai Circulation – Nadeko Sengoku (Kurohae Remix) | _Kurohae | Prettybwoy / cuxrixous
日本の覆面プロデューサーKurohaeによるグライム。
リリースは2018年。
国内ベースミュージックシーンに於いてかなり名の知られた人ではあるのですが、ここではこれ以上の説明はしません。
タイトル通り、2009年から放送されたアニメ化物語のオープニング曲恋愛サーキュレーションが元ネタ。
原曲はスローなハウスといった感じでハウス系のアレンジは結構耳にしてきましたが、シンプルなサウンドを基調とした原曲の可愛さと対極のシリアスなグライムになったアレンジは意外性抜群。
特にベースの深度が凄まじく、音の出せるスピーカーのある環境で聴くと文字通り『体感』できます。
現場でかけるべきアニソンリミックス。
ちなみにこれを初めて聴いたのは深夜帯に行われていたパーティーに遊びに行った際にDJがプレイしていた時で、それも全くアニメの関係ない今尚続いているストイックなベースミュージックのパーティーだっただけに余計にビックリした記憶があります。
鏡面の波 Kyomen No Nami Remix (kuroha-x ver.) by kurohaemusic | Free Listening on SoundCloud
ちなみにこちらはその後に出た鏡面の波ブートレグ。
原曲の儚げな感じを活かしたガラージで、変則的なリズムもむしろ正道に聴こえるアレンジ。
但しベースは極太。
一般的なアニソンリミックスとはスタンスの異なる作品の作り手と言えるでしょう。
(歌詞)おジャ魔女どれみOP「おジャ魔女カーニバル!!」高音質 – YouTube
1999年から放映がスタートしたアニメおジャ魔女どれみの初代オープニング曲。
言うまでもなく自分は男性ですのでこの作品をリアルタイムで視聴したことはなく、そもそも女児向けアニメというものに対する知識もほぼ無いのですが、しかし女児向けアニメのオープニング曲としてこの曲を聴くと明らかに異質であることは分かります。
エレクトリックドラムの4つ打ちに4分打ちのハイハット、デンデケデンデケ鳴っているベースがひたすらループしている上をカッティングギターと元気いっぱいのストリングスが跳梁跋扈。
僕の感性で聴くとこれはもはや速いディスコとしか思えないのです。
完璧にクラブミュージックの要素を満たしていると認識しております。
ちなみに当日お越し頂いていたHardonizeオフィシャルVJチーム、KNOCKHEADZのみさきちさんによるとこの時はまだ女児向けアニメのオープニング曲に於けるスタンダードが出来上がっておらず、手探りの状態から生まれた曲であるという背景があったようで。
確かにこの後に様々な作品が放送され、それらの主題歌、劇中歌から女児向けアニメの曲の傾向が作られていくわけで、当時としては何も異質な曲を作ろうと思ってこのテイストになったわけではないようです。
別の言い方をすると、とても自由な時代であったと。
歌詞はそれこそ女児のポジティブな気持ちを歌っているのですが、時折リズムや音程が微妙にズレている部分があるんですよね。
これを時代的にテクノロジーによる補正が追っつかなかったからだと捉えることも勿論できるのですが、アニメの主人公である小学生の女の子の歌唱力を再現してあえてズレた部分を演出しているのだとしたら声優って本当に凄い職業だなと思います。
聴けば聴くほど発見があり、温故知新という言葉がピッタリな曲。
おジャ魔女どれみ20周年記念作品「魔女見習いをさがして」Final予告 – YouTube
これまた早稲田音泉が行われた時は全然知らなかったのですが、おジャ魔女どれみの放送開始20年を記念した劇場版アニメ魔女見習いをさがしてが11月公開予定です。
予告編でもこの曲が盛大に使われておりますね。
映画好きではあるので、女児向けアニメというものを大手を振って観に行けるチャンスなのではないかと割と前向きに検討しております。
Diablo Swing Orchestra / Voodoo Mon Amour – YouTube
スウェーデンのバンドDiablo Swing Orchestraによるジャズ×ハードロック。
8人組というそこそこ大所帯の編成でハードロック、メタルを基調としながらそれらとは全く異なるジャズ、オペラ、オーケストラといった古典音楽の要素も取り込んだキワモノサウンドが最大の特徴。
メタルはある意味テクノと同じくらい細分化されたサブジャンルを擁しており、Wikipediaのページを見るだけでワクワクするものがあります。
そんな彼らの音楽性を説明するのにピッタリだと思う曲がこちら。
2012年にリリースされたPandora’s Pinataの1曲目を飾るトラックです。
そのバンド名に恥じない強烈なスイング感と、それに引けを取らないラウドネスなギターサウンドとストリングス、ホーンセクションが見事に融合してます。
この手の音が滅茶苦茶ツボでして、一時期本腰入れて類似のバンドを探したりもしたのですが、今のところ彼らが唯一無二です。
ご存じの方いらっしゃいましたら是非教えてください。
Diablo Swing Orchestra – “Black Box Messiah” (Official Video) – YouTube
同じアルバムに収録されているこっちもかなりインパクト高いので合わせて是非。
何度聴いてもサビの高音ボーカルは何歌っているかさっぱり分からない。
こういうアバンギャルドなメタルはそれぞれが交わることなく独自路線を行っている感が強いので非常に面白いと感じております。
多分今週末の早稲田音泉 二湯目に於いても何かしらこういう方面で紹介することになろうかと思います。
1997年から2005年にかけて活動していた日本のロックバンドSUPERCARによる電子音楽。
早期からエレクトリックサウンドを取り込み、テクノとの親和性の高い楽曲を多く生み出していただけに、彼らがまだ活動継続していた頃は『ロックは聴かないけどSUPERCARは別。』というクラバーはそれなりにいた気がします。
それこそテクノ界隈に於けるYUMEGIWA LAST BOYの知名度は確実に高いですよね。
このSILENT YARITORIはそのYUMEGIWA LAST BOYと同じアルバムHIGHVISIONに収録されており、ラストを飾る曲でもあります。
リリースは2002年。
浮遊感のあるシンセにシンプルな歌詞のボーカルはこのバンドを象徴する要素と言っても良いでしょう。
あと今聴くと終盤のリズムが2ステップっぽかったり、テクノ以外の電子音楽にも通じる箇所があると思えるところは様々な音楽が入り乱れている現行のクラブミュージックに比肩するスタンスと解釈できるので、そこも個人的にツボです。
美しく、儚い電子音楽。
この日を〆る1曲として相応しいと思ったので最後に紹介しました。
BEAMS40周年記念『今夜はブギー・バック』で観るTOKYO CULTURE STORY/BEAMS40周年記念動画『今夜はブギー・バック』MV – YouTube
最後も余談付き。
この映像、日本を代表するブランドであるBEAMSが過去40年のファッションのトレンドを、その時代を代表するジャンルの音楽による小沢健二 featuring スチャダラパー / 今夜はブギー・バックのアレンジと共に紹介するというもの。
ファッションにそこまで詳しくない自分が見ても滅茶苦茶良い映像だと思うので、とにかく1度見て頂きたい。
それはそれとしてこれの中盤、2000年のパートでアレンジを務めたのが元SUPERCARのフルカワミキ、中村弘二の2人でした。
この映像だけ見ると2000年を境にグッと現行の音楽に近付くのが分かる気がして、そういう意味でも時代の節目で存在感を残したバンドだったというのが実感できます。
以上、03月に行われた早稲田音泉で自分から紹介した曲を改めて取り上げました。
Hardonizeプレゼンツとはいえ、本当にハードテクノが関係ないことがお分かり頂けたかと思います。
今回もそれに比肩するくらい魅力的な音楽を準備して臨みますので、是非現地へお越し頂けますと嬉しいです。
何でしたらそれに負けじとオススメの曲を持参して頂きたい。
ジャンル問わず、グッドミュージックを皆で共有していきましょう。
次週10月20日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。