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【特集】公募用DJMIXの組み方 - Resident’s Recommend 2020/09/19

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

今回の執筆に際して準備が間に合わず公開が2日も遅れてしまい、大変申し訳ございませんでした。

予てよりお伝えしておりますように、ハードテクノパーティーHardonizeの37回目を11月14日に執り行います。
そしてその連動企画としてMIX公募を受付中です。


応募用フォームはこちら

クラブミュージックに於いて公募制度を設けたパーティーというのも以前はちょいちょい見かけたものの、最近では珍しい気がしますね。
前回の記事でも書いた通り、我々Hardonizeクルーは4人とも15年前にやってたとあるMIX公募型パーティーの出身者でして、公募というものに思い入れを持っています。
先週の記事内で774MuzikさんSangoさんがそれぞれその丈を綴っておりましたが、自分も概ね同じような所感を持っております。

前述の通りHardonizeはハードテクノのパーティーではありますが、今回の公募では

使用ジャンルはオールオッケーとなっております

ので、様々なアプローチによるMIXのご応募、お待ちしております。

あと03月に急遽開催したB2Bを交えつつ好きな曲についてダラダラ喋る会こと早稲田音泉の2回目を10月17日に行います。

前回は本当にビックリ音楽勢揃いでしたので、またやるからには新記録を更新していきたい。
加えて我々から紹介するだけではなく、皆様からの推し曲も募っていきますので是非ご来場の上、エントリーして頂けますと幸いです。
我々は音楽に飢えているので。

こちらもオールジャンルとなっております。
参考までに前回はアニメソング、ゲームミュージックは当然としてメタルとかヒップホップも飛び出しました。

さて本題。

通常であればワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっておりますが、
折角自らのパーティーでMIXの公募を受け付けている最中でありますので、
今回は

公募用DJMIXを作る際の考え方

について自分なりの意見を述べていきます。

よって今回曲紹介はありません。
文章主体の回になりますのでひとつご容赦ください。

(一応)自己紹介

まずお前は誰なんだという話から。

TAK666という名前で15年程DJをしております。
ジャンルの専門は特にありません。
4つ打ちからブレイクビートまでその場に合わせて色々と。
ただ、それらが違和感なく1本のMIXとして展開されていく流れを好む傾向があります。

下記SoundCloudのアカウントでちょいちょいMIXの公開を行っておりますのでご参考の程。
TAK666 | Free Listening on SoundCloud

公募との関わりについては、最初のDJデビューが公募制のパーティーで、応募者の中から出演権を勝ち取ったことによるものでした。
その後も公募制度を設けていたパーティーが多かった時期までは積極的に応募し、そこそこの打率で出演権を頂いていた自負はあります。
大きな経歴としてはOUTLOOK FESTIVALが開催していたROAD TO OUTLOOK JP 2017のセミファイナル進出でしょうか。
(Vice Creamがワタクシと最近ブレイズヘアになったSYNDROMEさんのユニットです。)
余談ですが、以前大阪のとあるパーティーに応募して受かった際、審査員全員満場一致で採用された経緯を聞いたのは嬉しかった思い出。
但しその後に茶化し半分で『若手の目を潰して酷い人やで!』とも言われました。

また、規模の大小を問わず公募制度を設けていたパーティーで応募されてきたMIXの審査を担当したり、自分でそういったパーティーを開催したこともあります。
なのでジャンルを問わず公募で送られてくるMIXというものを多く聴いてきておりますので、採用不採用の基準については話せる部分があると思います。

尚、自分のキャリア上これらは全てクラブミュージックの範疇になりますので、現在も公募制度を設けているパーティーの多いアニメソング系についてはこれから書く内容は必ずしも当て嵌まらない可能性がありますのでその点はご留意ください。

DJ MIX作成について

では実践編。

大前提としてDJの基礎を心得ていることです。
具体的には

(1) ドタらない
(2) 曲の前後、及びMIX全体で音量の極端な上下がない
(3) 曲と曲を重ねている際、出音の帯域ごとにバラつきが生じない

この辺りです。

(1)は言うまでもないでしょうし、DJに於けるミスといえば真っ先に思い浮かぶのがこれです。
ですが実際には『よく聞くとドタっているがまぁ許容範囲だし良いだろう』と見受けられる箇所を含んだまま提出されるMIXがたまにあります。
現場だとこれが結構通用してしまうのですが、審査されるものとしてビートシンクの精度は良い方が好ましいです。
ちゃんとモニタリングして重ねましょう。

(2)もDJ教則本なんかに度々挙げられるようなポイントですが、実践となると意外に蔑ろにされがちな部分です。
というのも最近のDJ機器、ソフトウェアの技術面の向上によってある程度までは使用機材が自動的に補正をかけてくれるため、DJ自身の手による大幅な介入をしなくても済むためです。
但しそれはあくまでもある程度までの話で、レベルメーターで見ると揃っているものの、実際に人の耳で聴くと音量や音圧に差があるように聴こえるということは頻繁に起こります。
そのため、曲ごとのゲインの微調整は必ず意識しましょう。
経験則になりますが、ここが採用不採用の分かれ目になるケースを多く見てきました。

最近のクラブミュージックは尺が短いものも多く、そこまで意識している余裕がないという意見もDJとして理解できますが、公募に於いては1本のMIXとして聴いた上で評価することになるので、無視した方が良いということにはならないと思います。
厳密にやるならMIXを作る前に使用曲全てに対してマスタリングを行うとかになりますが、録音後にマスタリングを行う形でも大分聴こえ方が改善される場合があります。

(3)はロングミックスを行うジャンルに対する注意点です。
オーソドックスなテクノ、ハウス、トランスとか。
曲を重ねる前、重ねている最中、重ねた後でフラットな出音となっていることが望ましいです。
(我々の時代ではよくスムーズなMIXなんて表現をされていました。)
例えば低音を重ね過ぎないとか、逆に切り過ぎないとかそういったことになります。

これは曲ごとの出音の特性によってどこまでEQを操作するかが変わってくるので、繰り返し練習を行って気持ち良いポイントを探すしか方法がありません。
あとMIXは音を重ねるときより音を抜いていく方が難しいので、音を重ね過ぎるとその瞬間の出音の違和感もさながらその後のリカバリーもかなり無理をしなくてはならないので、そうなったらいっそ録り直した方が良い気がします。

あとどんなに良い内容であっても定められた規定時間の超過だけは絶対に避けましょう。
応募本数が多かった場合、問答無用で落とされる可能性があります。

自分は規定時間に収まるかどうか事前に調整を図るため、このような表を作っております。

後述のMIX作成の際に使ったものです。
左の列に曲番号が振られており、上から順に

1曲目の1分21秒時点で2曲目を再生すると展開が合う。
2曲目の1分49秒時点で3曲目を再生すると展開が合う。
・・・
15曲目の2分5秒時点で16曲目を再生すると展開が合う。
16曲目はフルで再生すると4分である。
⇒合計で43分40秒程の長さになる。

ということがメモされております。
実際にはここからテンポ調整などが入るため、目安の数値ではありますが、完成したものが43分ちょいなので精度としては十分です。

加えてどのポイントにも言えることですが、少しでも納得いかなかったら即座に録り直す勇気は絶対に必要です。
『成功が努力の前にくるのは辞書の中だけだ』という言葉があるように、繰り返し練習を行うことで良いMIXが出来上がるものと自分は思ってます。

選曲について

前章と順番が前後しますが、実際に行う手順としてはご存知の通り、こちらの方が先になります。
DJは現場に臨む際、事前に選曲するのが善か悪かなんて議論がよく見受けられますが、こと公募に於いては絶対に手を抜けないポイントであり、ガチガチに組んだ方が良いと思っております。

基本的には自分が普段現場で行っているプレイ、或いは応募先のパーティーでやりたいプレイを中心に考えれば良いと思いますが、個人的にはその上で起承転結を明確にすべきと考えます。
どのジャンルにも言える話ですが、様々なスタイルを持った曲があります。
ウォームアップ系、ピークタイム系、メロディアス系、主体はリフなのか、フレーズなのか、サウンドのインパクトなのか、曲調はシリアスなのか、馬鹿っぽいのかなど、それぞれに特性があり、それらを相互に活かすのがDJの役割だと思っております。
同じような曲ばかり展開されるMIXから見えてくるのはあくまで制作者の趣向であって、DJの特性ではないのです。
従って、規定時間内でテンションの山や谷を作るような選曲が望ましいと言えます。

その上で審査員に刺さる選曲をどのように行うべきかという話になりますが、自分が行うことの1つにリサーチがあります。
そのパーティーを主宰しているのは誰なのか、どういうジャンルに精通しているのか、現場ではどんな曲がかかるのか、などについて調べ、そこにアプローチできる楽曲はないかと探すわけです。
ある程度それらのピックアップが完了したらそれをMIXの前半、中盤、後半のどこに配置するか決めたのち、そこに肉付けする形でセットリストを作っていきます。

今回作成したものの中で比較的序盤に挙がった曲としてはボス、yudukiさんが最近お熱のテックトランスであるこれや、

Richard Lowe / Razorback

Razorback (Original Mix) by Richard Lowe on Beatport

Hardonizeで比較的よくかかっているハードグルーヴの直近のリリースであるこれや、

DJ Brutec / Funky Hipster

Funky Hipster (Original Mix) by DJ Brutec on Beatport

ネタ元が強烈なこれとかでした。

KAGAMI / Tiger Track (Yurizo Refix)

[Free DL]Tiger Track(Yurizo Refix) by 百合蔵/Yurizo | Free Listening on SoundCloud

あとは個人的な趣向として、

(1) 序盤3曲はイントロダクションパートとして渋い曲調のものでまとめる
(2) 応募先パーティーがメインとしていないであろうジャンルについても触れる

この辺は重きを置いています。

(1)は上記でも書いた起承転結の起に該当する部分です。
現場でのDJと違い、審査時は前後の脈絡がない状態で聴かれることが多いため、一旦リセットした状態から展開していくのを意識してのものです。
加えて自分の場合は最初と最後で全然違う曲になっていることが多いので、その落差をより顕著にするためにもこういったトラックを序盤に持っていきがちです。

(2)は起承転結以上に自分の幅の広さを提示している感じです。
単一のジャンルをストイックに追及しているわけではないが、だからこそできる展開の作り方があるのではないかと思うわけでして。
予想できない展開をするDJというのが昔から好きなので、そこに無理やり感が出ないギリギリのラインを突いていきたいとは思っています。

実際にやってみた

以上を踏まえてワタクシが実際に今回のHardonizeに公募MIXを提出しようとしたらどうなるのかとやってみたものがこちらになります。
コイツのせいで2日遅れました。
申し訳ございません。

TAK666 / Hardonize #37 Contest Entry (If I Challenge) – 2020.09

Rave, Hardminimal, Tech Trance, Hardgroove, Hardhouse, Bassline Mix – 2020.09 by TAK666 | Free Listening on SoundCloud

トラックリストはリンク先公開です。
レイヴブレイクスに始まり、ハードミニマル、テックトランス、ハードグルーヴなどを経由してハードハウス、ベースラインで終わる43分16曲。
規定通りです。

Hardonizeのメインジャンルであるハードテクノにスポットを当てつつ、オールジャンルと謳われたからには別の要素も取り入れた内容です。
録り終わってから気付きましたが、いつものHardonizeのプレイでした。
全然ドラムンベースとか、ハードコアとかもアリなんですよ。
過去どっちも流れてますし。

念押ししますが、これが最適解とは思っていません。
あくまで自分だったらこうするというだけのものなので、応募をお考えの皆様に於かれましては各自のスタイルを前面に出したMIXをお作り頂きたいですし、その上で本記事やこのMIXを参考程度に留めて頂けると嬉しいです。
むしろこのぐらいだったら自分にもできると思って頂いて全然オッケーです。
引き続き皆様からのご応募、お待ちしております。

締め切りは09月27日。あと1週間!

以上、公募用DJMIXの組み方についてお送りしました。
この手の話はパーティーそれぞれにポリシーやセオリーがあるので、なかなか明文化しづらい部分だとは思います。
ただ、それユエに知識の共有化もなされないのは公募に関わってきた者として少々勿体ないような気もしたので、散文ではありますが拵えてみました。

また公募制のパーティーが増えてくると挑戦者側として喜ばしく思ったりするのですが、ところで若手の方々に聞いてみたいこととして、『キャリア10年超えみたいな人がわざわざ公募してくるのってどう思う?』ってのがあります。
先の大阪の方々じゃないですけど、あれが半分本気だったらちょっと申し訳なかったなとも。
あ、Hardonizeは全然オッケーです。
老若男女人外まで門戸は開きっぱなしです。

次週09月22日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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[BPM160±5] 新作速いテクノ特集 (2020年09月版):今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2020/09/03

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

予てよりお伝えしておりますように、次回Hardonizeを11月14日に執り行います。
そしてその連動企画として初のMIX公募を行います。


応募用フォームはこちら

我々Hardonizeクルーは4人とも15年前にやってたとあるMIX公募型パーティーの出身者でして、公募にはちょっとした思い入れがあります。
これまでにも何度かHardonizeで取り入れようという話はあったため、むしろこういう状況下だからこそ今やるべきなのではないかという結論に至りました。

詳しいレギュレーションについては上記の通りなのですが、声を大にして言いたいのは

ジャンル不問

であることです。

ご存知の通りHardonizeはハードテクノのパーティーです。
レジデントDJ含め、かかる音楽はハードテクノがメインです。
しかし、それ以外の音楽も度々かかりますし、ワタクシに至っては半分くらいハードテクノではない気がします。

ストイックにハードテクノのみを追求し続けること、それ自体は凄いことだと思いますし、そういった活動をされている先駆者たちの存在もずっと目にしており、何度もそういったパーティーには遊びに行きました。
実際楽しいですからね。
ただ、その一方で時に予想しなかった音が流れるような不確定要素がパーティーの楽しさの1つであることも重々承知しており、その体験が音楽の視野を広げるのに通じていることも各々身を以って知っているわけです。
今回のジャンル不問もそういった狙いがあってのことなので、少なくともMIXで使用されているジャンルがハードテクノかそうじゃないか、で差をつけることはないと思ってください。

皆様からの多数のご応募、お待ちしております。

さて、今年からワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

特別連載:ハードテクノとは何か? – 第1回:黎明期編


ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

ですが、今回はこういったサブジャンルで括れない楽曲にスポットを当てます。

今回取り上げるテーマは

速いテクノ

です。

ご存知のように、ダンスミュージックに於けるテクノのテンポというのは数あるクラブミュージックの中でも丁度中間ぐらいに位置します。
数値で表すとBPM120~135辺り。
ハードテクノがそれより少し速い135~150というのが一般的な認識です。
とはいえ、古くは1990年代ヨーロッパレイヴの流れを汲む形で誕生したジャーマンテクノはBPM150前後のものが多かったり、現行のハードテクノに於いてもシュランツインダストリアルの中にはBPM160を超える曲が珍しくなかったりと、テクノのフォーマットの壁を超える存在が時代を問わず現れます。
少し毛色は異なりますが、テクノとドラムンベースのリズムを同期させたグレイエリアなんかもここに含められるかもしれません。

そして中にはこれらのサブジャンルで括ることができない、単純に速いテクノが存在します。
これは何も2020年現在に限った話ではなく古今東西で生み出されているものなのですが、やはり本流のテクノとの壁は厚過ぎるのか、あまり日の目が当たることのない楽曲たちです。
中にはテクノ以外のジャンルとして紹介できるものもありますが、テクノとしてピックアップすることによる新しい発見もあるのではないかと思い、今回まとめてご紹介します。
何より、変ミュージック大好き人類として見過ごすことができない部門なので。

余談ですが、過去に秋葉原重工のリリースの購入者特典用MIXを担当したことがあるのですが、全曲早回しして繋いだものが存在します。
理念としては今回取り上げるものに近いですね。

そんな異質とも言える新作速いテクノ紹介いってみましょう。
時期的には今夏リリースされたものをメインに取り上げます。

dDave / Sort Of sSchizo

Sort Of sSchizo (Original Mix) by dDave on Beatport

イギリスのプロデューサーdDaveによるテクノ。
無機質なリフとスモーキーなエフェクトをフィーチャーしたハードミニマルの速い版。
クラップの打ち方とか質感が昔っぽい・・・けどまぎれもなく今年リリース。
初手から時空がブッ飛んでいる。

Nina Kraviz / x3

x3 (Original Mix) by Nina Kraviz on Beatport

ロシアのプロデューサーNina Kravizによるテクノ。
言わずと知れた世界を代表する女性DJであり、数々のアワード受賞歴も誇る言わば第一線で活躍するアーティストなのですが、06月に自身のレーベルtripからリリースしたコンピレーションHot Steelに書き下ろしたこの曲が自身のキャリアの中で最速のテンポを達成。
裏打ちのベースに妖しげなアシッドっぽいシンセが9分に渡って展開されるというサイケデリックなトラック。

ちなみにこのコンピレーション、他にもハードだったりエクスペリメンタルだったり多種多様なテクノサウンドが詰め込まれていてかなり普通じゃない感じの作品です。
Shuttaの曲とか、もっと速かったりします。

Shutta / Pesochni Chelovek

Pesochni Chelovek (Original Mix) by Shutta on Beatport

Flore / Coded Language (3Phaz Remix)

Coded Language (3Phaz Remix) by Flore on Beatport

エジプトのプロデューサー3Phazによるテクノ。
ドライパーカッションが忙しく鳴り響くシリアスさと馬鹿っぽさが同居したサウンド。
インパクトも強いので、テクノではないシーンに於いても使える場面がありそうな気がします。

Hegstraction / Berlin Is Berlin

Berlin Is Berlin (Original Mix) by Hegstraction on Beatport

イギリスのプロデューサーHegstractionによるテクノ。
圧の強いキックに反してシンプルなシンセがループする、展開もまたシンプルなトラック。
尺もテクノの中ではかなりタイトに纏められております。
サブで用いられている細かいリズムの打ち方なんかはジューク/フットワークを彷彿とさせますが、音の質感が違い過ぎるので合わせるのには一工夫要りそうです。

High 0ct4ne / Perpetual Path (Odep Mix)

Perpetual Path (Odep Mix) by High 0ct4ne on Beatport

謎のプロデューサーOdepによるテクノ。
全く同じ展開を2回繰り返して唐突に終わるという、前述の曲以上にシンプルな構成。
その尺僅か3分ちょい。
その割に冒頭で述べた1990年代ジャーマンテクノを彷彿とさせるトランス的な音使いを軸に密度のあるリズムも味わえるという、本当に謎のリリース。
リリースが先月というのも驚きです。

ちなみにこれがリリースされているProRec Musicからは他にも似たようなリリースがあり、これも音使いはかなり好みです。
但し、こちらも展開は全く同じで尺は3分30秒とかなり短いので使用時にはご注意を。

Odep / Solar Points (CTW Mix)

Solar Points (CTW Mix) by Odep on Beatport

acounta / Orphan Drugs

Orphan Drugs (Original Mix) by acounta on Beatport

カナダのプロデューサーacountaによるテクノ。
めちゃくちゃラフなリズムに淡々とリフが追従するハードミニマル。
ブレイクも短く、中盤までは基本4つ打ちのキックが鳴りっ放しなのですが、終盤パートでリズムパターンが非4つ打ちに変化するという攻め気の強い展開を見せます。
同テンポ帯の音楽と絡めようとするとイマイチ使いどころが読めないタイプの楽曲ですが、(特に黎明期の)ハードミニマルを早回しするとまさしくこんな感じのサウンドになるので、万が一の際・・・億に一の際・・・いや、忘れましょう。

D’TCH / No Good

No Good (Original Mix) by D’TCH on Beatport

イギリスのプロデューサーD’TCHによるテクノ。
主にディープ系ドラムンベースのクリエイターとして活動しているD’TCHですが、直近の本作はまさかのゲットーテック4種盛りEP。
程良くアーバンなパッドとバウンシーなエレクトロベースが絡むこの曲が印象的でしたが、EPごとオススメのリリースです。

Samurai Breaks, Audio Gutter / Free Your Mind

Free Your Mind (Original Mix) by Samurai Breaks, Audio Gutter on Beatport

共にイギリスのプロデューサーSamurai BreaksAudio Gutterによる4つ打ちベースライン。
UKベースラインを代表するレーベルOFF ME NUT RECORDSからのリリースで、Audio Gutterもその中の筆頭格と言って良い存在です。
その持ち味を存分に活かした奇天烈ベースラインが高速4つ打ちと共に繰り出される奇作。
ジャンル不定形といえどドラムンベース、ハードコアどちらにも使えて、何なら両者間の橋渡しもできる優秀なトラック。

ちなみに作曲者の片割れであるSamurai Breaksは上記のD’TCHと組んでこんな曲もリリースしております。
ジャングル+レイヴ+ゲットーテック。
花丸です。

Samurai Breaks, D’TCH / NRG

NRG (Original Mix) by Samurai Breaks, D’TCH on Beatport

BNDT72 / Retro

Retro (Original Mix) by BNDT72 on Beatport

フランスのプロデューサーBNDT72によるジューク/フットワーク。
タイトル通りレトロなシンセを前面に押し出したトラックで、その質感がテクノにも通じると思ったのでご紹介。
リフも複数種類を使い分けていたり、アーメンブレイク含むリズムの複雑さがジューク/フットワークの醍醐味を体現しているようで、アーバンな雰囲気の中に爆発力も秘めた良作。

E-leven / Until Tomorrow

Until Tomorrow (Original Mix) by E-leven (UK) on Beatport

最後にご紹介するのはイギリスのプロデューサーE-levenによるテクノ。
現行テクノらしい太いキックに浮遊感のあるシンセが乗ったメロディアスな速いテクノ。
何より、ほぼ全てのリズムパートでアーメンブレイクが並走しているてんやわんやぶり。
セットの〆に使うとかなり良い感じになれる気がします。

ちなみにこのE-leven、楽曲のリリースは今年が初という驚異の新人。
上記Soundcloudに楽曲とMIXが数点アップロードされておりますが、どれも高純度でハードテクノとレイヴを行き来する内容で、個人的にはドツボでした。

以上、速いテクノにスポットを当ててお送りしました。
普通にハードテクノをDIGしているだけではなかなか目の届きづらい分野であり、一纏めに情報が集約されている場所もないように思えるため、つい熱が入った結果取り上げた曲が多くなってしまいました。
とはいえこういった曲は時代を問わず存在しており、こういったところから新しい何かが生まれてくると期待している部分もあるので、今後も機会を見つけては奇怪機械音楽にスポットを当てていきたいと思います。
冒頭で述べたMIXの公募にもそんな新しい出会いがあると良いなと思っておりますし、自分としても新しいと思ってもらえる何かを提示していけるよう精進する構えです。
あと変ミュージック楽しい。

次週09月08日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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