【特集】『M3-2019秋』同人テクノ:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2019/10/31

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。

近況報告。


来週末、カレー作ります。
Hardonize的に縁のある方々もお招きしておりますので是非召し上がりにお越しください。

それと、次回Hardonizeの日程も解禁となりました。

2020年02月22日開催でございます。
凄い、もう2020年なんですね。
ゲストの発表につきましても当連載の中で触れていくことになろうかと思いますので今後ともご贔屓に。


昨日の渋谷Contactでの秋葉原重工CEO。
謎カメラ目線。

さて、先週末は同人音楽即売会M3でした。


当日寝坊してしまいまして明らかに買いそびれてしまったものもちらほら。
テクノとハウスが同数くらいで、あとはベースミュージックとエレクトロニカがぼちぼちと云う感じです。
ちょっと悔いが残る釣果となってしまっております。

そんな中、一昨日のエントリーでYudukiボスがM3でリリースされた作品のレビューを行ってくれたではありませんか。
大変良いことです。
ようやくワタクシ以外にもレビューを書いてくださる方が現れてくれました。
しかし、確実に共通して買っているであろう作品群について触れられていないところに何かしらの意図を感じざるを得ないので、そこは与えられた役目と受け取ります。

と云うわけで、予告通りに事を進めることにしましょう。
今回は当連載に於いて6回目となるM3特集です。

前回『M3-2019春』特集はこちら。

今週のオススメハードテクノ – Resident’s Recommend 2019/05/02

それより以前の特集はこちらになります。
2018秋 / 2018春 / 2017秋 / 2017春

これまでと同様、表記順は『【アーティスト名】 / 【リリース名】 [【サークル(レーベル)名】]』でテクノ的オススメを挙げていきます。

それでは

『M3-2019秋』で買った同人テクノ

いってみましょう。

Bigfire / Deathcotheque the Album [ビッグファイア]

Bigfire – Deathcotheque the Album Disc 1 preview – YouTube

Bigfire – Deathcotheque the Album Disc 2 preview – YouTube

特設ページ

過去5回M3特集をやっている中で唯一全ての回で取り上げているHomma Honganjiさんの作品。
今回も大きなリリースがありましたのでご紹介致します。
それが彼が所属するテクノバンド、Bigfireのフルアルバムです。

フルレングス2枚組と云うボリュームもさながら、リミキサーにMarshall JeffersonK’ AlexiJammin Geraldと云った、80年代~90年代から活動しているシカゴハウスの重鎮たちを起用していると云う点が驚きです。
3人ともDance ManiaTrax Recordsと云った伝説的レーベルに所属していたアーティストたちなので、このようなレジェンドの最新曲をプロデュースするHomma Honganjiさんの手腕にはただただ感服します。

収録曲はHomma Honganjiさんのソロに匹敵するハードグルーヴテイストのものもあったり、上記のようなハウスにスポットが当たっているものもあればモダンテクノのようなトラックもありとバラエティに富んだ内容。
源氏香シリーズをはじめとする彼のソロ作品がDJ向きだとすると、今回のアルバムはより一般のテクノリスナーに向いているとも言えます。
バンド形態と云うことでボーカルが入っていたりもするので、OverrocketとかBremen辺りを彷彿とさせるものがあります。
テクノポップ好きにもオススメ。

個人的な好みはトライバルパーカッションの上で煌びやかなシンセとボーカルが絡むDisc2の2曲目、Hirugano

http://bigfire.info/

V.A. / AD:TECHNO 4 [Diverse System]

[DVSP-0227]AD:TECHNO 4 Crossfade by DiverseSystem | Diverse System | Free Listening on SoundCloud

特設ページ

長きに渡り同人音楽シーンを牽引している老舗サークルDiverse SystemとHardonizeも度々お世話になっているパーティー、レーベルである秋葉原重工とのコラボレーション作品第4弾。
秋葉原重工の強みを活かしたガッチガチのテクノコンピレーション。

HIROSHI WATANABEさん、Q’HEYさん、TAKAMIさんと云った日本のテクノシーンを支え続けている方々も参加している豪華ラインナップ。
前述のHomma Honganjiさんもいらっしゃいます。(こちらはソロ名義。)
インダストリアルに寄った肉厚で深いビートのものが多いですが、後半数曲に関してはメロディアスな曲調のトラックもあったり、カロリー高め。

個人的な好みは3曲目、TAKAMIさんによるシンプルなリズムにレイヴオルガンが鳴りっぱなしのトラック、One’s majority

http://diverse.jp/

Kouki Izumi / Feuerstelle EP [technoA]

[NEW RELEACE]Feuerstelle EP by Kouki Izumi | Free Listening on SoundCloud

こちらも上のAD:TECHNO 4に参加しているKouki IzumiさんのサークルtechnoA
ストイックなテクノのEPを毎回リリースしている印象ですが、今回も期待通りの作品が挙がっておりました。

深くて硬いリズム帯に無機質で煙たいウワモノと云う一切色気のないトラック(誉め言葉です)が5曲入っております。
ふと海外に目を向けると同じようなスタイルのテクノがダークテクノと云う名前でじわじわとアンダーグラウンドシーンを侵食しているので、時代が彼に追いついたと言っても過言ではないのではないのでしょうか。

あとこのテイストの非4つ打ち曲がディープダブステップやグレイエリアなどとクロスオーバーさせる際に妙に使いやすかったりするので、変則的になりますが個人的な好みは4曲目のWarmekammerです。

http://technoa.info/

V.A. / Rave Era 03 [RewindBack Records]

RBCS0006 – Rave Era 03 (CrossFade Preview) by RewindBack Records | Free Listening on SoundCloud

特設ページ

札幌在住の若くしてオールドスクールレイヴに憑りつかれたトラックメイカーYudaidhunさんによるレーベルRewindBack Records
2年前のM3-2017秋特集の際にも触れました通り、リリース形態がヴァイナルとカセットと云う稀有な存在ですが、今回も両形態でそれぞれ1作品ずつ新作がありました。
そのカセット部門がこちらです。

主宰と同じく北海道を拠点とするクリエイターたちによるコンピレーション作品。
単にレイヴと云うとどうしてもキャッチーで煌びやかな側面ばかりが目立ちますが、本作ではリフの長回しやシンプルな構成に焦点を絞っており、レイヴのアンダーグラウンドな部分が強調されているように思えます。
こういった作品が2019年にしかもカセットで出ると云うのも驚きですし、こういった作品と出会えるのがまたM3ならではの魅力と言えます。
勿論パーツとしてはレイヴスタブやアーメンブレイクスなど、レイヴの根幹を成すものについては余すところなく使われております。

3曲目のAmoShirenさんによるLast Summerが派手さと渋さが程良く共存するテンションの曲で好みです。
恐縮なことにこの方全然存じ上げなかったのですが、出身は中国、現在札幌暮らし、で、今のところオールドスクールレイヴを中心に作曲しているなかなか珍しい人でした。
SoundCloudに上がっているGirl Like YouAwesome 3 / Don’t Goモロ使いで笑いました。
大変良い。

https://rewindbackrecords.com/

vc fox / Blue dream EP [VC FOX]

Blue dream EP Demo by VC FOX | Free Listening on SoundCloud

Techno Allianceに曲を提供していたり、出演でご一緒になることもあるVC FOXさん。
M3参加されていたことを今回初めて知り、かなり申し訳ない面持ちでいたところ、VC FOXさんは過去ワタクシがブース前を通り過ぎるのを何度か目撃したようで、更に申し訳ない。

ライブセットでは複数ハードウェアを絡めたダンスミュージックの側面が強いテクノを披露している印象でしたが、リリース作品はかなりエレクトロニカに寄っているようです。
この新作、Blue dreamに於いてもそのスタンスで作られた作品で、ライブセットに近い曲は4曲目のメランコリックなシンセが特徴的なBotanical gardenでしょうか。
ただ、個人的にはドライスネアの残響音が気持ち良い3曲目のBroken heartも推したいところです。

今SoundCloudの彼のアカウント見てて気付いたのですが、こんな曲も出来るんですね。
本当に今までテクノのイメージしか無かったので、今回かなり意外な側面を知れた気がします。
と云うかジャングル、ドラムンベーステイストのEPは本当に聴いてみたい。

https://vcfox.bandcamp.com/

HOLLY / D.I.M.E.N.S.I.O.N.III [御中レコード]

D.I.M.E.N.S.I.O.N. Ⅲ by HOLLY_Dimension | HOLLY Dimension | Free Listening on SoundCloud

特設ページ

最後にこちら。
渋谷のクラブDimensionのトップであるHOLLYさんのEP。
1曲目のソロ楽曲以外はDimensionに縁のあるアーティストを客演として招いたコラボレーションとなっており、ハウス~ドラムンベース間を行ったり来たりできます。
ちなみにクラブ系ウェブメディアMixmagに紹介記事が上がっています。

僭越ながらワタクシもDimensionには何度か遊びに行ったり、出演させて頂いたりしたもので、今回のEP参加アーティストにも縁のある方々がいるのですが、やはりメインストリーム、アンダーグラウンド問わず、あらゆるジャンルやカルチャーがごった煮になるのがこのハコの魅力だと思っており、それはこのEPシリーズにも大いに現れていると認識してます。
11月09日には同店にてリリースパーティーが執り行われるとのことで、お近くの方は是非足を運んでみてください。

個人的な好みは3曲目、NO+CHINさんとの共作でトライバルハウスとダンスホールレゲエのハイブリッドトラック、Hotty Hotty Tribal (D.I.M.E.N.S.I.O.N. mix)

http://wantyourecords.com/

まだまだ取り上げたい作品は沢山ありますが、今回はここまで。
海外アーティストの参加作品があったり、意外なアーティスト同士のコラボレーションがあったり、様々なアイディアの詰まった作品群を手に取れる機会がこういった即売会です。
当連載ではテクノとその周辺音楽にしかスポットを当てられていないのが少々悔しくもありますが、今回こうしてワタクシ以外にもM3作品レビューが上がるようになったと云うことは片やテクノ、片や完全にそれ以外と云う分担も可能になるのでは?
ちょっと次回の案として抱えておきます。

あとこれは私信になるのですが、

別にラーメン奢ってくれるのはボス以外でも良いのよ?

欲しがります。貰えるまでは。
或いは来週カレー食べに来てください。

次週11月05日は774Muzikさんが担当します。
今回はこれにて。

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テクノ&ハードグルーヴ周辺ジャンルM3購入曲レビュー:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2019/10/29

はいどうも、今週もHardonizeレジデントがおすすめのハードテクノを紹介する「今週のおすすめハードテクノ」の時間です。火曜日更新は2週間ぶりのワタクシyudukiがお送りいたします。

まずはお知らせから。
HardonizeのTwitterアカウントでお知らせしておりました通り、次回Hardonize日程が決まりました。

2020/2/22という2の日になります。
非常にわかりやすいですね。ゲストの方々については後日年内アナウンスに向けて動いておりますのでお待ちくださいませ。

さて、先週末は音系・メディアミックス同人即売会であるところのM3が開催されており、様々な新しい音楽との出会いもありCDをもりもり購入してきたわけでありますが、きっと今回もTAKくんが書いてくれるだろうと思ってたものの、Twitterの写真を見る限り(Twitterにあげてある写真がすべてであると信じて)思いの外TAKくんが買ってない(だろう)と思われる所を僕が買っていたりするのでその部分を書いていこうかなと思いますが、何にせよ明けて2日なのでファーストインプレッションで書いていこうと思います。と言いつつ1個ぐらいかぶっても紹介の仕方が変わるので少しはいいかなとw

ということでわーーーーっとテクノと周辺ジャンルを中心としたM3私的レビューです。
久しぶりに前職を思い出しながらレビュー書きます。

Charterhouse Records / M3 Exclusive [Charterhouse Records]

デトロイトのハイテックサウンドを彷彿とさせるUeno 「Ulysys」と「Suspended Moon」そしてIan O’ brienやFabrice Ligを彷彿とさせる流麗なデトロイティッシュなトラックMotoki Hada「SY88」といった骨太なキックと心地よいメロディーラインが続く3曲に続いて4曲目もこの路線かと思いきやハネ感と太いボトムで展開するバウンシーミニマル「Rahoe」で締めくくる意外な展開の1枚。いい意味で裏切られたと思います。M3エクスクルーシヴとのことなのでこれ買って正解なやつです。当日並んでる間にTwitter検索で「M3 テクノ」とかそういうワードで検索して見つけて聞いたらこれだ!ってなって購入した、そういう探し方が即売会の楽しみではありますね。

加藤陽太郎 / Pressure [HERZ UP]

で、こちらも当日探して買ったサークル。TAKくん買ってるけどジャケットの種類が違うので違うものとして…。作者の顔ジャケットと工業地帯ジャケットの2枚同時リリース、中身は一緒1トラック10分の長尺トラック。キックらしい音が入るまで4分、ストイックなミニマルサウンドながら展開が多くテクノというジャンルに対していろいろな聴かせた方を提示してくれる10分間のミニマル・テクノのサウンドスケープ。クラブユースのツールトラックというよりも落ち着いた時間にゆっくりとリスニングとして楽しんでいきたい。聞けば聞くほどいい曲と思えるスルメ曲。最低でも5回は聞いてほしい。

Box / 窪須かほのうた [BBBox]

かわいいタイトルとこのジャケットからは全く想像もできない超絶ハードなテクノが詰め込まれた1枚。ダウンビートの「2.5 meters above sea level (rippo-state remix)」からスタートし、容赦なく襲ってくる「replacement 12AX7」や、強烈なミニマルチューンのタイトルリード曲「song of the kaho kubosu」は怪しげな歌がものすごく癖になること間違いなし。この曲、ひたすら聞いていると段々と心地良い気分になるのは僕だけだろうか。他にも競馬実況のサンプリングやStreet Carnivalと思わしきサウンドサンプリングといったネタ要素も交えるが、全編通して言えるのはすべてにおいて「強烈な打ち付けが伴うハードミニマル」ということ。どこかで必ず使うと決めた。間違いない。

s-don / Smashing Time!! [Defiant Groovings]

テックダンス若手筆頭による2ndアルバムはナイスグルーヴのハードサウンドを展開。ピッチを落としてハードグルーヴとの繋がりにおいてはここから他のジャンルに展開させるようなプレイも感じさせてくれるであろう。本CDを全部聞いて意外だったのは5曲目のヴォーカルハウス「Believe In Me」ではないだろうか。この曲以外は全編ハードなサウンドであったし、基本的に彼の「テックダンス」部分を見ることが多かった為、とても意外な1曲であったが、構成上重要な役割となっていることはまちがいない。この曲以外ではやはり軸はブレることなく、ドンクベース風の「STAGER (s-don’s CHEATCHORD “v1.2” CLEAR RMX)」や派手な展開は抑えながらも渋い展開の「Shadow of the RAVE」といったテックダンスの枠に収まらないサウンドかつ様々な要素を詰め込んだまさに「Smashing」される「Time」を聴かせてくれる1枚。前作に続いて今作も良盤です。

V.A / Hi-Tech Veats 03 [INTX Rec.]

以前にハードグルーヴと相性のいいと言うことで紹介したハイテック・サイトランス(ハイテック・フルオン)のコンピレーション。このあたりの活動している人は全く普段の接点がないので完全に何も知らない状態で前日に見つけて買ってます。CDタイトルに偽りなし、「こちとら、全員ハイテック」という帯にもある通り紛うことなき全曲ハイテック。比較的抑えめながらも劇伴風のサウンドを取り入れてしっかりとした展開のリードトラック「Creepy Creeps」、ダーク系に攻める「QuickSilver」どこか哀愁感の漂う「Dye your mind」と言ったどれも完成度の高く現場でも映えそうなトラックばかり。ハードグルーヴでOmega Driveあたりのベースの音が最近この辺の音やテックダンスと相性が良くなってきていて違和感なく現場でもなってたので今後もどんどん使っていきたいと思います。今回vol.3を購入してよかったので過去の2作も買いたい。

ということで木曜更新はTAKくんです。
残りは任せた!今回もラーメンおごるのでそれでよろしく!