こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりにワタクシが担当致します。
近況報告。
祝・開店。 pic.twitter.com/d28bCbfLA1
— TAK666 (@12345666) June 11, 2020
これを書いている2日前の06月09日、我々が敬愛して止まない油そば屋さんであるところの東京麺珍亭本舗の高田馬場店がオープンしたとあって先程行ってきた次第です。
いつもと変わらない味で大層安心しました。そして美味。
早くオールナイトのパーティーに油そば食べてから行ける日に戻って欲しいもんです。
近況報告終わり。
来週末、06月20日はHardonize #36を行います。
12年のHardonize史の中で初のオンライン回、そして初のレジデントオンリー回です。
1人90分というと長いように見えますが、個人的にテクノはこのぐらいの時間枠がスタンダードという認識があります。
同じような音が繰り返されるこの音楽を如何にコントロールしていくのか、という辺りに面白さがあると思っており、裏を返せば時間枠が長ければ長いほどセンスの良し悪しが露呈する音楽でもあります。
自分にとってもプレッシャーではありますが、そもそもロングアワーズ好きなので、それ以上に楽しみという感が強いです。
反復と硬質の美学、感じ取って頂けますと幸いです。
さて、いつもならワタクシの回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていくものとなっております。
ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。
ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。
今回は久し振りの特集、
にスポットを当てます。
よくよく考えてみるとHardonizeレジデントメンバーは各々そこそこゲームをやっていたりします。
コンシューマーゲームに対する造詣が深いSangoさん、現在進行形でスマホゲーにお熱の774Muzikさん、yudukiさん。
自分は以前ゲームセンターで格ゲーばっかりやっていたりとジャンルはバラバラですが、テクノ以外にも何かと通じる話があったりする間柄です。
そしてゲームミュージックの中には明らかにダンスミュージックとしてのテクノをフィーチャーした作品も多くあります。
特に2000年前後の作品では派手めなテクノが収録されたものも目立っており、我々世代では定番として扱われておりました。
また、ゲーム本編に収録された曲をDJ/コンポーザーが再編集したリミックスサウンドトラックなんかも珍しくなかった時代で、これらは市販のクラブミュージックと比べても何ら遜色ない仕上がりだったりするわけです。
従って比較的レガシー的作品の紹介が多くなってしまうのですが、『あの時代』ならではのテクノを再確認するという目線でひとつご容赦の程。
今回の表記として
ゲームタイトル
アーティスト名 / トラック名
試聴リンク
の順に載せていきます。
気に入った曲がありましたらサウンドトラックは元より、これらの曲が使われているゲームの方も合わせてチェックしてみてください。
では、ゲームミュージックに於けるテクノ特集いってみましょう。
Ridge Racer V – Burnout – YouTube
ドイツのDJ/クリエイターMijk van Dijkによるテクノ。
Ridge Racer Vは2000年に発売されたPlayStation 2用レースゲーム。
テクノ、ハウス系のBGMが多いことで知られているRidge Racerシリーズですが、第5作目となる本作は開発元であるnamcoのサウンドチーム以外にもBOOM BOOM SATELLITESや当時THE MAD CAPSULE MARKETSのベーシストだったTAKESHI UEDAといったゲストアーティストが参加しているという特徴がありました。
ちなみにそれらの曲はこちら。
Fogbound.mp4 – ニコニコ動画
Takeshi Ueda – DRFTFVL – YouTube
その中に於いて最も多く本作に曲を提供したのがMijk van Dijkでした。
本人もゲーム好きであり、日本好きであるとはいえ、日本のゲームに海外の、それもテクノを本職とするアーティストの曲が収録されたというのは珍しかった時代でしたので当時の自分はかなり驚いた記憶があります。
何より曲が良い。
うねるベースラインにクラップと金物リズムのまさしくドライヴ感。
Mijk van Dijk節全開のスペーシーなシンセと相まって夜景ステージとの相性は白米と味噌汁くらいマッチします。
ちなみにbeatportで単曲売りもされているので今でも入手可能です。
クラブミュージックの展開もしっかり踏まえていてDJとしても普通に使える曲。
実際何度も使いましたし、大好きな曲。
Ghost in the Shell – Takkyu Ishino – YouTube
ご存知、電気グルーヴの石野卓球によるテクノ。
攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELLは1997年に発売されたPlayStation用アクションゲーム。
原作が圧倒的物量のテクノロジーで読者を殴るような作品であったこともあってか、BGMを手掛けたアーティストがJoey Beltram、Derrick May、Hardfloor、The Advent、そしてMijk Van Dijkとテクノゴッドの満漢全席。
discogsの該当ページからサウンドトラックの収録曲を参照できますが、今でもこのラインナップはゲームのサウンドトラックに於いてかなり異色と言えます。
そのタイトル名を冠したこの曲はオープニングで流れる曲であり、ゲームをプレイする人が全員耳にするポジションに起用されました。
無機質なリフが延々と繰り返されるのに加え、特徴的なクラップの音。
ボトムの質感もどちらかといえばハードテクノに近く、実際ハードミニマルと何ら違和感なく繋げます。
時折差し込まれるクラップとキックの連打によるフィルもインパクトが強いですね。
これをテクノアンセムとして挙げる人もしばしば見受けられることもあり、ゲーム×テクノというトピックに於いては外せない曲。
WipEoutR 2097 OST [PSX]: Underworld – Tin There (Underworld Edit) – YouTube
テクノ、ハウスに於けるイギリスのリビングレジェンドUnderworldによるテクノ。
WIPEOUT 2097は1996年に発売されたPlayStation用レースゲーム。
WIPEOUTは上記のRidge Racer同様、テクノ、ブレイクビーツといったクラブミュージックをBGMとするレースゲームのシリーズであり、本作はその2作目に当たります。
開発元がPsygnosisというイギリスのゲーム会社ユエ、The Chemical Brothers、The Prodigy、Orbitalといったイギリスのアーティストが楽曲提供者として名を連ねる作品として知られており、これまたサウンドトラックが尋常じゃない豪華さ。
この曲はUnderworldの代表作、Pearl’s Girlのバージョン違いとして元々リリースされていたものですが、凡そインテリジェンスな作風イメージの強い彼らからかなりかけ離れたハードでアグレッシヴなスタイルが聴けます。
BPM150という高速テンポで繰り広げられるパーカッションの乱打。
一貫して無機質なエレクトリックベースが鳴り続けるのも相まってゲーム内BGMらしさは皆無ですが、テクノという音楽のフォーマットが定まっていない時代だからこそ生まれた怪作。
DJ/クリエイターDJ TSUYOSHIとDJ/ギタリストFUNKY GONGの日本人同士によるユニットJoujoukaによるテクノ。
Rezは2001年に発売されたPlayStation 2及びドリームキャスト用シューティングゲーム。
といっても普通のシューティングゲームではなく、敵を撃破するときの音がパーカッションやシンセサイザーの音になっており、それがゲーム内のBGMに合わせて独特のグルーヴ感を生み出すという斬新なスタイルのゲーム。
そのゲーム性からBGMもクラブミュージックにフォーカスを当てた楽曲が多く、Ken IshiiやOvalといったアーティストが参加しています。
バウンシーなビートとアラームのようなサウンドを中心に、中盤以降は特徴のあるリフとギターが加わるタイトで力強い曲。
構成はシンプルながら1つ1つの音のインパクトが強いせいか、何度かフロアでかかっているのを耳にしたことがあります。
ロックとテクノの融合という観点からも存在感があります。
尚、シングルカットされたものがamazonから配信されておりました。
Virtual On Oratorio Tangram – high on hope – dj shinkawa sssssss remix – YouTube
日本のDJ/クリエイターDJ Nakaharaによるテクノ。
電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラムは1998年に発売されたアーケード用3D対戦アクションゲーム。
ロボットを操縦し、近接格闘と遠距離射撃を使い分けながら戦うというゲーム性に魅了されたプレイヤーは多いと聞きます。
近年では大のバーチャロンファンが社長を務める健康機器メーカー、タニタが家庭用版のコントローラー制作プロジェクトを実施、クラウドファンディングの結果見事目標金額を達成するといったニュースもありました。
このニュース、何度見ても意味分からなくて面白い。
これが収録されているのは翌1999年にリリースされたリミックスサウンドトラック。
ハードハウス、ハードダンスシーンのリミキサーが多く、Yoji Biomehanika、DJ Shinkawa、Giant Tomoなど豪華な顔ぶれです。
中でもオススメなのが日本のハードテクノシーンを支えている名古屋のレコードショップfreestyleの店長、DJ Nakaharaさんのこのアレンジ。
パーカッションを軸とするリズムとフィルター、サンプリングを駆使するファンキーなテクノは後世のハードグルーヴに通ずるものがあります。
THE RUINED CITY “KISHGAL” – YouTube
開発元であるゲーム会社日本ファルコムのサウンドスタッフチームFalcom Sound Team jdkによるテクノ。
イースVIは2003年に発売されたPC用アクションRPGゲーム。
シナリオ終盤で訪れるマップで流れるBGMでして、曲そのものについてはテクノのビートにストリングスとシンセによるメロディーがなんとも美しいという印象を受けます。
ところでこの冒頭のシンセリフ、何かに似てませんか?
ヒントはこちら。
どうして・・・?
ちなみにspotifyでも聴けます。
Katamari Forever Soundtrack – The Moon and The Prince (and LEOPALDON MIX) – YouTube
テクノ×ヒップホップ×ナードコアクリエイターLEOPALDONによるテクノ。
塊魂TRIBUTEは2009年に発売されたPlayStation 3用アクションゲーム。
2本のスティックによる簡単操作の反面、効率良く塊を作るためのパズル性は奥深く、シュールな世界観も相まって人気シリーズとなっている作品。
上のWikipedia内に記述がありますが、BGMに物凄い幅広いアーティストの選出がなされているのも面白い点です。
(そしてここにもHardfloorの名前が。)
その中でも個人的に衝撃だったのはやはりこのレオパルドンの参加でした。
Jeff Mills / Changes of Lifeっぽい音のリフにエレクトロテイストなベース、作品愛溢れるリリックバースがキックされる箇所ではアーメンビートが使用されたり、一直線にファンキー。
ディスコっぽい音と組み合わせて使いたくなる曲。
13 – Take Drastic (Ending) – Fighter & Attacker (Namco NA-1) – Soundtrack – Arcade – YouTube
クリエイター細江慎治によるデステクノ。
F/Aは1992年に発売されたアーケード用シューティングゲーム。
ゲーム内容としては戦闘機を操作して敵の戦闘機、戦車、空母なんかを蹴散らしていく見た目的にもオーソドックスな縦スクロールシューティングなのですが、最大の特徴がこの音楽。
細江慎治、相原隆行両名によるデステクノ、ジュリアナレイヴの固め打ちはゲームにテクノが収録されることそのものが珍しかった時代に於いて大きなインパクトを与えたそうです。
今回のような特集をやるに当たって先駆けとなった作品と言えるでしょう。
ぶっちゃけ全曲好きなのですが、強いて1曲挙げるとしたらこちら。
ジェームス・ブラウンが死んだようなオーケストラヒットに太いボトムの組み合わせという細江慎治イズム全開のブレイクビーツ気味デステクノ。
とてもシューティングゲームのエンディング曲とは思えませんね。
ちなみにオリジナルのサウンドトラックは1992年にリリースされたこともあって若干入手困難となっておりますが、2014年にリマスター版が、翌2015年にはリミックスアルバムが細江さんのレーベルからリリースされており、音源そのもののの入手は比較的簡単です。
ついでにこれら両サウンドトラックの発売を記念して2015年にはリリースパーティーがクラブで開催されていたのですが、
・VJ / otu
・Game Player / Shin-ichi Sasaki (GAMSIC)
めっちゃ見覚えのある名前が・・・!
Quadra – I Against Speed (Remix) – YouTube
アメリカのDJ/クリエイターQuadraによるサイケデリックトランス。
Tourist Trophyは2006年に発売されたPlayStation 2用レースゲーム。
Ridge Racerシリーズと双璧を成す国産人気レースゲームのシリーズにGran Turismoが挙げられますが、そのスピンオフとして出たのがこちらの作品。
Gran Turismoがカーレースなのに対し、Tourist Trophyはバイクレースという分け方がされていますが、マシンは勿論ヘルメット、グローブなどライディングギアまで全て実在のメーカーを起用しているリアリティ追求は本作でも健在です。
で、このゲームのメインテーマ曲となったのが日本のジャムバンドThe SunPauloによるI Against The Speedという曲であり、こちらは2006年にリリースされたオリジナルサウンドトラックに収録されているのですが、同年にサイケデリックトランスの超名門レーベルSolstice Musicがこのゲームをフィーチャーしたコンピレーションアルバムを作成。
下記リンクをご覧頂ければ分かる通り、サイケのレーベルから出ただけあって全て本職のアーティストによる楽曲群であり、これがゲーム出典の作品であるとはちょっと考えづらい内容となっております。
Tourist Trophy Tracks (2006, CD) | Discogs
その中に収録されたのがこちらのリミックスバージョン。
アグレッシヴなギターサウンドと高揚感を煽るシンセが入れ替わり立ち代わり、終盤の大サビへ一気に流れ込むアッパーなフルオンサイケ。
同作の中でも1番好みのテイストであり、結構使った記憶もあります。
尚、この曲は後にリリースされたQuadraのフルアルバム、One Nation Under Tranceにも収録されました。
beatportでも売っておりますが、日本からはジオ・ブロッキングで参照できない模様。
spotifyでも聴けますので念のため。
Tekken Tag Tournament 2 OST ~ IT’S NOT A TUNA! (Bountiful Sea) – YouTube
クリエイターAJURIKAによるテックダンス。
鉄拳タッグトーナメント2は2011年に発売されたPlayStation 3及びXbox 360用3D格闘ゲーム。
最後に紹介するのは知らぬものはいないであろう、今尚シリーズが続いている3D格闘ゲームの金字塔、鉄拳シリーズからのピックアップ。
で、この曲はワタクシが見つけたワケではありません。
03月に我々Hardonizeクルーで行った早稲田音泉 厳選かけ流しにてHardonizeでVJを行って頂いているSTCnさんがオススメ曲として紹介したものです。
なんなのこのイントロとリズムパートの落差は。
しかも大してビルドアップもフィルもなくいきなりビートが入ってくるのがまたおかしい。
そのビートもゲームミュージックであることをかなぐり捨てたような肉厚なもので、頼むからどちらかにしてほしい。
紹介されたときは我々レジデント大爆笑だったので、ここに残しておきます。
ちなみに現行のシリーズ最新作は鉄拳7でして、身の回りにもプレイヤーが何人かいるくらいの人気作となっておりますが、今年2020年に入ってから新キャラクターが追加されました。
TEKKEN 7 – Fahkumram DLC TWT Trailer | PS4, X1, PC – YouTube
かなり見た目が好みです。
それはそうとして、やっぱり音楽変じゃないですか?
Tekken 7 OST ~ Cave of Enlightenment 1st (Round 1) – YouTube
このチャルメラみたいなホーンはピー・チャワーといってムエタイの試合の時は実際に吹かれるものだったりするのですが、こんな重厚なEDMビートの上で鳴っているのは初めて聴きました。
作曲者は上のIT’S NOT A TUNA!と同じAJURIKAさん。
参りました。色々と。
あとこれは余談なのですが、1999年にPlayStation用作曲シミュレーションゲーム、MTV MUSIC GENERATORという作品のサウンドトラックにShin NishimuraのSilent Waveという曲が収録されているのですが、これが往年のTechnasiaに匹敵するメロディアスなテクノで非常にオススメです。
試聴できるリンクがなく、お伝えできないのが残念ではありますが、Amazonに商品ページがあったのでご興味の方は是非。
これもかなり好きなゲームミュージックです。
Amazon | MUSIC GENERATOR | ゲームミュージック | イージーリスニング | 音楽
以上、ゲームミュージックに於けるテクノにスポットを当ててお送りしました。
有名な作品からちょっと意外な作品まで挙げたつもりです。
ブートレグではない、オフィシャルの面白さというのも確実にあると思っておりますので、それが伝わったなら嬉しいです。
悔やまれる点としてはワタクシ、音楽ゲームに全く触れていないせいでその辺りが対象から外れております。
1番この手の音楽が多く含まれていそうですけども、この辺はいずれどなたかに託すこととします。
と云った辺りで今回の特集はここまで。
次週06月16日は774Muzikさんが担当します。
06月20日はオンラインでお会いしましょう。
今回はこれにて。