「 TAK666 」一覧

Hardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選 【TAK666編】 - Resident’s Recommend 2021/12/23

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【告知】

来年01月29日に行われる次回Hardonize#40のインフォメーションが先程公開となりました。

ゲストにHardonize最多出演のMorphonicsさんと、個人的にはカレーメイツであるREV-TUNEさんを招き、めでたい感じに6時間執り行います。
いつもの茶箱で皆様のお越しをお待ちしております。

【近況】

過去Hardonizeにもご出演頂いたKAN TAKAHIKOさんがホストを務めるインターネットラジオ局block.fmの番組BLOCK STEPPERの昨日12月22日の回にて当Hardonizeのブログをご紹介頂きました。
うわい、ありがとうございます。
ゲスト出演されたSeimeiさんは頻繁にご覧頂いているようでレジデント一同身が引き締まります。

内容としてはSeimeiさんのアルバム、A Diary From The Crossingのリリースに合わせ、収録曲や制作話にスポットを当てておりました。
このアルバムは特にyudukiボスが頻繁に言及するほどゾッコンである通り、2000年代の楽しい感じのテクノを彷彿とさせる楽曲が多く収録されております。

なのでこの日プレイされた曲も往年のテクノアンセムが多く、『本当に2021年に全世界に向けて発信されているラジオの内容か?』と思ってしまう1時間でした。
Player / RevampからのBryan Zentz / D-Clashとか、Killa Productions / Good Life (Re-Edit)からのCave / Street Carnivalとか堂々と繋ぐ辺り、マジでこの人ら肝が座っている。
そりゃー前回の記事で触れたようにSeimeiさんが主宰しているパーティーLost Memoriesに於いてTAKAMIさんと顔を合わせては『あいつらヤベー!』って言い合う瞬間も発生しますわ。
といったこの日の放送は下記リンクより遡って聴くことができますので是非。

BLOCK STEPPER | block.fm

関係ないですけど以前1回この番組に単体で出させて貰ったのは良い思い出です。

【今回のお題】

さて、先週よりレジデントが今年のハードテクノというテーマに絞り、それぞれオススメの10曲を選出して紹介するHardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選を掲載しており、最後にワタクシTAK666が担当致します。
これまでの掲載はコチラ。

Hardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選 【774muzik編】

Hardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選 【774muzik編】
Hardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選 【Sango編】

Hardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選 【Sango編】
Hardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選 【yuduki編】

Hardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選 【yuduki編】

こうして見ると各々DJプレイから滲み出る特色が見えるので『分かるわー。』と思いながら拝見しております。
既に3人の間で被っている曲が3つあったり、何なら僕とSangoさんの間で2曲被りがあるのでこの5曲がHardonize的オススメ5選という感じでしょうか。
この5曲に関しては最後に載せましょうかね。

前置きもそこそこに早速お送りします、

Hardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選
【TAK666編】

いってみましょう。

【曲紹介】

Tenzella / Santiago

Santiago (Original Mix) by Tenzella on Beatport

イギリスのプロデューサーTenzellaによるハードグルーヴ
深いベースとチャカポコしたパーカッションリズムの上にテクノではあまり用いられないバルカン的管楽器のサウンドが乗った異形トラック。
ウワモノの脱力感とリズムの前のめり感が奇跡的なバランスで同居しています。
アングラ色強めのサウンドが好きな方に是非。

Are:gone / Koi No Yokan

Koi No Yokan (Original Mix) by Are:gone on Beatport

キューバのプロデューサーAre:goneによるハードテクノ
同じく変態ウワモノ使い系。
インダストリアルに踏み込んだ硬いリズムの上に言語不明の奉神御詠歌みたいな不穏な民謡が乗ったトラック。
この曲調で何でタイトルがこうなっているのかもさっぱり分からないし、リリースされてからとにかくずっとインパクトに残り続けた曲です。

Schizoofr3nik / Tribal

Tribal (Original Mix) by Schizoofr3nik on Beatport

スペインのプロデューサーSchizoofr3nikによるハードトライバル
ここ数年のハードテクノではすっかり鳴りを潜めていた激アグレッシヴな金物パーカッション連打もの。
しかもリリース元がEnergy Hard Espanaというどちらかというとハードダンスをメインとして活動しているレーベルということもあり、外野から重いストレート球が飛んできた感じも凄かったです。
リリース当初からSangoさんと『凄いの出てきたな。』って話をしてたのですが、そのまま今年を印象付ける曲として残り続けました。

Indecent Noise / R.A.V.E

R.A.V.E (Extended Mix) by Indecent Noise on Beatport

ポーランドのプロデューサーIndecent Noiseによるテックトランス
タイトル通り、レイヴをテーマとしたトラックの1つで前半はオルガン、後半はスタブが炸裂するド派手なトラック。
レイヴサウンドをサンプリングしたトラックはどのジャンルに於いても1つのシーンを形成しているように思えますが、推進力のあるボトムと噛み合った爆発力という点で抜きん出ていた印象があります。
02月という早い段階でリリースされていたこともあり、今年通して使いまくった程お気に入りです。

Lethal One / Dark Side

Dark Side (Original Mix) by Lethal One on Beatport

アメリカのプロデューサーLethal Oneによるハードアシッド
アシッドシンセでスターウォーズのインペリアルマーチを弾いてます。
それだけでインパクト満点だし、それ以上に言うことが正直ない。
それ以外の構成要素はStay Up Forever直系のストレートなハードアシッドそのものなのでとてもカッコいいのに、どうしてこんな・・・おバカを・・・。(誉め言葉)

Riotbot / Second Sight

Second Sight (Original Mix) by Riotbot on Beatport

フィンランドのプロデューサーRiotbotによるハードテクノ
硬いビート、それもちょっと非4つ打ち混じりの偏屈リズムに主張の強いハイハット。
これだけでハードテクノの要素を満たしておりますが、更にユーフォリックなシンセが複数乗っているという点が他と大きく異なるところです。
ハードさとエモさが上手いこと両立しているトラック。

Riotbotというアーティストは2014年辺りを境にしばらく活動を休止していたのが去年からシーンにカムバック、それからというもの特大ボムを次々にリリースしている印象を受けます。
メインストリームテクノハードミニマルの間を担う存在としてHardonize一同オススメのアーティストです。

Asquith / Hardcore ’94

Hardcore ’94 (Original Mix) by Asquith on Beatport

イギリスのプロデューサーAsquithによるテクノ
タイトルに94と付いているものの、紛れもなく今年の作品。
上で挙げたIndecent Noise / R.A.V.Eと同様、レイヴにテーマを当てた作品ではあるものの、中身は煌びやかさとは対極の土臭い部分をフィーチャーしたもの。
ローファイ処理されたレイヴオルガンに深いベース、仕舞いにはアーメンブレイクがガシャガシャと鳴っているラフなスタイル。
異ジャンルの方にも是非聴いてもらいたい1曲。

Pavel Bibikov / Sequenced Line

Sequenced Line (Original Mix) by Pavel Bibikov on Beatport

ウクライナのプロデューサーPavel Bibikovによるメロディアスハードテクノ
これもレイヴが1つのコンセプトになっているのですが、煌びやかさとも土臭さともつかない、言うなれば儚さというものかもしれません。
哀愁漂うレトロなシンセを軸に2000年代のテクノっぽいグルーヴ感のあるボトムが展開していく曲。
新しいのに、どこか懐かしい。

個人的に『今年光ったハードテクノのアーティストは?』と聞かれたらRiotbotPavel Bibikovと答えたくなる1年でした。
このPavel Bibikovは他の曲もこんな感じで本当に個人的に刺さりまくりです。

Ling Ling / t5080s

Ling Ling – t5080s by freetaxler | Free Listening on SoundCloud

オーストラリアのプロデューサーLing Lingによるハードアシッド
ピアノとギターを中心に据え、ブレイクパートからホーンの音まで入ってくるアーバン全開の音使い。
なのにアシッドシンセも乗っているという、一見アンバランスに感じるかもしれないこの組み合わせがメチャクチャ清涼感のあるトラックになっていて気持ち良い。
アシッドテクノのシーンからこういったアプローチの曲が出てくる事自体相当レアですし、何より斬新なアイディアが素晴らしく、且つフリーダウンロードというマジで褒めるところしかない曲です。
これも出会った時相当な衝撃を受けたのですが、結局現時点まで引きずりっ放しでした。

Emiliano Cassano, Nik Wel / Summer Vibes (Club Mix)

Summer Vibes (Club Mix) by Emiliano Cassano, Nik Wel on Beatport

イタリアのプロデューサーEmiliano CassanoとドイツのプロデューサーNik Welによるメロディアスハードテクノ
重心のあるキックに厚みとグルーヴ感のあるベースラインに加え、エコー+ディレイ処理されたシンセのデトロイティッシュなサウンドは往年のTechnasiaShin Nishimuraを彷彿とさせます。
リズムがハードな反面、ブレイクはあざとくエモいのとかも堪らないですね。
〆に相応しい1曲。

ちなみにこのEmiliano CassanoNik Welはどちらも2019年からトラックメイカーとしてデビューしており、一見するとニューカマーかと思いきや1990年代からヨーロッパの地下クラブシーンでDJやレーベルオーナーとしてしっかりキャリアを積んでいる実力者同士。
この曲からも漂ういぶし銀な香りは経験に裏打ちされた彼らのセンスだったりするわけです。
そしてNik Welは1983年生まれなので現在38歳。
このくらいの年齢からでも楽曲制作を始められるというのは見ていて勇気を貰えますね。

まとめ

以上、Hardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選 【TAK666編】を当ててお送りしました。
変なウワモノの曲選びがち。ヒトクセある音楽が好きなのです。
とはいえ、キャッチ―でメロディアスな曲もそれはそれで好みでして、ここ最近のテクノにじわじわとその傾向が浸透しつつあるのは嬉しいことです。
ファンキーなテイストのものもそれなりに買ってて次点に抱えてはいたのですが、これらのインパクトにはほんの少し及ばなかったなと思ってしまったのが悔しい。
来年の話をすると鬼が笑うと言いますが、どんな鬼がかった曲と出会えるのか今から楽しみです。
はい、Re:ゼロを最近見ました。

そんなわけで今回はここまで。

そして2021年のHardonize Blogの更新は本日が最後となります。
次回は年明け01月11日に774Muzikさんが担当。
そして01月29日はHardonize#40をよろしくお願い致します。

良いお年をお迎えください。
では。

おまけ

今回含めてレジデント4人がお送りしたHardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選の中で被りが発生した5曲を以下に(勝手に)貼っておきます。
言わば、

Hardonizeが選ぶ2021年のハードテクノ5選

となります。
『ここの連中はこういうのが好きなのね。』という目でどうかひとつ。
おそらく来年以降もこういった曲を紹介したりプレイすることになると思いますので。

DJ Brutec / Funky Hipster (Homma Honganji Remix)

Funky Hipster (Homma Honganji Remix) by DJ Brutec on Beatport
選出者:774muzik, yuduki

Renato Cohen / Pontape (Coyu & Flug Remix)

Pontape (Coyu & Flug Remix) by Renato Cohen on Beatport
選出者:Sango, yuduki

Riotbot / Second Sight

Second Sight (Original Mix) by Riotbot on Beatport
選出者:Sango, TAK666

Schizoofr3nik / Tribal

Tribal (Original Mix) by Schizoofr3nik on Beatport
選出者:Sango, TAK666

Slam / Scourge

Scourge (Original Mix) by Slam on Beatport
選出者:774muzik, yuduki

続きを読む


【特集】時代を超えたテクノアンセムリミックス:今週のオススメハードテクノ - Resident’s Recommend 2021/12/09

こんばんは。TAK666です。
レジデントが代わる代わるオススメハードテクノを紹介するこのコーナー、
2週間ぶりに担当致します。

【今日のビックリ楽曲】

T78 / #onlybombs

T78 “#onlybombs” -The Album- (Official Trailer) – YouTube

#onlybombs (The Album) from Autektone Records on Beatport

当連載(特に僕の回)に度々取り上げている、オールドスクールレイヴのサウンドを用いたテクノを手掛けているイタリアのT78が遂にアルバムをリリースしまして、年末にまた1つ大推薦盤が出たなという心持ちです。
ノイズのような荒っぽい音もトランスのような開放的な音も、勿論レイヴスタブやアシッドシンセといった快楽的な音も巧みに使い分け、それでも硬いテクノのリズムは全曲通してキープし続けるという攻め攻めな逸品。
特に変ミュージックスキーの身からすると6曲目The Cureの変則的なリズムには仰け反りました。
T78のキャリアの中でも相当珍しいスタイルの曲だと思いますし、こういった新しい側面に触れられるのもアルバムの醍醐味の1つですね。
旧来のサウンドと現行のテクノロジーがアグレッシヴな方向にクロスオーバーしているので、是非お手に取ってみてください。

【告知】


次回Hardonizeの日程が公開になりました。
来年2022年の01月29日にいつもの茶箱で行います。
出演者情報については追ってこちらで発表していきますので何卒。


あと先週はyudukiボスが千葉に行ったらしいですが、来週は僕が千葉に行きます。
1992年生達に混じって1人そうじゃない存在、それが僕です。
生年が同じって事以外は得意ジャンルがほぼ被っていない面々なので、予想もできないような面白音楽が飛び出してくることを期待しております。
お時間のある方は是非。

【近況】


テンション上がる買い物をしました。
スパイスレコードはDJ始めたての頃にとにかくお世話になったもので、手に入れられてホッコリです。

先週日曜日はTAKAMIさんとDJ ATTさんが主宰するテクノパーティー、BUZZx3に出演致しました。
改めて11周年おめでとうございます。
長きに渡り先輩方がこうして門戸を大きく解放したパーティーをやってもらえると後輩としては背筋が伸びますし、ゲスト含め敬愛する方々のプレイを間近で体感できたこともあり、本当に贅沢な一晩でした。
旧来より渋谷RLOUNGEというハコは世代が上の方々がテクノで遊んでいるイメージがあり、しばしば遊びにも行かせて頂いたところでもあるので、そこにジョインできたのも個人的に嬉しかったです。
得るものもいっぱいあったので、良い形で次回以降のHardonizeに落とし込みたいですね。

あとその前の金曜日は渋谷VISIONで行われたEDGE HOUSEに行きました。
こっちもこっちで凄かった。
旧来のテクノマナーに変に囚われない、自分と同世代か若い世代のプレイヤーが自由気ままにテクノアンセムをかけまくっており、それを見た大人が見事に釣られまくるという構図が出来上がってました。
同じく遊びに来ていたTAKAMIさんと顔を合わせては『あいつらヤベー!』って言い合う瞬間が何度あったことか。
とても刺激になりましたし、次回開催の折には是非皆様も足をお運びください。

【今回のお題】

さて、昨年から自分の回はハードテクノのサブジャンルにテーマを絞り、その中のオススメ楽曲について取り上げていく形式となっておりました。

ハードテクノとはどういった音楽を指すのか知りたいと云う方がいらっしゃいましたら約半年に渡ってお送りしておりました特別連載ハードテクノとは何か?をご参照ください。

ハードテクノをサブジャンルごとに分類し、それぞれの生い立ちや代表曲などをまとめております。

ところで、一昨日のボスのエントリーで触れられていた千葉でRenato Cohen / Pontapeかかりまくりの件ですが、東京でもめっちゃかかってました。
というか、僕もかけました。
あと金曜日のEDGE HOUSECarpainterさんがかけてましたし、どうやらこの週丸ごと同時多発Pontapeだったようです。

ちなみに僕がかけたのは前回のエントリーで触れた最近出たリミックス版でした。

Renato Cohen / Pontape (Coyu & Flug Remix)

Pontape (Coyu & Flug Remix) by Renato Cohen on Beatport

原曲のコアとなるシンセや展開はそのままに、リズムはしっかり現代の太いアレンジが施されたナイスワーク。
少しテンポを落としてメインストリームテクノとしても使えるし、逆にテンポを速くしてハードテクノに繋いでも良い優秀さも持っています。
そりゃーみんな買ってるしみんなかけるよなというのも納得の作品ですね。

こういった一世代を築いたアンセムが数年越しにリミックスされるというのがかなり目に付いてきたような気がします。
旧来のファンからしたら新しいアレンジが聴けるのは勿論嬉しいですし、逆に原曲を知らない世代には新鮮に聴こえるでしょうから、こういったリリースは結構重要だと個人的には思っております。
そう考えると自分が初めてテクノという音楽に触れてから時代は一周したんだなと遠い目になりますね。
とはいえ、こういったリリースをピンポイントで探すのも難しいので、一旦近年のリリースの中でお気に入りをまとめてみようというのが今回のテーマになります。

題して、

時代を超えたテクノアンセムリミックス特集

です。

原曲を主に1990年代のド定番曲としたリミックス作品のうち、大体2020年~2021年辺りにリリースされたものを紹介していきます。
今回は所謂ブートレグはナシ。
正規流通しているトラックのみ取り上げていきます。
原曲が好きなパターンもあればリミキサーが好きなケースもあり、今回も多めの紹介となります。
(これでも大分絞ってます。Have mercy!)

早速ですが時代を超えたテクノアンセムリミックス特集いってみましょう。

【曲紹介】

Human Resource / Dominator (Rebuke Extended Remix)

Dominator (Rebuke Extended Remix) by Human Resource on Beatport

アイルランドのプロデューサーRebukeによるテクノ
原曲は1991年にリリースされたHuman Resource / Dominator
Rebukeが得意とするシンプルながらも不安定でインパクトに残るリフがここでも大いに発揮されており、原曲のドミネーターシンセやボイスサンプルも混ぜこぜになったアングラレイヴ臭漂うアレンジ。
一方でビートがかなりカッチリできているので、派手路線固め打ちの一部として使っても良いし、ループ展開の中で飛び道具的に使うのもどちらでもこなせる実は優等生。

T99 / Anasthasia (D.A.V.E. The Drummer Remix)

Anasthasia (D.A.V.E. The Drummer Remix) by T99 on Beatport

イギリスのプロデューサーD.A.V.E. The Drummerによるハードテクノ
原曲は1991年にリリースされたT99 / Anasthasia
2019年~2020年にかけて行われたAnasthasia公式リミキシーズ大連発の中の1つ。
前のめりなグルーヴの上にうっすら敷かれた原曲のリフは古臭くも破壊力満点。
ブレイクスからブレイクの部分で拾って一気に4つ打ち展開にする、みたいな使い方ができたりします。

Orbital / Belfast (ANNA Techno Remix)

Belfast (ANNA Techno Remix) by Orbital on Beatport

ブラジルのプロデューサーANNAによるテクノ
原曲は1991年にリリースされたOrbital / Belfast
原曲の儚げなフレーズとは裏腹にメインパートでは力強いオールドスクールなリズムが聴けます。
派手さはないものの、質実剛健なテクノアレンジといった塩梅。

The Advent, CJ Bolland / Camargue 2019 (Enrico Sangiuliano Remix)

Camargue 2019 (Enrico Sangiuliano Remix) by The Advent, CJ Bolland, Enrico Sangiuliano on Beatport

イタリアのプロデューサーEnrico Sangiulianoによるテクノ
原曲は1993年にリリースされたCJ Bolland / Camargue
哀愁漂う原曲のフレーズがブレイクで存分に繰り出された後、一気にリズム主体のパートにスイッチするのがめちゃくちゃカッコいい。
そこでも原曲のフレーズを活かした暗過ぎず派手過ぎずの構成が続くため、エモとハードの中間点を上手いこと縫っていく感じがかなりお気に入りです。

Yves Deruyter / Calling Earth (UMEK Remix)

Calling Earth (UMEK Remix) by Yves Deruyter on Beatport

スロベニアのプロデューサーUMEKによるテクノ
原曲は1995年にリリースされたYves Deruyter / Calling Earth
音の構成自体は非常にシンプルなんですが、インダストリアルギリギリ手前くらいのアレンジが施されたキックがとにかくイカつい。
中盤からキックと同配置になるクラップもまた存在感ありまくりだし、忙しいドライパーカッションとの絡みも聴きどころの1つ。
とにかくリズムの完成度が凄いと思いました。
原曲の意味分からないビートダウン展開もバッチリ踏襲してます。

上の曲は2020年のリリースに当たるのですが、UMEKは今年もこの手のリミックスを手掛けております。

Union Jack / Red Herring (UMEK Remix)

Red Herring (UMEK Remix) by Union Jack on Beatport

原曲は1995年にリリースされたUnion Jack / Red Herring
原曲の快楽的なアシッドシンセのフレーズを現行テクノと良い感じに融合させたアレンジ。
こちらもリズムの妙が存分に発揮されています。
真っ暗なフロアで聴きたい感じ。

DJ Misjah, DJ Tim / Access (i_o Remix)

Access (i_o Remix) by DJ Misjah, DJ Tim on Beatport

アメリカのプロデューサーi_oによるテクノ
原曲は1996年にリリースされたDJ Misjah, DJ Tim / Access
アシッドテクノの礎とも言うべきリフが現代テクノのリズムの上を走るシンプルなアレンジ。
キックが大きく前に出ているのでスムースなミックスが難しい一方、展開的にテクノでは珍しくクイックミックスができる構成になっているので飛び道具的に使うのが向いているかもしれません。

i_oは2020年に若くして急逝してしまっているのですが、この曲はその最後の年に出された作品の1つです。
別ジャンル、特にEDMテクノの架け橋的な存在だったため、非常に悲しい出来事でした。

BK / Revolution – BK’s Rework (Reinier Zonneveld Remix)

Revolution – BK’s Rework (Reinier Zonneveld Remix) by BK on Beatport

オランダのプロデューサーReinier Zonneveldによるテクノ
原曲は2002年にリリースされたBK / Revolution
今年に入って遂にハードダンスメインストリームテクノに落とし込まれるという珍事が発生しました。
Reinier Zonneveldお得意の硬いビートに場違いなギラギラしたシンセが並走する、今まで聴いたことのない面白さが味わえます。
多分歴史上最初に納豆食った人もこんな心境だったんじゃないでしょうか。
大分ビックリしたリリースの1つ。

Jam & Spoon feat. Plavka / Right in the Night (Balthazar & JackRock Extended 5 A.M. Rave Remix)

Right in the Night feat. Plavka (Balthazar & JackRock Extended 5 A.M. Rave Remix) by Jam & Spoon, Plavka on Beatport

ブルガリアのプロデューサーBalthazar & JackRockによるハードテクノ
原曲は1993年にリリースされたJam & Spoon feat. Plavka / Right in the Night
こちらも原曲がトランスなのでテクノでは聞き慣れないパーツがふんだんに使われておりますが、テンポが若干速いのとリズムに疾走感が乗っているため大分安心して聴ける気がします。
硬いビートの上に女性ボーカルだけ乗ったパートは大分珍しいですね。
ちなみにこれも今年のリリース。

Giorgio Moroder / The Chase (Almir Ljusa Remix)

The Chase (Almir Ljusa Remix) by Giorgio Moroder on Beatport

ボスニア・ヘルツェゴビナのプロデューサーAlmir Ljusaによるハードグルーヴ
原曲は1978年にリリースされたGiorgio Moroder / The Chase
ディスコまっしぐらな原曲のデケデケベースとハードグルーヴのファンキーなリズムは相性抜群だということを示した1作。
それに加えて原曲にないレトロ感漂うウワモノが幾層にも重ねられている辺り、結構ゴージャスな仕上がりです。

どちらかといえばこの手のリミックスはブートレグが多いハードグルーヴ界隈に於いて、こうして原作者名がクレジットされた状態で流通しているのはかなりレアです。
しかもあのディスコ神。
Almir Ljusaというアーティストの謎っぷりが深まった1件でした。

Ferry Corsten, System F / Out Of The Blue (Matt Fax Extended Remix)

Out Of The Blue (Matt Fax Extended Remix) by Ferry Corsten, System F on Beatport

フランスのプロデューサーMatt Faxによるプログレッシヴトランス
原曲は1999年にリリースされたSystem F / Out Of The Blue
お馴染みのあのフレーズを穏やかなシンセで奏で、テンポもより抑えめにしたら踊り疲れた朝を迎えるのにピッタリなアレンジになりました。
リズムも隙間が多く大人な雰囲気が漂っており、原曲との変わりっぷりにかなりビックリする曲です。

というかまだこの曲のリミックスが作られている事自体に驚きました。
しかも先日とあるパーティーで原曲のSystem F / Out Of The Blue使ったばっかりという。
その時にリリースされていたらこっち使ったかもしれません。
外だったし。これ外で日の光浴びながら聴いたら絶対気持ち良いもの。

まとめ

以上、時代を超えたテクノアンセムリミックス特集を当ててお送りしました。
原曲のサウンドやフレーズを活かしているのは全ての曲で共通していますが、リズムやグルーヴを原曲に近付けるか、或いは全く別のものとするかがアーティストによって異なるのが面白いところです。
ただここで挙げたトラックは総じてカッコよく、且つ使いやすいアレンジに仕上がっているのでついつい手が伸びがち。
テクノアンセム警察の目を掻い潜りながらしれっと、そしてドヤ顔で使っていきましょう。

そんなわけで今回はここまで。

次週からは今年の総括となるHardonizeクルーが選ぶ2021年のハードテクノ10選を4人それぞれが担当、12月14日はその先陣を774Muzikさんが務めます。
乞うご期待。
では。

【過去掲載記事一覧】
【2021年】

11月 / 【特集】『M3-2021秋』同人テクノ / 新作ハードグルーヴ (2021年11月版)
10月 / 【特集】Hardonize#39 プレイリストピックアップ / 【特集】一生忘れないハードテクノ:今週のオススメハードテクノ
09月 / 新作ハードミニマル (2021年09月版) / 新作テックトランス (2021年09月版) / 新作シンセの特徴的なテクノ (2021年09月版)
08月 / 新作レイヴ系テクノ (2021年08月版) / 新作サイケデリックトランス (2021年08月版)
07月 / 新作4つ打ちドラムンベース (2021年07月版) / 新作速いハウス (2021年07月版)
06月 / 新作ハードグルーヴ (2021年06月版) / 【特集】Hardonize#38 プレイリストピックアップ
05月 / 新作ハードハウス (2021年05月版) / 新作シュランツ (2021年05月版)
04月 / 新作ベースライン (2021年04月版) / 新作ハードアシッド (2021年04月版) / 【特集】『M3-2021春』同人テクノ
03月 / 【特集】Hardonize#37.5 プレイリストピックアップ / 新作テックダンス / テックトランス (2021年03月版)
02月 / 【特集】フリーダウンロード2020 (後編) / 【特集】曲名に『チョコレート』が入ったトラック
01月 / 【特集】フリーダウンロード2020 (前編)

【2020年】

12月 / 新作ハードハウス (2020年12月版) / 【特集】Hardonizeクルーが選ぶ2020年のハードテクノ10選 【TAK666編】
11月 / 新作シュランツ (2020年11月版) / 【特集】Hardonize#37 プレイリストピックアップ
10月 / 新作ハードグルーヴ (2020年10月版) / 【特集】前回の早稲田音泉で紹介した曲 / 【特集】『M3-2020秋』同人テクノ
09月 / 新作速いテクノ (2020年09月版) / 【特集】公募用DJMIXの組み方
08月 / 新作ハードアシッド (2020年08月版) / 新作サイケデリックトランス (2020年08月版)
07月 / 【特集】DIG自慢:RECOfan渋谷BEAM店閉店セール / 新作ディスコ (2020年07月版)
06月 / 【特集】ゲームミュージックに於けるテクノ / 【特集】Hardonize#36 プレイリストピックアップ
05月 / 新作インダストリアルテクノ (2020年05月版) / 新作ディープ系ベースミュージック (2020年05月版)
04月 / 新作テックダンス / テックトランス (2020年04月版) / 新作レイヴスタイルテクノ (2020年04月版) / 新作ハードハウス (2020年04月版)
03月 / 【特集】Hardonize#35 プレイリストピックアップ / 【特集】『M3-2020春』同人テクノ
02月 / 新作ハードアシッド (2020年02月版) / 新作ハードグルーヴ (2020年02月版)
01月 / 【特集】フリーダウンロード2019 (前編) / 【特集】フリーダウンロード2019 (後編)

【2019年】

12月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】番外第3回:ディスコ編
11月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】番外第2回:ハードダンス編 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第9回:テックダンス編
10月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】番外第1回:メロディアスハードテクノ編 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第8回:インダストリアル編 / 【特集】『M3-2019秋』同人テクノ
09月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第7回:ハードグルーヴ編 / 【特集】Hardonize#34 プレイリストピックアップ
08月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第5回:ハードハウス編 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第6回:シュランツ編
07月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第3回:ハードアシッド編 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第4回:ハードトライバル編
06月 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第1回:黎明期編 / 【特別連載:ハードテクノとは何か?】第2回:ハードミニマル編
05月 / 【特集】『M3-2019春』同人テクノ / 【特集】直近のパーティーピックアップ / 【特集】Hardonize#33 プレイリストピックアップ
04月 / Almir Ljusa / PHNTM
03月 / Keith Flint (The Prodigy) / Audeka
02月 / Benji303 / 【特集】Hardonize#32 プレイリストピックアップ
01月 / 【特集】フリーダウンロード / Knuckleheadz

【2018年】

12月 / 【特集】DIG自慢:ジャニス閉店セール
11月 / 【特集】Hardonize#31 プレイリストピックアップ / 【特集】『M3-2018秋』同人テクノ / Special Request
10月 / Atix / Eric Sneo
09月 / Len Faki / 【特集】新譜紹介
08月 / Paul Cronin / ASC
07月 / Goncalo M / Alan Fitzpatrick
06月 / 【特集】ブートレグ、フリーダウンロード / 【特集】Incident
05月 / Riotbot / 【特集】『M3-2018春』同人テクノ / 【特集】四文屋難民メンバー紹介
04月 / Rebeld Records / Rob J.
03月 / Filterheadz / 【特集】Bandcamp限定リリース
02月 / 【Hardonize10周年特集】10年前の同人テクノ / 【特集】Hardonize#29 プレイリストピックアップ
01月 / 【Hardonize10周年特集】10年前のハードテクノ / 【Hardonize10周年特集】10年前の日本のハードテクノ

【2017年】

12月 / 【特集】Hardonize#26、Hardonize#27、Hardonize#28 プレイリストピックアップ
11月 / 【特集】『M3-2017秋』同人テクノ / 【特集】Hardonize#28 ゲストDJプレイバック / Sterling Moss
10月 / Norman Andretti a.k.a. Quarill / 【特集】グレイエリア
09月 / Bad Boy Bill / 【特集】ブートレグ、フリーダウンロード
08月 / CAVE / OmanticRecords
07月 / Digital Mafia / Steel Grooves
06月 / X-Dream / Dismantle / Christian Fischer
05月 / 【特集】『M3-2017春』同人テクノ / Chester Beatty
04月 / 【特集】曲名に『春』とか『桜』とか入ったトラック / Andy BSK
03月 / Myler / D.A.V.E. The Drummer
02月 / Jamie Taylor aka Tik Tok / Pasquale Maassen
01月 / 【特集】同人音楽+テクノ / Butch

【2016年】

12月 / Kwadratt / 【クリスマス2016特集】ブートレグ、フリーダウンロード
11月 / Reset! / Dark By Design
10月 / 【特集】Hardonize#25 プレイリストピックアップ / Bryan Cox
09月 / Kanji Kinetic / Technikal / Vinylgroover aka Scott Atrill
08月 / Ganez The Terrible / DJ Reversive
07月 / Raul Mezcolanza / David Moleon